はちみつと青い花 No.2

飛び去っていく毎日の記録。

『その後の不自由  嵐のあとを生きる人たち』続き

2021年01月13日 | 

2021/01/13

 

昨日書いた『その後の不自由~』では、依存症の女性が多く登場してきます。

ダルク代表の上岡陽江さんによれば、「虐待を受けた人の4,5割は何らかの依存症を発症するといわれ、そのデータもあるんです。特に女性の薬物依存者は、何らかの形で暴力の被害者である割合が非常に高い。ダルク女性ハウスに入ってくる女性の85%は、虐待やDVなどを受けています。」との語っている。

本書には、「依存症の人たちはこれまで身体の手当てをされた経験が一度もないという人が多いんです。」(p.40)「ダルクに来る人は、誕生会やひな祭りや、一緒に食事を作って食べるということをやってもらったことがない人たちです。」(p.66)とある。

普通の家庭では当たり前に得られるはずの家庭生活がなかったのだ。

話は少しそれるが、以前、医療少年院に収監されている少年たちの本を読んだことがある。

岡田尊司著『悲しみの子どもたち 罪と病を背負って』(集英社新書 2005年)である。著者の岡田尊司氏は精神科医として、医療少年院で罪を犯した少年たちと向き合っている。

「犯罪をおかした子どもたち自身も壊れているが、ほとんど例外なくそれ以上に壊れているのはその家庭や親である。冷酷な犯罪を犯した少年たちは、幼い頃から虐待などの過酷な体験を受け続けていた『悲しみの子ども』でもあるのです。家庭の中で愛や安心、安全を知らないで育っていかなければならなかったのです。」

犯罪や薬物依存などは、過酷な家庭環境の中で、かろうじて命だけは保ってきた人たちの生き延びる手立てだったのかもしれない。

『その後の不自由』も『悲しみの子どもたち』も読むのが辛い本ではある。しかし、その人々に寄り添い、援助し、一緒に歩いていこうとする人たちもいる。

身体の手当てをし、一緒にご飯を作って食べ、なにげない会話をし、夜は寝てもらうという当たり前な日常を経験することが、回復の道であるようだ。

 

 


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