jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

LEGACY OF FREDDIE HUBBARD(10)・・・・・・・ EMPYREAN ISLES / HERBIE HANCOCK

2019-06-29 | Legacy of Freddie Hubbard

 

その昔、「しゃんくれーる」(京都)のレコード・リストは当時、会社の帳簿でよく使われていたしっかりした麻張りのカヴァでルーズ・リーフ方式、そして丁寧にタイプライターで打たれていた。

勿論、レコード・カヴァは載っていなく、初心者の頃はさっぱり判らなかったが、まるでバイブルのような存在だった。

ある日、ペラペラと「H」の頭文字のページを捲っているとコレを発見、所謂、tp(cor)のワンホーン・カルテットというレアな編成に興味が湧き、即、リクエストを。2、3枚後にいきなりtp(cor)の鋭い音が鳴り響いた。カヴァも内容も全く知らなかったが、コレだ、と思った瞬間、体がフリーズしてしまった。

次に録音された”処女航海”に勝るとも劣らない出来なので下手なコメントはもう要らないですね。一言で言い表せば、当時(1964年)の精鋭達4人によるBNというマイナー・レーベルで、そしてゲルダー・スタジオという密室での「完全犯罪」でしょうか。

タモリの言葉を借りると、

「このハバードはJAZZを突き抜けようとしている」とか。アルバム・リーダーはハンコックだが主役はハバードと見抜いている。ライオンにしても主客転倒しないよう敢えてハバードに小型tp(コルネット)を吹かせたのだろう。

ただ、これは伝え聞いたものなので確証を得なかったけれど、少し前に発刊されたジャズ本の中で「タモリが選ぶ名盤20選」の5位にリスト・アップされており、やはり伝聞に間違いは無かった。読み手の顔色を窺ってばかりいる物書き屋達には到底出来ない選ですね。

因みに1位は”MY FUNNY VALENTINE / M・DAVIS”(CBS)、2位”WALTZ FOR DEBBY / B・EVANS”、3位”FOREST FLOWER / CHARLES LLOYD”(いいですね!)

 

6/11付の日経新聞(夕刊)に5月28日、新宿文化センターでのW・マリサリスの来日公演の記事が載った。「チェロキーでの疾走するソロ、圧巻!このステージは感心を越えた感動と楽しさを呼び総立ちで拍手が鳴り止まなかった」と。

この夜、果たしてマリサリスはハバードを越えたのか?

 


大吟醸 熟成酒 「一本義 一朋(いっぽう)」

2019-06-25 | 日本酒・洋酒

 

知人からの頂き物。ゴルフ・コンペのベスグロ賞ですが、生憎、酒を飲めない方なのでこちらに。

福井県の勝山市の蔵元「一本義」。名は知っていましたが飲むのは初めてです。

にぎにぎしい桐箱を開けると、あら、まぁ日本酒とは思えぬユニークなボトルが。何とか賞受賞のゴールド・ラベルが誇らしげに?貼られているが、個人的には逆効果に思える。最近、セールス効果を求めこうしたラベルを張るのが流行のようですが如何なものか。

それは兎も角、「精米歩合30%の大吟醸酒をマイナス温度の冷凍貯蔵庫内で熟成させ、最上級大吟醸酒ならではの優雅な果実様の香り、氷温熟成によって生まれるまろやかな口あたりをお楽しみくださいませ」との説明書き。

早速、常温でいただきました。なるほど、やや軽めで華やかなテイストは新しいタイプの日本酒を思わせるが、のど越しが結構しっかりしている。

一晩、冷蔵庫で冷やして一口、いゃ~、前日と全く異なりハードな味が、慌ててラベルを見直すと、アルコール分が17度と。確かに前夜、のど超しに感じたものですね。

でも、全く別物と思える変化が腑に落ちず、蔵元のHPを見ると、なんと常温推奨で冷やしは△でした。

急いで冷蔵庫から出してこの季節、暗くて比較的温度が上がらない所へ移しましたよ。

やれやれ・・・・・・・

 

 


エクセレントゴルフクラブ 伊勢大鷲コース

2019-06-15 | ゴルフ

昨年の7、8月は酷暑でゴルフを自粛しましたが、今年も家族の猛反対で自粛することに決めました。

毎日のように報道される年配者の交通事故がその理由ですね。自分はもう30年以上前から「左足ブレーキ」なので「踏み間違い」はないのですが、確かに炎天下で5時間ほどプレイした後の運転に問題が無いわけではありませんから。

「左足ブレーキ」にしたきっかけは、某有名カー・レーサーが車関係の本の中で「公道を自分の車(AT)で運転する時、事故は絶対に起こしてはいけないので何時でもサッと踏めるようにブレーキは左足で踏む」と言われ、つまり「初期制動」の重要さを説いていた。

やってみたら二日ほどで慣れ、それ以来ずっと、意外に簡単です。「左足ブレーキ」に対しネガティブな意見もありますが、MT運転の名残りに囚われず、「踏み間違い」の加害者になりたくなかったら、今からでも遅くありません。

 

先日、三重県津市にある「エクセレントゴルフクラブ  伊勢大鷲コース」に。数年前に一度ラウンドしていますが、コースの記憶は全くありません。

ここはT・ウッズが全盛期の2001年に来場、プレイしたコースで知られています。ま、タイガーを呼ぶ位ですからクラブ・ハウスもコースも立派です。

 

 

何故か能舞台が設けられています(笑)。バブル時代の面影ですね。

 

 

池が多いもののフラットで雄大です。メンテも行き届いており良いスコアが出そうな気が・・・・・・・・・・

でも、甘くなかった。左右は広くOBはまず出ませんが、気が付かない「わな」が上手く仕掛けられて、グリーンも微妙なアンジュレーションが・・・・、それと、やはり池が巧みに配置されている。

この18番(367Y)、まともに対岸を狙うにはキャリーで200Yは飛ばさないと届かなく、更にグリーンはまた、池越えを要求されます。右手に避けようとするとパー・オンはほぼ不可能で、ドロー系のボールが出ると池に捕まるリスクも少なくないです。攻めても逃げても厄介ななホールですね。

目視では180Y位と近く見え(これがわなです)、ドライバーでチャレンジ、当りが薄く10Yほど前にドボン、ここはプレ4でD・ボギーを。

 

 

結局、45、48の93でした。

7、8月はジムに通って衰えた脚を鍛え、秋に再度、挑戦ですね。


SINCE WE MET & RE;PERSON I KNEW / BILLEVANS

2019-06-08 |  Artistry of Bill Evans

 

第二の故郷と言える「ヴィレッジ・ヴァンガード」での1974年1月11、12日、二日にわたるライブ録音、プライベートでは新しい女性との結婚とメンタル面では高揚していたに違いない。実に能弁なエヴァンスが聴かれる。

右の”SINCE WE MET”はリアルタイムでは録音からやや遅れてリリースされたが、左の”RE;PERSON I KNEW”は追悼盤?として死後の1981年に。

決して上手いとは言えない黒を基調としたイラスト・カヴァの”SINCE WE MET”は何となく期待を持たせるが、一方は聴く気も失せる酷さ。

結論を先に言えば、70年代屈指のクオリティを有していると思う。しかし、”SINCE WE MET”を押すファンに今までお目にかかった事が無く、最近発刊されたジャズ批評の40名による「私が選ぶ3枚」でも僅か1人しか”SINCE WE MET”を挙げていない。勿論、”RE;PERSON I KNEW”はいない。

何故だろう?理由は「音」です。エヴァンスのpはキンキンと耳に当たり、しかも厚みがなくキラキラ過ぎ。ゴメスのピック・アップを通したbも味気なく無遠慮に押してくる。また聴衆の拍手まで意図的に増幅?されように大きく、これじゃ、折角の「名演」が台無しです。 

録音が拙かったのか、それともマスタリングの段階で何か余計な処理を加えたのか?

”SINCE WE MET”はSTEREOだが、”RE;PERSON I KNEW”は音を是正しようとして?MONOとなり、観客の雑音が入る(これが自然)曲があるものの、pのキンキンさがやや和らぎ、bも引っ込み、拍手も抑えられ、多少マシになっている。

ただ気になるのは、音の拙さについての噂は耳に入っていないのでCDは良くなっているのだろうか?

少しでも聴き易くと、マッキン34Vのイコライザー・コントロールで1,500ヘルツと10Kヘルツを絞っている。

 

TOPのタイトル曲、新しい夫人との出逢いを綴ったオリジナル曲”Since We Met”はさすがエヴァンス、ロマンティックな香りを放ちながら起承転結がビシッと決まったプレイは見事ですね。この時点でトリオとして初出の”Time Rememberd”もいい。ただ、テンションが張った演奏が続くのでちょっと欲張り過ぎ、詰め込み過ぎの感がして、ラストの”But Beautiful”が付け足しのように聴こえる。

方や、エヴァンス・ファンも悲鳴を上げる”RE;PERSON I KNEW”、このカヴァのセンスは何処から生まれるのでしょう。しかし、所謂「ボツもの」と言ってもこの二日間のレベルは高く侮り難し。珍しくグルーヴィー感を出す”Re;Person I Knew”、このヴァージョンが一番好きかも知れない。続く”Sugar Plum”、バカラックの”Alfie、初めの3曲の流れが抜群にいい。

 

自分の好みで一枚に仕上げると

A面が、”Since We Met”、”Time Rememberd”、”Re;Person I Knew”、

B面が”But Beautiful”、”Sugar Plum”、”Alfie”、

これで音がまともだったらマジで太鼓判を押すのですが・・・・・・・・ 


TRIO 64 & 65 / BILL EVANS

2019-06-01 |  Artistry of Bill Evans

先日、B・EVANS生誕90周年記念として上映された”TIME REMEMBERED”を観てきました。

よく出来た作品ですね。ちょっと驚いた事が二つ。

一つはJ・HALLとのデュオ・アルバム”INTERMODULATION”の中から”All Across The City”がスコア付きでUP、二つ目は、少し前に紹介したGETZとの”LIVE IN BELGIEUM”から”The Peacocks”があの赤いカヴァと伴にフューチャーされていた。どちらも秘かな愛聴曲なので・・・・・・・・

監督のB・スピーゲル氏と波長が合います(笑)。

シンプルなタイトルの二作を。

 

 

 ”TRIO 64”(1963.12.18 )

昔から「通」の間では高い支持を受けているアルバム。エヴァンスはマイ・ペースで、ピーコックはノンビート・ライクで付かず離れず、困惑気味で腕は動くが手は動かないモチアン、そうした微妙な演奏空間に聴き耳が立つのだろう。

飽くまで想像の域を出ないけれど、TOPの”Little Lulu”(TV番組の主題歌)はエヴァンスにとって本意だったのだろうか?ひょっとして交換条件として好きな「サンタが街にやってくる」の収録を主張したのでないかな。聴き比べるとノリが違う。

本作の聴き所はB面のラスト3曲、”For Heaven's Sake”、”Dancing In The Dark”、”Everything Happens To Me”。

エヴァンスはソロ・ピアノ気分で弾き、能弁ではないけれど語りは決して薄口ではない。”Dancing In The Dark” の後半、ピ-コックがエヴァンスに周波数を合わせるパートはGooで、それなら他も、演れたのに・・・・・・と(笑)。でも、聴くほどに渋さが増す3曲ですね。なお、ピーコック、モチアン、二人とも映画のインタビューに出ている。

 

”TRIO 65”(1965.2.3)

人気曲をズラッと揃えた一枚。意図せず初心・入門盤としてのイメージが付き纏っているのか?演奏レベルの割に今一つ人気がない。どうせならRIVERSIDE盤を聴けばいいとでも聴き手の心理が働いたのか・・・・・・・、また、整い過ぎが裏目に出た感が無きにしも非ずです。ベスト・トラックは皮肉にも初出の”Who Can I Turn To”か、こうした曲を弾かせたらエヴァンスの右の出る者はいない。

 

で、これも推測ですが本作録音の下地となる作品がこれではないでしょうか。

 

1964年7月7、9日、CAのThe Trident in Picturesque Sausalitoでのライブもの。リアルタイムではエヴァンスがリリースを強く拒み、VERVEとの契約が切れていた1971年、日の目を見た音源。その際、VERVEは「タウンホール」のカヴァを流用し、タイトルもそっけなく、味気ない青の単色摺りの仕打ちを。いくらビジネスと雖もちょっとえげつないんじゃない。ま、国民性の違いでしょう。

それはともかく、これが結構良く愛聴盤の一つ。ウエスト・コースト屈指の名エンジニア・W・Heiderの録音もいい。

ライヴとあってこちらもお馴染みの曲が肩を並べている。ただ、聴衆の反応が良過ぎてストイックなエヴァンスは「オレはこんなに客受けするプレイをしてしまったのか」と、自責の念に駆られたかもしれない。

リリースしない条件として、同じメンバーで完璧を狙って半年後、スタジオ録音したのが”TRIO 65”では?

この”Live”をすんなりOKするぐらいの大らかさを持っていれば、もっと長生きできたのに。

しかし、命と引き換えても「美と真実」を追求する姿勢こそ、エヴァンス流美学の「神髄」だったのだろう。凡とは違う。