大判カメラ日記。

ワイズクリエイト オフィス・木戸嘉一のブログです。

上野・不忍池の蓮。

2010年08月12日 | 日記
久しぶりに上野・不忍池の蓮の花を見た。ワイズから東京大学の龍岡門、鉄門の前を抜け、無縁坂を下ると不忍池が見えてくる。途中無縁坂の講安寺境内のセミの声を聞き、岩崎邸の古い外壁を見ながら坂をゆっくり下るこの行程は森鴎外の「雁」を読んでから特にお気に入りのコースとなっている。そういえば本郷・菊坂に住んでいた樋口一葉が上野の図書館に通ったのも確かこの道だったと記憶している。時代は変われどこの無縁坂に思い出を持つ人々の数は決して少なくは無いと想像する。不忍池に出ると池畔の木々にとまるセミの声が更に合唱隊の様に大きく聞こえる。池を見ると蓮の葉がじりじりと照りつける太陽を一身に受けるかの様に天に向かって大きな葉を広げている。そんな葉の陰から蓮の花が遠慮がちに顔を出している。色の表現は苦手だが赤色と橙色と白色の絶妙なグラデーションが目に心地良い(果たしてこんな色なのか?)。思わずカメラを取り出し撮影していると周りの観光客(?)も携帯電話を取り出して思い思いに撮影をしだした。皆、蓮の花と葉の美しさに感動している様子だが簡単に携帯電話で日常を記録できるようになった現代に何故だか違和感を覚えた。森鴎外も樋口一葉もこの不忍池の蓮を見ていた筈だ。はたして二人はこの蓮をどのようにして記憶していただろうか。ただ確実に言える事はこの蓮を表現する手段、方法は今の人と比べ格段に優れていたと言う事だ。更に日差しが強くなったと感じる。さーて、そろそろ事務所に戻って仕事をしよう。

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