座敷ネズミの吉祥寺だより

吉祥寺って、ラッキーでハッピーなお寺ってこと?
中瀬の吉祥寺のあれこれをおしゃべり。

「殿、利息でござる!」

2020-05-20 | 読みました

あら、こんなのやってるわ、と思って

チャンネルを合わせたのは、確か、先々週の火曜日、

放送が始まってから。

 

映画「殿!利息でござる!」を

テレビ東京で 1時過ぎから放送していたのです。

 

          

           

 

 

 

あれですよ、羽生結弦クンが出演する、あれ。

 

と言っても、私も 映画のCMで見てただけなんですけどね。

 

 

          

 

 

 

ただ、私の好きな 磯田道史センセイが原作、という事で、

知ってはいました。

 

見たいな~、と思っていました。

 

磯田道史センセイと言えば、『武士の家計簿』の原作者ですが、

センセイは 歴史小説を書いたのではありません。

 

本物の史料を手にして読み解き、

「面白い!」と思った事を書き散らし、

それがまた普通の人々にとってもすごく面白いものになる、

稀有の人です。

 

最近 テレビでもよくお顔を拝見しますが、

あんなにちょっとしか口を開けないのに 

あれだけハッキリした口調で、しかもよどみなく、

しかも次々といろんな事をしゃべれる人も稀有かもしれません。

 

 

 

 

 

この映画は、

著書『無私の日本人』の中の、「穀田屋十三郎」が原作です。

 

これを(文庫で)読んで とても感動して、

そして映画を(テレビで)見て、

やっぱり感動して。

 

泣きました。

 

涙を流す事は、気持ちの良いものです。

 

「涙活(るいかつ)」という言葉ができてるくらいです。

 

うつうつとしていた私も、サッパリしました。

 

なんにしても、感情を表に出す、というのは

隠す事に比べて、ずっとずっと気持ちの良いもののようです。

 

 

 

羽生結弦クンが出てきたところで来客があって、

いったん スイッチを消したんですけどね。

 

 

 

 

 

          

 

 

 

 

 

私は この『無私の日本人』の中の「穀田屋十三郎」は

メモをとりながら読み進めていました。

 

登場人物が多くて、私のアタマでは、覚えられないのです!

 

今 残っていたメモを見ると、14人の名前が書かれています。

 

(もちろん、全部、漢字!)

 

この実話は、磯田センセイの書く物の中でも

特に登場人物が多くて、

そして「それって、誰だっけ?」状態で読んでも、

決して面白くないのですよ。

 

それが、映画だと、

見知った顔と声の俳優さん達が演じており、

しかも それぞれ かなりキャラが立っていて

「それって誰?」には ならないのです。

 

お話の中に どっぷりと漬かって見ていたのですね。

 

じわじわと感動が深くなるよい映画でした。

 

 

 

 

          

 

 

 

ところで、文庫本の良いところは、解説が付く、という事です。

 

もちろん、軽い(値段と、重さが)という事も大きいですが、

この「解説」が面白かったり 蛇足だったりします。

 

たいてい、余分、だけど、でも、面白い、という事が多いです。

 

 

 

『無私の日本人』の解説は、の藤原正彦氏が書いています。

 

藤原正彦氏は、私にとっては、数学者ではなく、

『国家の品格』の著者です。

 

そして、藤原正彦氏と言えば、新田次郎と藤原てい のご子息です。

 

藤原ていと言えば、『流れる星は生きている』です。

 

これは テレビドラマにもなりました。

 

関係ない話でした、スミマセン。

 

 

 

『国家の品格』の著者は、『無私の日本人』の解説の中で

磯田センセイを

「論理と情緒を兼ね備えた人」「虫の目と鳥の目をともに持っている」

と褒めたたえています。

 

また、

「著者ならではの鋭い洞察や歴史観が、

 本文のあちらこちらに挿入されていて、

 私などは大いに得した気分になる」

のだそうです。

 

なるほど~。

 

 

 

 

 

――公(おおやけ)

というものが、おのれの暮らしを守れなくなったとき、

人々は、どう生きればよいのか。(p.14)

 

国というものは、その根っこの土地土地に「わきまえた人々」がいなければ

成り立たない。(p.51)

 

江戸期の庶民は、

――親切、やさしさ

ということでは、この地球上のあらゆる文明が経験したことがないほどの

美しさをみせた。

倫理道徳において、一般人が、これほどまでに、

端然としていた時代もめずらしい。(p.87)

 

江戸という社会は、日本史上に存在したほかのいかなる社会とも違い、

――身分相応

の意識でもって保たれていた。(p.93)

 

――家意識

とは、家の永続、子々孫々の繁栄こそ最高の価値と考える一種の宗教である。

 

――廉恥

というものが、この国の隅々、庶民の端々にまで行き渡っており、

潔さは武士の専売特許ではなかった。

 

 

 

などなど、思わずページを繰る手をとめて

う~~ん、と考えこんでしまう言葉が 次々と出てくるのです。

 

『国家の品格』の著者が 解説を書いてくださるわけです。

 

 

この『無私の日本人』には、映画になった「穀田屋十三郎」の他に、

「中根東里」と「太田垣蓮月」が収められています。

(文春文庫、2015.6.10、590円)

 

すばらしい日本人がいたのだ、それを私は知らずに生きてきたのだ、

恥ずかしい、もったいない事をした、

などと思ってしまうのです。

 

 

 

 

やりたい事が たくさんあるのに、

どれも終わらせる事ができないまま

毎日が暮れていきます。

 

この日の午後は テレビを見て 午後は過ぎてしまいました。

 

それでも 少しも後悔しませんでした。

 

時間を無駄に過ごしたとは思わず、

「良い時間を過ごした」と思えたのでした。

 

 

気温の上がり下がりが激しい毎日です、

着るものや布団で調整して 風邪をひかないように

気をつけましょうね。

 

 

 



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