活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

キリシタン版の謎、印刷機

2007-12-07 12:34:32 | 活版印刷のふるさと紀行
 さて、この辺で何回か前の「キリシタン版の謎」に戻ることにします。
といいますのは、2週間ほど前、長崎でのある勉強会でキリシタン版とドラードについて講演をしましたところ、いちばん、皆さんが興味を持ったのが私の「キリシタン版を印刷した印刷機は1台ではなかった」というクダリでした。

 キリシタン版を印刷した印刷機は1586年にリスボンで船積みされて、1590年の夏に加津佐に陸揚げされました。遣欧使節たちが2年近く滞在したマカオでは船から下ろされて使用されていますから、4年間船に積んだままでなかったのはもちろんです。

 そして、加津佐を振り出しに天草、長崎と場所を変え、ドラードたちがマカオに追放された1614年に、また、船積みされてマカオに行き、はては、マニラの教会付属の印刷所に転売されたといいます。

 わかっているだけで、24年間の計算になりますね。しかも、その間に70種類以上のキリシタン版を印刷しています。印刷しにくいが和紙が相手です。印刷部数も多い本ですと1000部とか1500部のものがありました。

 とても、1台では無理ではないでしょうか。つづく。
コメント (3)
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