jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

SJ誌 ・ モダン・ジャズ読本 ‘68 ・・・・・ 「新モダン・ジャズ十傑」

2017-01-28 | ジャズ・etc

 

 

半世紀も前の臨時増刊号が出てきた。1967年と言えば、コルトレーンの急逝というジャズ界にとってショッキングな年でしたが、我が国では空前の「モダン・ジャズ」ブーム、「ダンモ」とも呼ばれ各地でジャズ喫茶が花開き、大いに賑わっていました。

自分もこの年の春から聴き始めたばかりですから懐かしいですね。

何十年ぶりに目を通しました。興味深かったのが「新モダン・ジャズ十傑」という座談会。選考者(敬称略)は、本多俊夫、岩波洋三、児山紀芳、野口久光、油井正一の五名。

今となっては、遠い昔話の感がしますが、当時の自分にとってはチンプンカンプンの話。

 

 

二年半前に「モダン・ジャズ10傑」を選出したばかりで、「新」をどう解釈するか、入口で確認したものの、「新世代」という何ともファジーな着地点から始まったため、途中から脱線気味に。

前回の「モダン・ジャズ10傑」に選出されたのは、ロリンズ、G・エヴァンス、マイルス、モンク、ゲッツ、ガレスピー、パウエル、ローチ、コルトレーン、ミンガス、パーカー、クリスチャンの10名と、言いたいところだが、何故か12名になっている。その経緯について触れられていないので分かりませんが、多分、紛糾した所産と推測できます。

前回で揉めたのは、「モダン」という「縛り」で例えば、エリントンが外された遺恨?があったようです(笑)。

今回も「モダン」という縛り、そして前回選出された者は除外、補欠選出ではない、というのが大原則です。

そもそも、僅か2年半の間に新しい「十傑」が生れるのか、と指摘もありましたが、「今後の期待感を含めた新世代」で一応、一致したけれど・・・・・・ 

予め編集部から候補者50名ほどがリスト・アップされ、一次選考は全員一致(フルマーク)で、A・アイラー、O・コールマン、E・ドルフィー、E・ジョーンズ、B・エヴァンス、C・テイラーの6名が決定。時代を反映して、ニュー・ジャズ派がズラリと。

ところで、その50名ほどのリストの中で、?と思う人達が随分います。例えば、A・ファーマー、J・ハンディ、G・マクファーランド、ラロ・シフリン、ジェラルド・ウィルソン、D・ザイトリン、J・ホール、G・ザボ、A・ゾラー等々、他に名を挙げればキリがありません。ま、自分が知らない(活動を)だけかもしけませんが。

で、二次選考で残りの4名を選出する前に、ある一人から、リスト外で対象候補者を挙げてはどうか、と提案が出されすんなり承認。筋書き通りか?

ここから、当初の縛り、大原則が崩れ、自己主張の世界が始まる(笑)。前回選出済みで死んだはずのコルトレーンの名が挙がるほどの迷走ぶり。

結局、D・チェリー、L・コニッツ、G・ラッセル、D・エリントン、H・ハンコック、R・ディビスが、アレ、6名!また計12名に。

最後は、ギブ&テイク、立場上の力関係、押しの強さ、妥協ですね(笑)。10名なんて端から建前ですよ。

 

早い話、誰が選出されか関心はなく 、各人がどういう選考基準で、誰を、そして、どういうコメントをしているか、興味がありますね。

この辺りで止めようと思いましたが、チョット暇なので、もう少しお付き合いを・・・・・・・・・・・

 

おもしろい発言をピック・アップ。

★「前の10傑に入った人でもいいなら、マイルスを押したい」に対し、

 「彼自身はそれほど変わっていない」、「以前ほどスリルがない」、「エリントンを降ろすのになぜマイルスを二度も入れなければならないのか」と反対意見が出て却下。マイルスに聞こえたのかも(笑)。エレキを導入し始める。

 

★リスト外の「コニッツを強く推したい」に対し、

 「果して新世代の音楽としてどうか」と「それなら他にも良い人がいる」と反対意見もあったが、提議者の「今から考えれば、前回、ゲッツを入れてコニッツを落とすなんて・・・・・・・・・・・・一言いいたい」で逆転勝訴。もう怨念?と立場上の力関係ですね。

 

★一次選考で3人も当選に挙げ次点トップのC・ロイドについて、二次選考では

「この人はクリティック・ポールで一位になれない人なので落す」の一言で却下。変な理屈だなぁ~ 3人の立場も無いし。なお、キース、ディジョネットの名はかけらすら出ていない。 

 

★「ロリンズを落としたら、コルトレーンも前回入っているから落し、アイラーに代表させましょう」、「そうしましょう」と、

もう支離滅裂状態に。

 

★一次選考でD・エリス、B・ハッチャーソン等よりかなり低く、D・アイゼンソン並で誰一人、当選に挙げなかったハンコックなのに、二次選考で4人が豹変、A・シェップとの接戦を制し大逆転勝訴。

「入れないと心ある人から笑われる」と、全く意味不明です。

 

発言者名を記するとリアリティが増しますが、50年も前の事なので伏せます。

 

 「選考座談会」より、「古の読み物」と懐かしむ方が良さそうですね。


THE OPENER / CURTIS FULLER ・・・・・ オリジナルが欲しい愛聴盤

2017-01-21 | ジャズ・tb

 

 

 

「BN 1568」と言えば、泣く子も黙るコレクターズ・アイテムの一枚。その一つ前、と言うと・・・・・・・・

C・フラー、BN・初リーダー作‘THE OPENER’(1567) 

 

パーソネルは、

Curtis Fuller(tb) Hank Mobley(ts) Bobby Timmons(p) Paul Chambers(b) Art Taylor(ds)

1957年6月16日 録音

 

PRESTIGEに初リーダー作を録音した後と雖も、レーベル「初」となれば、威勢のいいナンバーをTOPに置くのが常套なのに、敢えてバラードからスタートさせ、B面のTOPにも。しかも、モブレー抜きのtbカルテットです。こうしたプログラミングはBNの中でも異例ですね。フラーの素質を見極めたライオンの慧眼と言うべきでしょう。

同じ編成で、ほんの二ヶ月前にロリンズのオールスター・キャスト‘Vol.2’(1558)があり、注目度は低いけれど、秘かに愛聴されているファンは少なくないのでは。

A-3、その名の通り、エスニック・フレーバーを効かしたO・ペティフォード作‘Oscalypso’もいい、ラストのガーシュインの‘Soon’では、まるでココアのような温かな懐かしさに包まれる。

全編に亘り、ティモンズの衒いのないpがイイ。

‘A Lovely Way To Spend An Evening’、「素敵な夜を」、なるほど。

 

所有する盤は、RVGの刻印がない再発のUA盤。 b、dsはやや存在感が薄いけれど、シビアに聴かなければ、tb、ts、pはそれほど悲観するほどではありません。オリジナルはエッジがしっかり立っているのでしょう。

こってりとコーティングされたオリちゃんが欲しい、それも美品で。1、2度、出会いがありましたが、カヴァの4角がやられていました。

 

 

ストライプがハッキリし、黒潰れしていない。ライトの照りも、タバコの煙もリアル。

出来れば「Vol.3」(1583)も欲しい。準オリでも構わないけど。

耳の劣化に、間に合うかな?(笑)


「珍しさ」は、まだまだ ・・・・・・・ Dodge Avenger

2017-01-17 | 

 

 

 

雪解けの泥落しにディラーへ。

3~4ヶ月をメドに簡易コーティングを掛けており、丁度のタイミング。車内まで綺麗に清掃付きで3,500円+消費税、夏や冬場のCPは高いと思う。

 

スッキリした後、カフェに寄り道。帰ろうとドアを開けた所に、ほぼ同世代の男性が近付いてきてエンブレを指差しながら、「これは、どこの車ですか?」と。

「ダッジというアメ車です」と、「あぁ、ダッジですか、名は聞いた事がありますが、初めてです。ピカピカでまだ新しいですね?それに、ワイルドですね」と。

「いえいえ、10年目に入ります、走りはマイルドですよ(笑)」と言うと、目をパチクリしていました。

自分は見慣れているので気が付きませんが、傍からチラッと見るとそう見えるのでしょう。定期的にコーティングしている効果かも。

走行距離も73,000キロを超え、さすがに足腰に衰えが見え始めましたが、珍しさは「まだまだ」のようです。


老兵、生き延びる ・・・ VRDS-25X & 帝王マイルスを撮った男

2017-01-12 | ジャズ・tp

 

 

修理に出していたVRDS-25Xが年越しで戻ってきた。二年半ほど前と同じ症状でトレイが開閉しなくなり、もう寿命かなと、思ったら、「まだ治して聴くだけの価値ある機種です。ただ、トレイがベタついていたらコストは掛かりますが、それも治さないと、また開閉に支障が生じます」と。確かに、以前もベタついていましたが、最近、特に酷くなっていました。

開閉用ベルト交換とトレイの研磨でちょっと費用が嵩みました。でも、CDを聴く頻度は僅かなので買い替えするほどでもなく、VRDS-25Xの「音」自体、今のシステムに合っている。

 

9日付けの日経の文化欄に「帝王マイルス撮った男」と題してカメラ・マン、内山 繁氏のコメントが掲載された。1981年に復活したマイルスの来日公演からレンズ越しにマイルスを追った男の回想録。「帝王に最も近付いた日本人」と呼ばれる。

当時のSJ誌の編集長に半ば強制されたそうで、本人はあまり気が進まなかったのか、初めは要領も得ず、名古屋公演の際、ホテルで「撮るな!」とマイルスに凄まれ、すくみ上がったそうです。

アポイントを一方的に反故にしたり、人前で相手を罵倒したり、社会通念では「ちょっと、なぁ」、と思えるマイルスの言動は、実は「ボスとしての振る舞い」だった、と語っている。つまり、「真意」と別なワケだ。

 

この名古屋公演、自分も聴きに行ったが、音楽として「体」をなしていなく、1時間もしない内に席を立った。後から聞くと、このツアーのマイルスの体調は最悪だったとか。運がありませんでした。でも「チケット代(結構高い)返せ」と思った人が多かったのでは?本音は「僕も」です(笑)。

 

VRDS-25X、復帰後の一発目は、久し振りに MILES DAVIS / ON THE CORNER

 

 

リズム隊がパッと鮮やかに舞い上がる。24 BIT デジタル・リマスターされた外盤。ちょっと驚くほど良い音だ。ただ、当時の音造りを反映し、tp、sx、g等はリズム隊に紛れて聞こえる。

リズムは複雑なようでパターン化されているので聴き慣れてくると意外に単調に感ずるし、ボリュームを上げても、川向うで演奏しているようで、演奏者の熱気、カヴァからイメージする奔放な躍動感が伝わってこない。つまり、演奏者の「顔」が見えてこない。この頃、既にテープ編集は常套化されているので、そのせいなのかもしれない。

本作について、「感性」の問題と話を逸らすシンパの人達がいるけれど、テープ編集(を前提した録音)を「是」とするほど肥大、拡大した「感性」が果して必要なのだろうか? 勿論、レコード、CDを一つの流通メディアとして「即物的」、「現実的」に聴き、感じることに何ら問題はありません。ただ、「線引き」を失ったら・・・・・・・・・ 

尤も、マイルスが「いや、オレはジャズなんて演ってないさ、オレの音楽を・・・・・」となれば、話は別。それにテオとの共同謀議(笑)ですから。

世の中、うまい事を言う人がいて、エレキ・マイルス作品はまるで「プロ野球の好プレイ集、ゴルフのナイス・ショット集を見ているようだ」と。

 

ところで、「帝王」という定冠詞は何時から付いたのだろう?マイルスが最も嫌う言葉と思うのだが。

マイルスが聞いたら、「いいか、オレの前で、二度と使うな!」と恫喝されるのでは・・・・・・・・


今年の初レコは ・・・・・ OPEN, TO LOVE / PAUL BLEY

2017-01-07 | ジャズ・p

 

年初めのレコ探しは楽しい半面、ちょっと悩ましい。

ブログupとなれば、尚更。普段着で都心に出掛けるようなチョイスは拙いし、かといって構え過ぎても重い。

新春のイメージを ・・・・・・

思い浮かんだのが、初酒に飲んだ「霄」、澄み渡った大空のような「透明感」。

選んだ一枚。一年前の1月3日、プレイは「霄」へ飛び立っている。

 

 

              

 

 

ブレイを語る時、「C・テイラーに続くフリー・ジャズ ピアニスト」という枕詞が習慣になったせいで、初めはちょっと近寄り難い存在かも。でも、ある程度、間口が広がり奥行きも深まると、避けて通れない、という特殊な立ち位置には違いない。

ブレイはオーソドックスなスタイル(Debut盤、EmArcy盤)から始まり、徐々にフリー化したピアニスト。ロリンズの‘MEETS HAWK’(63年・RCA)に参加、共に来日(63年9月)もしている。インタヴューで「金を稼ぐためにこのバンドにいる」なんてしゃあしゃあと答え、不幸な生い立ちからか、まるで「この世の中、きれい事ではすまないぜ」と開き直っているように聞こえる。

本当かどうか分かりませんが、マイルスとロリンズに声を掛けられ、迷っている間にマイルスはハンコックと契約したため、ロリンズのバンドに入ったとか。歴史に「If」は付きもの、逆だったならば・・・・・・・想像するだけで面白いですね。 

それは兎も角、1964年の「10月革命」に名を連ね、JCOAの前身となるJCG(ジャズ・コンポーザーズ・ギルド)に参加、一気に左傾化していく。

 

そのブレイが、ピアノ・ソロ ブーム(だから、初めは乗り気でなかった、と本人は述べているけど)の中、「満を持して」の如く吹き込んだアルバム。1972年 オスロで録音。音を積極的に埋めるのではなく、消極的にちりばめる「ブレイの体臭」、「ブレイの美学」が些かも希釈されることなく刻まれている。ソロだがモノトーンではない。

この作品が成功している要因の一つは全曲、ポール、カーラ、そしてA・ピーコックのオリジナルで固め、ほぼ同じスローなテンポで通し、妙に緩急を付けたり、リズムに変化を持たせなかった所と思う。

 

「官能」、「エロティシズム」を感ずるというコメントを多く見受けますが、どうでしょうか。不幸にしてそうした感受性を持ち合わせていないなぁ~。女性関係に妄想を逞しくした後付けでは?

ま、B-2、仄かなブルース・フィーリングにゴスペル・タッチをスパイシーにブレンドしたブレイのオリジナル‘Harlem’では、エロっぽさ、いえいえ、・・・・・・・良いですよ、この曲。

 

所有する盤はECM原盤ではなく米POLYDOR盤ですが、不思議に「音のクオリティ」が良い。もともと明晰なピアノ・タッチに磨きが更に掛かっている。でも、決して研ぎ澄まされてはいない。


今年の新春酒は ・・・・・ 旭日「霄」

2017-01-04 | 日本酒・洋酒

あけましておめでとうございます。

三が日が穏やかに過ぎました。今年もよろしくお願い申し上げます。

 

初酒は滋賀県・藤居本家の「霄」(そら)、知らない漢字でした。大空、天空、はるかな天の意味との事。

山田錦40%精米無濾過・純米大吟醸 原酒(17度)です。香がいいですね、娘の言葉を借りると「フルーティ」と。やや甘口で品よく澄んだ味。お正月にピッタリでした。日本酒と思わせないクリスタルなボトル・デザインが良くマッチしている。

 

 

 

他に2本。右が同じ旭日の「深酒冬・十水仕込み 純米生原酒(18度)」。十水仕込み(とみずしこみ)とは、江戸後期、米十石に対し十石の水、容積換算で一対一になる濃厚な仕込み製法で薄にごりになっています。新モデルで若者達を意識しているのでしょう、甘口で微発泡ですね。娘の一押しがこれ。パーティなんかに良く合いそうです。微発泡なので喉越しはさっぱりしていますが、結構、濃厚、後からボディ・ブローのように効いてきますよ。

 

左は、閉館間際に飛び込んだ「金龜」で知られる岡村本家の近江乃・本醸造生原酒「しぼりたて」。新米酒で19~20度と、かなりハードですが「うまい」。普段、あまり飲まない息子も気に入ったようです。CPは極めて高い。

 

 

三種三様の近江の良い酒でした。