2025/01/26
桐野夏生さんは好きな作家。
強くて、小説がおもしろくて
女の味方というところが好き。
『オパールの炎』を読みました。
中ピ連の榎美沙子さんの話です。
昔、話題になった中ピ連のことは覚えてます。
でも、ずっと名前を聞かないし
あの人はどうしたのかしら?
私が覚えている榎美沙子さんの
メディアでの扱われ方は
主張をまともに受け取られず
「冷笑」だったと思います。
榎さんが「中絶禁止法に反対し
ピル解禁を要求する女性解放連合」
(中ピ連)を結成したのは1972年。
過激なパフォーマンスで注目を集め
1977年には女性党を結成し
参議院選に出馬。
ひとりの議員も当選させることなく
榎さんは「専業主婦になる」と
言い残して姿を消しました。
その後消息はわからず。
榎さんのピル解禁運動から
約30年後の1999年に
日本でやっとピルが承認されました。
2023年に日本で承認された経口中絶薬は
88年にはフランスで承認され
世界65以上の国と地域で
使用されているにもかかわらず
日本では35年もかかったのです。
なぜ日本では女性の体を守ることに
そんなに腰が重いのか。
昨今のニュースを見るにつけても
未だに変わっていない気がします。
そんな日本で50年も前に意見を言った
榎さんはあのような扱われ方を
してしまったけれど
至極真っ当な意見だったと思うのです。
今ならSNSで自分の意見を発信できますが
当時、後ろ盾のない女性が1人で
意見を言うとしたら
どういういうやり方なら
よかったんでしょうね。
物語では、本人は消息不明ということで
ノンフィクションライターの女性が
彼女を知る人から話を聴く形で
進んでいきます。
最後まで読んでいって
ああ、桐野さんは榎さんの無念を
晴らしたかったのだなと悟りました。
〈「榎さんが主張していたことは正しかったのに、実際にピルが解禁されるまでものすごく時間がかかった。なぜ榎さんが潰されたのか。復権させたいというか、榎さんになり代わって社会に復讐したい思いがありました」と桐野さんは明かす。〉
(毎日新聞 記事より)
ほんとうにそのとおりだ。
#Metoo運動もあり
自分の身体は自分で管理するという
女性の権利がやっと注目されるように
なってきました。
50年もたっているけれど
彼女の雪辱を晴らしたいと
桐野さんはこれを書いたのでしょう。
桐野さんはやはり頼もしいなと思います。