活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

平野富二と明治人の骨格

2010-11-14 15:06:12 | 活版印刷のふるさと紀行
 平野富二の肖像写真をじっと見ていると、平成の現在にあっても、町中でも電車の中でもごく普通に見られる日本人の顔で、明治の人という感じはしません。
そうお思いになりませんか。

 ところが彼の生涯を辿ってみますと、あきらかに明治人の太くてたくましい骨格を感じずにはいられません。
 奇しくもふたつとも司馬遼太郎が味付けをしたものですが、近々第2部が始まるNHKのテレビドラマ『坂の上の雲』にしても、今年の連ドラ『龍馬伝』にしても、主人公には一様にはっきりしたものが備わっております。

 私はその正体は「志」だと考えます。
 明治という時代を動かした人、明治という時代に傑出した人に共通するものは、ゆるぎない彼ら自身の「志」だったと思うのです。秋山好古、真之兄弟も坂本龍馬も。

 平野富二が本木昌造からひきついだ印刷事業を大成させ、平野造船所を興し、現在のIHIにつながる重工業の企業を切り開いたのも彼の志のなせるところだったと言えるでしょう。

 まったく余分なことですが、平成の時代の若者には「志」と呼ばれるものがないように思います。「夢」というような言葉に置きかえられているようですが、かなり個人的な願望に過ぎず、時代を動かし、時代を創るという気宇壮大さはありません。

 これも余分なことですが、徳川幕府が目の前で崩壊したとき、多くの幕臣たちは駿府に移り、沼津兵学校で勉強を始めます。彼らの志の探究に、神田川大曲塾では来週、沼津に勉強にいくことになっております。明治人の骨格調査とでもいいましょうか。



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