jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

かっては入手困難だった ・・・・・STICKーUP! / BOBBY HUTCHERSON

2018-11-22 | ジャズ・vib

 

 

一時、なかなか見つからないと評判になった一枚。

と言っても、BN4244辺りはコレクター達の興味対象外でそれほど深いものではなかった記憶が。

録音されたのは1966.7.14、丁度、リバティへの売却時期と重なりリリースがやや曖昧になり、憶測を呼んだのかもしれない。事実、Goldmine誌にはNY盤ではなくLiberty盤(STEREO)が初版になっているけれど、ひょっとしてNY盤が存在してるのかも?

そのLiberty盤もレアでありそうで無いようですね。噂になる前に入手していた所有盤はカヴァがLiberty、ラベルは黒音符のUA盤、RVG印はあるけれど音はあまり芳しくない。

内容はメンバーから凡そ推測でき、所謂、BN新主流派ジャズで左傾でなくコンサバ寄り。TOPのO・コールマンのオリジナルなんかカリプソ・テイストを結構マジに演っている所が如何にもです。2曲目の”8/4 Beat”はストレート・アヘッドな新主流派演奏が心地良い。

本作のポイントはボビ・ハチとコルトレーンの元を離れたばかりのマッコイのBN初顔合わせ?かな。

そのマッコイを大きくフューチャーしたボビ・ハチのオリジナル”Summer Nights”、主役の座を譲り気乗りが失せた?ボビ・ハチの後、ラウンジ・ピアニストも裸足で逃げ出すほどのカクテル・マッコイ、どうなんでしょう。カクテル・ピアノを弾かせたら彼の右にでる者はいないと、裏評判もあるほどですが・・・・・・・・

この曲想、曲調なら抜群に上手いテナーを聴かせるヘンダーソンを一枚咬ませた方が締まったのでは?

それは兎も角、自分だけかもしれないが全体に「BN新主流派ジャズ」の煮詰まり感を覚えます。

翌年、ボビ・ハチは”TOTAL ECLIPSE”、マッコイは”REAL McCOY”を録音し、別々の答えが出た。


BLUE NOTE 未発表作 「三選」

2017-11-12 | ジャズ・vib

BLUE NOTEには録音はしたもののリアルタイムでのリリースが追いつかず「お蔵入り」し、後年、色んな形で陽の目を見た作品が数多くある。

それは、リハーサルも含め吹き込み料をミュージシャン達にキチンと支払い、若手、或いは不遇の彼らの生活、活動を支えると言うA・ライオンの信念からで、認知度が上がればいずれメジャーに引き抜かれるというリスクがあってもそのスタンスを変えることはなかった。何時の時代でも、どんな世界でも中小企業の宿命だろう。

でも、その志の高さは、決して色褪せることなく、今なお、最高・最強のジャズ・レーベルとして愛されている。

ライオンが不本意ながら「お蔵入り」にした作品の中で、個人的に特に「勿体無い、惜しい!」と思うアルバムを。

 

OBLIQUE / BOBBY HUTOHERSON(1967.7.21 録音)

定盤'HAPPENINGS’(1966.2.8録音)の陰に隠れていますが、エモーショナルなボビ・ハチのバイブの魅力は'HAPPENINGS’を上回ります。恐らく'HAPPENINGS’がDB誌の年間BESTアルバムに選出されたため、あおりを喰ったのだろう、bだけが異なる同じ編制だけに。

ボビ・ハチは本作が「お蔵入り」になったことをとても残念がっていたそうです。自分ではこちらが「表名盤」。

 

 

 

ETCETERA / WAYNE SHORTER (1965.6.14 録音)

発掘したM・カスクーナが「信じられない!」と驚き、「ショーターで身銭を切るならこの一枚」とまで本国では称賛されているけれど、わが国では見向きもされていない。この時期、ショーターは頻繁にレコーディングしており、リリースのタイミングを逸したのだろう。ライオンは苦心の末、カルテットものでは時流に合わせ、エイト・ビート曲が入った'ADAM'S APPLE’(1966年2月録音)を優先したのかもしれない。

だが、ts奏者としての力量を自然な形でストレートに発揮できたのは本作が初めてでピカイチだろう。B面の2曲、特にG・エヴァンス作の'Barracudas’が素晴らしい出来。

なお、日本版(ザ・コレクター)は仄々した'Toy Tune’を'ADAM'S APPLE’の未発表・テイクに差し替えるという勇み足を犯しているので聴くなら断然この米国版を。カヴァは冴えないけど・・・・・・・

 

 

上記、二枚、いずれもハンコックの好アシストとJ・チェンバースのドラミングが聴きもの。

 

HIPNOSIS / JACKIE McLEAN(1967.2.3 録音)

O・コールマンと共演の一月前の録音。「殺気」のような怪しげなテンションがアルバム全体を覆っている。ハード・バップに限界、疑問を感じ、新しい己の道を模索し続けた男の後ろ姿に燃え盛る炎が映る。

ハード・バップ・ジャッキーだけがマクリーンじゃぁない。とことん付き合ってこそ本当のマクリーン・ファン。

なお、このカヴァではtpが写っているが、相棒はG・モンカー(tb)です。

 

 

 

この3枚が録音された65~67年、当時のジャズ・シーンは激流の真っ只中。その流れはこうしたハイレベルの作品でさえ飲み込まれてしまうほど早かった。


ボビ・ハチ、ヴァン・ゲルダーを偲んで ・・・・・ DIALOGUE / BOBBY HUTCHERSON

2016-09-04 | ジャズ・vib

 

 

 

先月、B・ハッチャーソンとR・ヴァン・ゲルダーが相次いで亡くなったという。享年75、91。

ミュージシャンとレコーディング・エンジニアという立場こそ違え、BNとの関わりは大きい。特にゲルダーはあのゲルダー・サウンドとしてをBNの屋台骨を支えた功績は大きい。またハッチャーソンにしても人材が少ないヴァイブの世界で、所謂「新主流派」ヴァイブ奏者として数多くの名演を残している。

 

そこで、二人を偲んでボビ・ハチの初リーダー作を。所有盤はカヴァはオリジナル盤仕様ですが、ラベルはリバティ。ただ、ひょっとしてラベルだけ貼り替えたものかもしれないほど盤自体は重く、音もがっちりとしたゲルダー・サウンドそのもの。

 

録音は1965年4月3日、意外に遅い気がしますが、後述で。

メンツを見ると実力者、個性派がズラリ、なんだか不穏な気配が、そしてヒルの作品が3曲、チェンバースが2曲となると不安さえ・・・・・・

一見、チェンバースのオリジナル曲をそのままアルバム・タイトルにしているようだが、実は「ダイアローグ」、つまり各人の「対話・問答」を演奏コンセプトにしている。

1、2曲目まではともかく、3曲目、ヒルの‘Les Noirs Marchent’から左傾化し、B-1の‘Dailogue’はもう「フリー・ジャズ」ですね。ラストの‘Ghetto Light’(ヒル作)も怪しげなムードを撒き散らしている。

この頃、ボビ・ハチは既にマクリーンの新しいグループのメンバーに迎い入れられ、‘ONE STEP BEYOND’、‘DESTINATION OUT’、‘ACTION’を、また、ヒルの‘JUDGMENT’やドルフィーの‘OUT TO LUNCH’等々に参加していたのでこうしたプログレッシブ路線上の作品となるのも必定と思います。 

全体に対話というより「問答」に近く、なかなか手強い。

 

 

 

こちらがボビ・ハチの「幻の初リーダー作」、‘THE KICKER’。

1963年12月29日に録音されながらリリースは見送られ、36年後の1999年にCDで初出。

パーソネルは11月に録音された‘IDLE MOMENTS / GRANT GREEN’と同じ(但し、GREENは3曲のみ)。

出来映えは同レベルで決して悪くないが、続編の感じが強く、新人の初リーダー作としてのインパクトがやや弱い。ただ、チェンバースの名曲‘Mirrors’でのボビ・ハチのクリスタルなリリシズムは傾聴に値します。

 

 

ライオンはプログレッシブなセッションを通じ、この才能ある若者にコンサバのイメージが付く事を危惧し、「お蔵入り」させたのだろう。そして、一年半近いインキュベート期間を経て、1965年を象徴する過激な「初リーダー作」が誕生したのだ。

さすがライオン=BNですね。 


不遇!の「名盤」・・・・・LIVE AT MONTREUX / BOBBY HUTCHERSON

2013-03-09 | ジャズ・vib

     Bh1

 

 

 

郊外のあるSC内のCDショップに、ぶらっと立ち寄った所、この一枚を見つけた。何と!999円。

 

帯には国内初CD化と書かれてあった。そっか~

確か、外盤では出ていますが、このオリジナル・ジャケと異なるボビ・ハチの写真の使用していますね。

 

 

それにしても、この作品がやっと国内初CD化とは!ホント、不遇の一枚ですよ。

ジャケから甘く見縊っていけません。

 

 

この作品が約40年ほど前、アナログでリリースされた際、某JAZZ専門誌で、たいした評価もされず、また、1987年に発行された「ジャズ批評別冊・完全ブルーノート・ブック」でも僅か3行で片付けられている。つまり、「どうでもいい」作品扱いをされていた。

 

 

 

1973年7月5日、スイス・モントルージャズ・フェスティバルでの熱狂のライブ・ステージ。

 

メンバーは、

 

WOODY SHAW (tp)、BOBBY HUTCHERSON (vib)、CECIL BARNARD (p)、RAY DRUMMOND (b)、LARRY HANCOCK (ds)

 

 

 

LPでは収録時間の関係で、2曲目の?The Moontrane’が途中からB面まで跨っているが、CD盤ではそれが解消され、さらに未収録の?Farallone’が追加されている。ま、CDの恩恵ですね。

 

 

あまり上手とは言えないMCのメンバー紹介の中、ショー、ボビ・ハチへの聴衆の期待ボルテージの高さが感じ取れる。

そして、ワン・ツー、ワン・ツー・スリーの合図から始まるこのステージ、いゃ~、いいですね!

帰りの車の中は、まるでモントルーの会場と化し、自宅まで10分少々なのに、一枚聴き終えるまでわざわざ遠回りしちゃいました!

 

 

 

全4曲、弾力あるDRUMMONDのb、煽るようなHANCOCKのdsをバックにショー、ボビ・ハチは非の打ち所が無いストレート・アヘッドなパフォーマンス聴かせ、両者ともに完全燃焼、屈指の名演揃いです!

 

 

1973年夏、「モダンジャズの熱気」はまだ残っていた!今のお勉強ジャズなんか、足元にも及ばない。これは「本物」だ!

 

 

ただ、このCD、一つ問題があります。それは「音」。

40年前の音源なので仕方がありませんが、、CECIL BARNARDのpが歪んでいる。オリジナルLPは、クリアなので残念ですね。

もし、このCDが気に入ったならば、是非、オリジナルLPも聴いてください。

 

 

感激が感動、感銘に変わるだろう。

 

 

 


dave pike / pike's peak

2008-08-27 | ジャズ・vib

                  boston acousticsで聴いた今日の1枚

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              Img013

                 dave pike / pike's peak    (Epic)  1962

 

パイクはかなりマイナーなバイブ奏者ですが、本作は名盤としてメジャーな作品です。エヴァンスが参加していることと、彼がラファロという名相棒を失くした直後、悲嘆に暮れながらの録音というエピソードもあって必ず話題に上りますね。

ところで、boston acousticsのエージングが進んだせいか、最近、「音」がこなれてきました。初期状態では、蚊の鳴くようなシンバル、緩んだゴムのようなベース、チャルメラのようなtpに少々閉口気味でしたが、このところ急速に本領を発揮し始めています。まだ、淡麗辛口とでもいうのでしょうか、JAZZの持つエネルギー感を充分に出すまではいきませんが、それでも、フォーカスがぴしっと決まった感じはなかなか魅力的です。

今まで、私はカー・オーディオには懐疑的でしたが、ディーラーの方が日本の住宅事情では、自宅では思うように音楽を聴けず、車の中だけが遠慮なく音楽を楽しめる唯一のスペース、と仰っていました。漸く、それが分かりましたね。車で聴くJAZZ、いいじゃないですか!boston acousticsもイイぞ。

 

話が横道にそれてしまいましたが、このアルバム、選曲の良さも有って人気盤の一枚です。

トップのモーダルなパイクのオリジナル?‘Why Not’、コルトレーンのインプレッションと同曲ですが、果たしてどちらがオリジナルなんでしょうかね。ピート・ラ・ロカという伏兵もいますし。

ともあれ、カッコいい曲、演奏です。その他、‘In A Sentimental Mood’、‘Besame Mucho’といった人気曲の好演もありますが、最大の聴きものは実はラスト・ナンバー、‘Wild Is The Wind’。

イヤー、なんといいましょうか、このソウルフルなリリシズム!堪らず車を路肩に止め、聴き惚れちゃいました。

9:33、パイク、一世一代の名演を聴け!