活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

千々石ミゲルⅢ

2007-12-04 12:20:27 | 活版印刷のふるさと紀行
「遣欧使節対話録」、またの名を「デ・サンデ天正遣欧使節記」ともいいます。
使節一行はマカオまで帰って来て祖国の様子見もあって2年近く滞在します。
その間にドラードたちの手によって印刷された本がこれです。いわば、天正遣欧使節のヨーロッパ見聞記です。

 ヴァリニャーノがみんなのメモワールを集めて翻案編集したとも言われておりまが、それは眉ツバ。ヴァリニャーノが執筆した著作をドゥアルテ・デ・サンデ神父がラテン語にしたもので450ページの大著です。

 構成はミゲル主役の対話話形式になっております。その時点ではまだマカオにいる彼が、本の上では帰国していて、甥のレオとリノにヨーロッパの諸事情を語り聞かせているのです。架空ルポルタージュであり、ヴァーチャル対談といえるこの仕組みが、まっすぐなミゲルに受け入れられるはずがありません。

 ヴァリニャーノはミゲルのために「よかれ」と思ってのことだったかもしれませんが、ミゲルは納得できません。さきの「マルチノの演説」とこの「遣欧使節対話録」がミゲルのヴァリニャーノ不信のヒキガネになり、イエズス会以外の修道会に目を向ける原因になったと私は考えるのです。できれば、その辺は、青山敦夫の新刊『千々石ミゲル』朝文社でお読みください。また、宣伝してしまいました。



 
コメント
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