活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

印刷も製本も時間が経ってみないと

2008-02-10 22:13:27 | 活版印刷のふるさと紀行
もう、何年になるでしょうか。印刷のデジタル化が進んで「印刷工程」そのものがすっかり変わってしまってから。
 恐らく、アナログ主体のかつての「印刷」は昭和とともに、その姿をほとんど消してしまいました。ですから、やがて、20年になるのです。
 
 とくにめざましいのは、製版のような「マエ工程」ではないでしょうか。たとえば、ポスターや本の表紙の装丁などのカラー・デザインにしても、いまや、デザイナーが作成したデーター入稿が当たり前で、版下をおこしたり、フィルムを何枚も使って色別に製版したりするような手作業は印刷現場から消えてしまいました。
 
 ひょっとしたら、昔のような製版名人、レタッチ名人はいなくなっているかもしれません。
 
 そこへ行くと、製本のようなアト工程は、まだ、かなり、アナログといいますか、手作業が残っています。
 しかし、昔は人間の手でやっていたことが、マシンに切り替わっています。
 折屋さんで、おばさんが、ひじに腕カバーををして、指に竹の指サックをはめて
黙々と製本のための折加工をしていた風景など夢の夢です。

 私の好きな製本や紙工の事業所のこの通りで、よく見かけるのは、接着剤事業部
などと書いてある合成剤メーカーの配送車です。
 強力な接着剤の出現で製本や紙加工に要する時間は大幅に短縮されました。あれだって、糊付け、天日干しの時代があったのです。

 印刷も製本も時間が経ってみないと、「果たして出来は」の要素があります。果たして…。写真は小石川植物園の千石よりの門のところです。

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