少し前、友だちから「きゅうりをたくさんいただいたのだけれど、何かいい食べかたないかなあ」と連絡をもらいました。
そのときは炒め物をお伝えしたんだけど、これ忘れてました。きゅうりのおつゆです。
普通のきゅうりじゃなくて、おっきく成長しきってしまったのがいいです。それをだしで炊くととろりとおいしくなります。まあ、うり科ですから・・・。
この日使ったのは「昔きゅうり」という品種。初めてです。
「大地を守る会」の宅配で「とくたろうさん」というのがあります。これに登録しておくと、日本各地で伝統的に作られてきた在来品種の作物が届きます。
たいていは市場に出回らない、見たこともないものが多く、でも継続していると「あ、また今年出会えた」といううれしいこともあります。通常の注文を頼まないと入ってこないので、ついつい忘れがちな私はめぐりあえるのは一部なのですが、それでも、いろいろおもしろいお野菜に遭遇できます。
この「昔きゅうり」というのは、「高知県の仁淀川上流域で昔から作られていた在来のきゅうり」だそうです。
「特に名前はなく、地元では昔きゅうりの名前で親しまれている」・・・とのこと。ついてきた説明の紙にばっちり書いてありました。
食べ方は塩もみ、酢の物、スープ煮などが紹介されてました。
そこで私がぴっときたのが、子どもの頃から夏になると母が作ってくれた「きゅうりのおつゆ」。
あれにしよう。
私の京都の実家のまわりはなす畑だったとこの前書きましたが、きゅうり畑もその横にありました。なので、やっぱりなすと同様に、近所のおばちゃんがたくさん持ってきてくれました。
そして、そういえば父もよくきゅうりを作っていました。家の横のかべにうまくつるを這わせられるようにして。
母は毎日どぼ漬け(ぬか漬け)にしていたけど、大きいのはおつゆにしたり、炒めたりしていました。このおつゆ、小さい頃からずっとすきでした。
昔きゅうりの皮を薄くむきます。縦に切ってスプーンで種を取ります。適当な大きさ(半月かその半分か)で厚さ1cmくらいに切っておきます。
その前にだしをひいておかなくちゃ。
私は味噌汁は昆布だけが多いのですが、こういうお吸い物系のときはきちんと普通に昆布とかつおぶしでだしをひいたほうがいいです。
きゅうりは淡白な味なので、おいしいだしにとてもよく映えます。
さて、だしをあたため、純米酒、薄口醤油、塩で調味します。そこに昔きゅうりを入れてコトコトと柔らかくなるまで煮ます。
しかし、この昔きゅうり、なかなか柔らかくなりません。結構長く煮たけどとろんとならないタイプの野菜のようです。
そしたらそれはそれでいいや。水溶きくず(片栗粉でもいい)を加え、とろみをつけ、おろししょうがとみょうがの刻んだのを添えてできあがり。
昨年書いたことがあるのですが、夏場は片栗粉を使っていた私ですが、マクロビオティックの料理教室に行ったときに「くずは体の調子を中庸に整える」と教えてもらいました。
片栗粉より少し高価ですが、体調を整えてくれる作用があるのなら使わない手はありません。それにとろりとした感じが微妙にちがうんですよね。
さあできた。食べよう。その前に写真。
おつゆものの写真ってすごく難しい。薬味も何もかもじっとしてくれないもん。そして、子どもたちも。「ねー、早く食べよ、写真うざいんだけど」と文句が飛ぶ。そやね。ごめん。あきらめた(^^;)。
これはあつあつでもおいしいけど、少し人肌くらいに冷めててもおいしい。
あっさりと喉越しもよく、みょうがとしょうががよりおいしくしてくれます。
子どもたちが「懐かしいなあ」という。そうやね、夏休みに帰ったらおばあちゃん絶対1回は作ってくれたもんね。
素朴なおつゆ、シンプルなおつゆ、でも、心に残る味。こういうのが好き。夏の暑さで疲れたからだに染み込んでゆく。私も毎年作るけど、「昔きゅうり」が思い出してくれた懐かしい味なのでした。