山梨のワインのブログ

山梨の酒屋の4代目が、ワインを中心に、山梨の酒を、愛を込めて書き溜めます。

山梨産ワインの原料

2009-05-30 16:30:22 | ワイン四方山話
最近、食品の原産地が話題になっていますね。原産地が外国表示になっていると、買うのを控えたり、日本製のものを探したり。
 山梨産のワインはどうだろうか。
山梨は葡萄の生産高が日本一だから、葡萄を原料とするワインは100%山梨産葡萄でできている、のは間違いです。山梨産ワインの中には、外国産の原料が使われているワインがあります。
 ワインのラベルを見ると、原料の原産地が書いてあるものもあります。書いてないものもあります。ただし、今後外国産の原料を使っているワインはすべてその旨が表記されます。ラベルに原料の記入が無いものは、すべて国産葡萄使用が前提になります(県産でなく国産です)。
 それではどうして山梨県産ワインに外国の原料が使われるのでしょうか。それは葡萄品種と価格にあります。
 まず、山梨県産ワインの使われる葡萄の代表的品種は、白=甲州種、赤=マスカットベリーA種があります。甲州は1300年前から栽培されている山梨の伝統的品種、マスカットベリーA種は新潟県の偉人、川上善兵衛氏が昭和の初めに品種改良で生まれた日本で栽培しやすい品種。どちらも、もともとは食べる葡萄(生食用)として、山梨では広く栽培されていました。当然ワインの原料にも使われました。しかし、外国産ワインと比べると、どうも山梨産ワインは味が物足りなく感じるようになりました。それは原料の葡萄に原因があります。
 外国のワインは、ワイン専用の葡萄品種があります。白ワインならシャルドネ種やソービニヨンブラン種など、赤ワインならカベルネソービニヨン種やピノノワール種などが有名です。ワイン専用品種で作られるワインは味がしっかりしています。日本でも、このようなワイン専用品種はどんどん植えていますが、需要に供給が追い付いていません。もう少し経つと、山梨産シャルドネ、山梨産カベルネソービニヨンのワインが出てきます。それまでは、外国から原料を購入し山梨産ワインと混ぜ、味に深みを出しています。
 次にコストですが、山梨の葡萄は、外国のワイン専用葡萄と比べると高いです。これは葡萄だけなく、食品全般をはじめ、あらゆる分野のことなので、詳しい話しは省略しましょう。高い原料からは当然高いワインが出来ます。安くておいしい外国産ワインがどんどん輸入されると、山梨のワイナリーでも、外国の安い原料を使って外国産に対抗できる価格のワインを作りだしました。あらゆる業界で行われた事です。
 最近、地産地消の議論が盛んですが、山梨のワイン業界は20年前から、山梨の葡萄100%でワインを作ろうという議論が繰り返されています。ワイナリーによっては、県産、または国産葡萄100%使用の所が出てきています。同じお酒の業界では、ビールの原料はほぼ外国産、麦焼酎も外国産、芋焼酎でさえ、原産地の問題が話題になったのは最近の事。いかに山梨のワイン業界が良心的かは、他のお酒の業界と比べるとよく判ります。
 外国産原料を使うことが良いか悪いかの議論は尽きません。ここでは外国産原料を使う背景を述べてみました。
 

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