jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

モダン・ジャズの墓標 ・・・・・ BRILLIANT CIRCLES STANLEY COWELL

2021-08-28 | ジャズ・p

FREEDOM FLP 40101

 

マイルスの”BITCHES BREW”が録音された69年8月の一ヶ月後、同じニューヨークで70年代のモダン・ジャズ・シーンを担うだろうと嘱望された次世代のホープ達による作品が録音された。彼らの気持ちをストレートに表現したピュアで真摯なこの演奏は行き詰まった感のある当時の「モダン・ジャズ」の新たな突破口になる可能性を秘めているように見えたが、時の女神が微笑むことはなかった。

本作は、当時メキメキと頭角を現し、玄人筋に評価の高かったカウエルをリーダーにソロイスト4名がそれぞれ一曲づつ持寄った野心作。アヴァンギャルド・テイストを随所に振り撒きながら時には熱く激しく時にはクールに明日のジャズを目指し己の力を精一杯出し合っている。若いだけに小さく纏まらず伸び伸びとイマジネイティブな世界が描かれ、一気に全4曲聴き通しても集中力が途切れることはない。

異論を承知の上で大局的な見地から言えば”BITCHES BREW”で「モダン・ジャズ」は終わってしまったと言っても差し支えない現状から顧みると、50~60年代を加速度を増しながら変貌に変貌を重ねた「モダン・ジャズ」の精製された一つの結晶とも思える本作でさえ時代の潮流には敵わなかった。

パーソネルは、

STANLEY COWELL(p)  WOODY SHAW(tp) TYRONE WASHINGTON(ts,fl,cl)  BOBBY HUTCHERSON(vib) REGGIE WORKMAN(b) JOE CHAMBERS(ds)

Produced By Chris Whent & Alan Bates

当時の精鋭達による「モダン・ジャズ」の未来を信じた本作は結果的に「モダン・ジャズの墓標」になったが、69年、まだ熱い息吹は残っていた。

 

”Bluespirits(2004..1.28)

PS,

最近の活動を検索すると、何と!昨年の12月17日に亡くなっているではありませんか。享年79。

ご冥福をお祈りいたします。

 


かって風雲児の一人だった ・・・・・DESTINATION OUT / JACKIE McLEAN

2021-08-22 | Aggressive Voyage of Jackie McLean

 

10年ほど前、TSUTAYAの創業者、増田氏がTV番組「カンブリア宮殿」にゲストとして出演され、その時、増田氏はインパクトのあるコメントをさりげなく言われた。

要約すると「一からのオリジナルでなくても、あるものとあるものを組み合わせることによっても、オリジナルと言える価値あるものができる」と。うぅ~ん、さすが、ベンチャー界の「風雲児」と知られる方の一言って、重みというか説得力がありますね。

60年前、マクリーンの‘Aggressive Voyage’は同じように価値ある道のりだった。”ONE STEP BEYONDに次ぐ本作は、bとdsは異なるもののモンカー、ハッチャーソンが入った同じクィンテットでカヴァのマクリーンから想像できるように、ハード・ボイルド度をより深めている。前作同様、片面2曲ずつ、計4曲、マクリーン、モンカー、ハッチャーソンのソロがたっぷり聴ける。

一曲目、モンカーのオリジナル・バラード'Love And Hate’、この一発!で殺られてしまう。バラードと言っても、通常のバラードとは趣を全く異にしている。
朝もやの中、まるで遠くに聴こえる念仏のようなテーマの後、目の前に修験者、マクリ-ンがパッと現れ、深く静かに吹き始める。所々、ラプソディックなフレーズを織り交ぜながら、真正面から迫る腹の据わったソロに心が揺さぶられる。

確かに、マクリーンは変わった。


ある本のなかで、マクリ-ンはかってこう述懐している。

「プレスティッジ時代は、自分なりにありのままを出していたのに、いつも、パーカーと比較され悩んだこともあった。ハード・バップ~モードに至る自然の流れは自分にとってピッタリ合ったものと感じたが、何か欠けていて、パーフェクトではなく、そこにサムシング・エルスを加えなければ自分の音楽は完成しないと思った。BN時代初期の作品に於いても、音楽的不満は解消されず、そんな頃、ファイブ・スポットで聴いたオーネツト・コールマンに体中、電流が流れるようなショックを受け、これこそ、自分が求めていたサムシング・エルスの答になるのではないかと思え、試行錯誤の中で初めて満足の出来る作品が”LET FREEDOM RING”だった。これを更に発展させるには、レギュラーコンボを持ちたいと考えた」と。

そして、63年になってレギュラー・クィンテットを結成、4月30日に吹き込んだのが”ONE STEP BEYOND”。ハード・バップ、モードとフリー・ジャズを融合させた新境地こそ、マクリーンが追い続けたオリジナリティ溢れるジャズだったのだ。
 
祈りとも念仏とも聴こえるこの'Love And Hate’の厳粛さは、アグレッシブ・マクリーンの極みの象徴と言っていいだろう。

3/4拍子から4/4拍子と変化するスリリングな‘ESOTERIC’、爽快なスピード感と火傷しそうな熱いソロが続く‘KAHLIL THE PROPHET、どことなくほんわかムード漂うブルース曲‘RIFF RAFF’、どれをとっても密度の濃い演奏が続く。つまり、モンカー、ハッチャーソンを始め、メンバー全員のベクトルが正に一つ!
本作も前作同様、マクリーン自身がライナー・ノーツを書いており、、こんな一節がある。
‘Everything changes with time, and music is no different. Today the compositions are getting more and more involved with form, rhythm changes and breaks.
更に、
‘Today we live in an age of speed and variety,We live in an age of men seeking to explore worlds beyond.

 

(1963. 9. 20)

60年前、マクリーンは、風雲児の一人だった。ジャズ・マスコミが盛上げ喧伝するハード・バップ・ジャッキーだけがマクリーンではない。

”Bluespirits”(2012.3.2)


真犯人は ・・・・・ ベルト

2021-08-14 | お遊びオーディオ

 

先月末辺りから音の出方が不調(ひずみ)となり、原因はアームの針圧不良を疑ったけれど、問題はなかった。ひょっとしてアンプか?と、サブのプレイヤーを繋いで再生すると、ちゃんと出てくる。

犯人はもうコレしか考えられません。

 

 

プラッターの外側にベルトを掛けるタイプなので、常に目視出来る、そこが盲点、油断ですね。

ストロボスコープでチェックすると、やはりプラッターの回転が不安定でした。

交換した時期は思い出せないほど昔で、かなり伸び切っていた。今までよく気が付かなかったもので、自分の感度がイヤになるほど鈍っている。

 

 

 

ストックしてあった新しいベルトと交換を。今までのベルトより幅広(6㎜→8㎜)です。

 

 

直りました。音の出方がおかしくなったら、先ず回転系統のチェックですね。基本中の基本です。これを怠りました。

かなり年季ものですが、もう少しだけ頑張って欲しい。

 

 

大雨も加わり、世の中、大変な状況ですが、頑張って凌いでいきましょう。


針圧計導入

2021-08-08 | お遊びオーディオ

 

最近、アームの針圧を調節するダイヤルがスムーズに回らず、やや引っ掛かり気味になった。もう30年近く使っているので、そろそろおかしくなっても不思議ではないけれど、メンテに出すのは面倒なので、取りあえず針圧に間違いなければOKと考え、針圧計を購入しました。

精度がポイントなので、信頼できるブランドものを選びました。バック・ライトが点き見易いです。

 

 

最初に選んだカートリッジはDL-102、指定針圧は3±1gで普段、2.5gにしている。

 

 

 

目盛りを2.5gにセットして計測を、オォ、2.49gを示しました。素晴らしい精度ですね。アームがよいのか、この針圧計が優秀なのか、両方かも(笑)。

 

 

これで安心して愛聴盤の一枚、”TENORS HEAD ON”を

 

 

全体にカミュカのソロの方がパーキンスを上回っていますが、B-2”OH! LOOK AT ME NOW”でのパーキンスのソロは持ち味の春風駘蕩がだれることなく見事に展開されている。また、二本のsaxが付かず離れず、そして一体化するエンディングは何度聴いても心地良いですね。