活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

百万塔陀羅尼の謎

2012-11-14 16:30:17 | 活版印刷のふるさと紀行

 「ひゃくまんとうだらに」、まさか百万回には及びもつきませんが、私自身、過去に1万回は「百万塔陀羅尼」を口にして来たはずです。いや、百万塔陀羅尼にご厄介になって来たといってもよいと思います。

 なぜか、それは日本の印刷の歴史を語るとき、この世界最古の印刷物としての百万塔陀羅尼を抜きにできませんし、印刷会社の広報マンという職掌柄、日本の印刷の歴史のアタマでどうしてもおつきあいしなくてはならない対象でした。

 さて、この写真の百万塔は11月7日に大阪のモリサワ本社のコレクションで撮影させてもらいました。いまさら、解説は不要でしょうが、百万塔陀羅尼は陀羅尼経を印刷した100万巻の紙(写真下部)を100万の小さな塔に収めて、法隆寺、東大寺、西大寺、興福寺、薬師寺など10寺に奉納したものです。 この百万塔もその100万基のうちの一つで、おそらく法隆寺に収められいたものでありましょう。白い塗料が剥げ落ちていますが、どこにあったのでしょう。

 百万塔陀羅尼には謎がたくさんあります。木版で印刷したのか、金属に文字を鋳造して印刷したものなのかも断定されていません。また、この膨大な印刷物が764年(天平宝字8)から794年(宝亀元)にかけてどこで、どのようにして印刷されたかも解明されていません

 それと藤原仲麻呂の乱で戦死した将兵の鎮魂のために称徳天皇が造らせたといいますが、日本の歴史上数少ない女帝で1代前の孝謙天皇と同一人であられたこともなんとなく謎めいていてここにも謎や古代のロマンが隠されていそうです。

 

 

 

 

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