司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

特例有限会社の商号変更と会計監査限定の登記

2016-12-17 16:01:10 | 会社法(改正商法等)
 平成18年5月1日の会社法施行時において,監査役を置く旨の定款の定めのある特例有限会社の定款には,会社法第389条第1項の規定による定めがあるものとみなされた(会社法整備法第24条)

〇 会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年7月26日法律第87号)
 (監査役の監査範囲に関する特則)
第24条 監査役を置く旨の定款の定めのある特例有限会社の定款には、会社法第389条第1項の規定による定めがあるものとみなす。

 ところで,平成26年改正会社法(平成27年5月1日施行)においては,監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社であるときは,その旨が登記事項とされた(会社法第911条第3項第17号イ)が,特例有限会社については,この規定は適用されない(整備法第14条の規定による改正後の会社法整備法第43条第1項)。

 したがって,特例有限会社においては,監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めは登記事項ではないのであるが,それでは,監査役を置く旨の定款の定めのある特例有限会社が商号変更により通常の株式会社に移行した場合(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めは存置するものとする。)は,如何?

 平成26年改正会社法(平成27年5月1日施行)前から定款の定めがあったものの,登記事項ではなかっただけのことであり,商号変更により会社法第911条第3項第17号イの規定の適用を受けることになったわけであるから,商号変更の登記の申請と同時に会計監査限定の登記を申請することになろう。整備法第22条第1項の規定は,形式的には適用されないから,同時に申請しなければ,もちろん過料の問題が生ずることになる。

 ところが,この場合に,「会計監査限定の登記は不要」と指導している登記所があるらしい。

 不可解な話だと思ったが,法務局HPの登記申請書例において,おそらく誤っているのであろうが,別紙「登記事項」に載っていないのである。
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001188898.pdf

 整備法第22条第1項の規定は,単に登記申請に関する猶予期間を定めているに過ぎない。特例有限会社が商号変更により通常の株式会社に移行した場合には,もちろん会社法第911条第3項第17号イの適用があるのである。

 早々に訂正すべきである。

 余談ながら,特例有限会社の監査役の権限に関して,業務監査権限ありと変更することができるかについては,議論があるところであるが,

cf. 平成26年11月30日付け「特例有限会社における監査役の権限」

 そもそも論から言えば,「会計に関するものに限る」というのであれば,会社法整備法にその旨の明示の規定が置かれているはずであり,そのような規定がなく,単に定款のみなし規定のみが置かれているに過ぎない以上,「みなし規定」については定款変更が可能(業務監査権限ありに変更することができる。)と解するのが,当然の理であろう。
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相続税の課税対象は8%に

2016-12-17 09:35:52 | 税務関係
国税庁ニュースリリース
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/sozoku_shinkoku/sozoku_shinkoku.pdf

「平成27年中に亡くなられた方(被相続人数)は約129万人(平成26年約127万人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約10万3千人(平成26年約5万6千人)で、課税割合は8.0%(平成26年4.4%)となっており、平成26年より3.6ポイント増加しました。」

 やはりと言うべきか,存外に少なかったと言うべきか。

cf. 朝日新聞記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161216-00000024-asahi-soci
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