2024/02/29
「読書の森へ 本の道しるべ」
今回はヤマザキマリさんの話。
ヤマザキマリさんは
何を話してもおもしろい人ですが
この番組でも意表をついた指摘が
大変におもしろかった。
録画を見ながら、声を出して
笑ってしまいました。
絵描きになりたいと告げたマリさんに
お母様は
「絵描きで食べていくのは大変よ。
これを読みなさい」と
『フランダースの犬』を差し出した。

これを読んだマリさんの感想。
「食べていくも何も こいつ要領悪すぎない?」
この感想😄 !
「行動力がないがゆえにああいう顛末になった」

「立ち止まってりゃあ
誰か助けてくれるなんて。
雪に埋もれて、犬まで巻き添えにして」
『フランダースの犬』というのは
貧しくも清らかな男の子の悲しい話と
思っていたけれど
物語を別の側面から一刀両断にする解釈。
いっぽう『アラビアンナイト』は行動力のある話。
「ずる賢くてナンボ」

シリアやエジプト、中東では
「ずるいというのは美徳なんです」
そうなんですね😲 !
「日本とか、清く正しく、人を信じて
生きるというのがいいと言われるが
逆に歴史のレイヤーが幾層にも
重なっている所では
騙されても、信じたお前が悪いと
言われるんですよ。」
「疑念や疑うことのほうが
エネルギーを使うけれど
生き延びていくためには
疑う気持ちを端折ってはいけない
という考え方がある。」
・・・・・・・・・・・・・
なるほどなあ
外国に行くと荷物を盗まれたり
タクシーをふっかけられたり
油断もすきもありゃしないと
思うことがあるけれど
そういうことをする人々は
「ずるいのは美徳」という思想があるのかも。
人を疑う、というかハナから
全面的に信用しないということも
生きていくうえでは必要かもしれませんね。
そのために観察眼を養ったり
交渉術を身につけたりというのが
生きる知恵なのでしょうね。
『アラビアンナイト』は処世術を
教えてくれる本なのです。

世界各地に住んで
文化やものの考え方の違う人たちを
見てきたマリさんならではの感想。