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【玉鬘(たまかづら)】の巻】 その(20)
玉鬘には、
「曇りなく赤きに、山吹のはなのほそなが」
――鮮やかな赤色の衣に、山吹色(表朽葉色、裏黄)の細長をとり添えた一揃え――
末摘花には、
「柳の織物の、よしある唐草を乱れ織れるも、いとなまめきたれば、」
――柳(表白、裏青)の織物の、由緒ありげな唐風の乱れ織りのあでやかなのを――
明石の御方に、
「梅の折枝、蝶、鳥、飛び違ひ、唐めいたる白き小袿に、濃きが艶やかなる重ねて」
――梅の折枝に蝶や鳥が飛び違い、異国風の白い小袿に濃い紫色の艶やかな衣を重ねて――
空蝉の尼君には、
「青鈍の織物に、御料にあるくちなしの御衣、ゆるし色なる添へ」
――青鈍の織物の、たいそう趣のあるのに、ご自分の御料の梔子色の御衣に、禁色でない薄紅のを添えて――
源氏は、同じ日(元日)に着るようにとお文をお回しになります。ご自分がお選びになったご衣裳が、本当にその人に似合っているかどうか、見廻ろうとのおつもりのようです。
紫の上は、見て見ぬふりをしながら、源氏が選ばれたご衣裳から、玉鬘のご器量を思い合わせていらっしゃいます。「多分、内大臣の派手やかでぱっと目立つようでも、優美という点は見えないのに似ているのかしら。」また、明石の御方へのご衣裳をご覧になって、
「見るからに高雅な人柄」に思いやられて、心外なことと、心持が良くありません。
◆紫の上は、玉鬘と明石の御方とは、全く顔を合わせていませんので、衣装から想像をしています。
ではまた。
【玉鬘(たまかづら)】の巻】 その(20)
玉鬘には、
「曇りなく赤きに、山吹のはなのほそなが」
――鮮やかな赤色の衣に、山吹色(表朽葉色、裏黄)の細長をとり添えた一揃え――
末摘花には、
「柳の織物の、よしある唐草を乱れ織れるも、いとなまめきたれば、」
――柳(表白、裏青)の織物の、由緒ありげな唐風の乱れ織りのあでやかなのを――
明石の御方に、
「梅の折枝、蝶、鳥、飛び違ひ、唐めいたる白き小袿に、濃きが艶やかなる重ねて」
――梅の折枝に蝶や鳥が飛び違い、異国風の白い小袿に濃い紫色の艶やかな衣を重ねて――
空蝉の尼君には、
「青鈍の織物に、御料にあるくちなしの御衣、ゆるし色なる添へ」
――青鈍の織物の、たいそう趣のあるのに、ご自分の御料の梔子色の御衣に、禁色でない薄紅のを添えて――
源氏は、同じ日(元日)に着るようにとお文をお回しになります。ご自分がお選びになったご衣裳が、本当にその人に似合っているかどうか、見廻ろうとのおつもりのようです。
紫の上は、見て見ぬふりをしながら、源氏が選ばれたご衣裳から、玉鬘のご器量を思い合わせていらっしゃいます。「多分、内大臣の派手やかでぱっと目立つようでも、優美という点は見えないのに似ているのかしら。」また、明石の御方へのご衣裳をご覧になって、
「見るからに高雅な人柄」に思いやられて、心外なことと、心持が良くありません。
◆紫の上は、玉鬘と明石の御方とは、全く顔を合わせていませんので、衣装から想像をしています。
ではまた。