はちみつと青い花 No.2

飛び去っていく毎日の記録。

2024年に読んだ本 後編

2024年12月30日 | 
2024/12/30


2024年に読んだ本の後編です。
今年は40冊になったので
前編、後編と分けました。


21.『説教したがる男たち』 レベッカ・ソルニット ハーン/小路恭子訳 左右社
ソルニットはアメリカの作家、歴史家、活動家。
今や辞書にも載っている「マンスプレイニング(manとexplainの合成語)」を世に広め、 #MeTooへと続く大きなうねりを準備するきっかけのひとつとなったソルニットの傑作。いろいろ考えさせられます。

ほとんどの暴力の加害者が男性なのはどうしたことだろう。
概して女性は男性に比べて驚くほど暴力性が少ないことに気づきさえすれば、暴力が一体どこから来るのか、それについて私たちは何ができるのか、もっと生産的に理論化できると思う。

22.『目の見えない人は世界をどう見ているのか』 伊藤亜紗 光文社新書

東工大教授の伊藤亜紗さん。以前、『手の倫理』を読んでとても興味深かったので、この本も読んでみました。
見える人より、空間を大きく俯瞰している。
見えない人の住まいは乱雑さの度合いが低い。余計なものがなく、散らかっていない。物がなくなると探すのが大変だから。
目に見えない人は、メモが取りにくいので、多くのことを記憶している。
目の見える人が見てわかることを記憶で補っている。

23.『彼女たちの三島由紀夫』 中央公論特別編集  中央公論
三島と交流のあった女性たちが見た三島由紀夫。現実の三島はどうだったのか。
(芳村真理の談)短気で怒りっぽいと聞いていたが、そんなところは全然見受けられず、やさしい、子供っぽいところのある、親しみやすい感じ。これが鮮やかな演技だったとすれば、それこそ真の俳優というべきだろう。といっても女の目にはなんとなく可愛げのある演技者ではある。彼には母性本能をそそるなにものかがある。
ボデイビルを一生懸命やるなどひたむきな少年を感じさせる。それでいて、こうしなさいと言われたら女はこうしなければならないような恐ろしさも持っている人。
有吉佐和子との対談もお互いに負けていなくて、やりとりが面白い。 

24.『三島由紀夫論』 平野啓一郎 新潮社
読みごたえのある良質な本でした。
平野氏が作家を志したのは、三島の「金閣寺」を読んだから。
『三島がなぜあのような死に方をしたのか?』という問いが根底に流れている
三島に深い理解のある方が「結局、引っ込みがつかなくなったんでしょう」と端的に指摘されたことが忘れられない、と書いています。
あまりにも分量が多い本なので、冒頭のこれくらいしか書けないけれど。

25.『50代からの大人ひとり旅』 地曳いく子 扶桑社
女一人旅で選ぶ旅館、ホテル。服装、持ち物など参考になりました。

26.『なんかいやな感じ』 武田砂鉄 講談社
砂鉄さんが育ってきた子ども時代を振り返る。
「変わってしまった自分がいる。いや、変わってしまったのは、自分でなく環境、社会のほうかもしれない。自分の身近な感覚や小さな経験から、社会問題へと繋がっていく。」

27.『女ことばってなんなのかしら』 平野卿子 河出書房 
平野さんはドイツ語翻訳者。興味深くてブログでも3回に分けて書きました。
女言葉は「性別の美学」の申し子。
「男らしい」は無条件にほめ言葉であり、女らしさは過剰なときに批判される。男らしさは足りないときに批判される。「男らしくない」と言われたら完全な否定。「女らしくない」と言われたら活発さのイメージ。 

28.『加藤和彦 ラストメッセージ』 加藤和彦 文藝春秋
曲がヒットして以来、贅を尽くした生活をする。
「一人で行くと普通はあまりいい席に通されないことが多いけど、でも、僕は然るべきコツを知っているから一番よい席に通される。(笑)
 フレンチの三ツ星っていっても大きいところじゃないから、いちばんよい席っていうのは客が全員見える席。逆にいうと全員から見られる。そこで一人座って睨みをきかせながら食事する(笑)」

29.『キンノヒマワリ ピアニスト中村紘子の記憶』 高坂はる香 集英社
音楽ライター高坂はる香さんの本。
「芥川賞作家の庄司薫と知り合う。紘子がプレゼントしたレコードに入っている曲を庄司氏は次々と弾いて聞かせてくるので、彼女は口では〈上手、上手〉と言いながら、内心唖然とした。庄司氏が、この時、彼女に曲のよい表現を教えるつもりで弾いていたと判明して、なんて人だろうと思ったという。」
庄司氏も無邪気というか、空気が読めない系というか…しっかり者の紘子さんにはそこがよかったのかも。

30.『クロワッサン』雑誌 2024年、4/10号
載っていた記事の「言い換えテクニック集」が参考になりました。雑誌ですがここに載せました。 

31.『どこか古典派』 中村紘子  中央公論社
『キンノヒマワリ』に続いて読んだ本。
1999年、日本経済新聞に連載したコラムを中心にまとめたもの。 
昔読んだことがあったが、今読むと、また違った印象を受けました。

32.『指先から旅をする』藤田真央  文藝春秋
エッセイ集。彼は読書家だそうで、文も書ける人なんだなと感じた。
「ピアノの前にいなくても、ずっと頭の中で演奏していますね。音を音として認識できるようになったくらいの小さい頃から、当たり前のようにいつでも音が鳴っている状態です。」

33.『欧米人とはこんなに違った 日本人の体質』 奥田昌子 講談社ブルーバックス 2016年
奥田昌子さんは京都大学卒業の医学博士。内科医。
病気にもお国柄がある。大抵の病気には複数の遺伝子が関係してくる。遺伝子にはスィッチがあって、多くの環境要因がスィッチを切ったり入れたりすることで、遺伝子の作用を調節している。
これはためになったので、いつかブログに書こうと思います。

34.『日本人の遺伝子から見た病気になりにくい体質の作り方』奥田昌子 
講談社ブルーバックス 2022年
続けて読んだ奥田昌子さんの本。
日本人を含む東アジア人は内臓脂肪がつきやすい。脂肪はアディポサイトカインと呼ばれるさまざまな物質を作っている。内臓脂肪が作る物質の中に高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、乳がん、大腸がんなどの発生を促すものがある。

35.『音楽と生命』 坂本龍一X福岡伸一 集英社
2017年、ニューヨークに住んでいた二人の対談集。NHKEテレ「スィッチインタビュー」で放送された。アルバム「async」についての話題から。
福岡:世界はサウンド(S)とノイズ(N)だけの空間で、行ってみれば夜空の星々のようなものです。人間はノイズの中のめぼしい点、つまりシグナルを結んで、星座を検出するわけで、それが科学の営みだということ。

坂本:音楽の場合、自然状態である音という素材を使って、何らかの構築物を作っていくというところは少し数学に似ているんです。、例えば、ベートーヴェンの曲もよく聴けば、レンガ職人のように一つひとつの音をというブロックを積んで音楽を作っていたんだなということがわかります。
図に意味を見いだしてノイズを排除していく方向で、近代以降は音楽に関してもどんどんコントロールする方向へ人間は進んでいった。

36.『人生が整うマウンティング大全』 マウンティングポリス 技術評論社
自虐も謙遜も感謝もすべてのことがマウンティングになる。マウントさせてあげる術もある。

37.『ひとり暮らし』 谷川俊太郎 新潮文庫
谷川俊太郎氏の逝去の報を受けて読んだ本。
谷川氏の詩は素晴らしいのに、エッセイとなると…。

38.『袴田事件 神になるしかなかった男の58年』 青柳雄介 文藝春秋」
ブログで紹介しました。

39.『三島由紀夫とは何者だったのか』 橋本治 新潮社
橋本治氏の書いたものを初めて読んだが、諧謔に満ちた語り口が面白かった。

〈三島の自宅の写真などで見て、「へんな趣味だな!」と思っていた。 
生きている内からその存在が”伝説“であるような人は、存在自体が「へん」なのである。自身を隠す煙幕として数々の”三島伝説”を使っていた。三島由紀夫が自分の生きている世の中をそれだけ嫌いだったということだろう。〉

40.『世界一孤独な日本のオジサン』岡本 純子  角川新書
日本のオジサンが危ない。「孤独」は日本の最も深刻な病だ。
孤独のリスクは、1日たばこ15本を吸うことやアルコール依存症であることに匹敵。運動をしないことや肥満を上回り、孤独な人は早死にするリスクがそうでない人に比べ50%も高い。
日本のオジサンは世界一孤独だ。寂しく、不機嫌なオジサンにならないために、今から何をしておくべきか。人生後半戦を豊かに生きるために、30~50代のうちから読んでおくべき本。 

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書きつけ記録を読みかえしても
興味深かったと思う本が多いですね。

読書は好きですが、生活のメインには
しないようにしています。
そうしないと生活の中でやるべきことが
おろそかになってしまうので。

あくまで時間の空いたときの楽しみとして
本を読んでいます。

でも、本好きでよかったなと思います。





コメント
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