第5回本試験を語る(軽く概観編) 補綴版

2010-05-17 16:32:19 | 司法試験関連
第3回,第4回,第5回とえぐい試験が3年続きましたが,感心するのが,そのえぐさの質が毎年違う事です。

第3回は,とにかく物量戦の様相を呈していて,事務処理能力の的確さ,処理スピードなどの面で苦労させられる系の問題でした。憲法や民事系大大問,刑事訴訟法が顕著な例といえます。

第4回は,一転,情報を圧縮したり,事前の判例学習・重要基本概念理解の深さを問われたり,質的にハードな試験といえました。憲法や,民訴,刑事系などが顕著です。

そして第5回の難しさはと言うと,現場処理型と言えば現場処理型なんですが,基本概念・基本判例の十分な理解を前提とした「現場思考」型といえましょう。憲法や民事訴訟法に顕著に見られた傾向です。また第3回同様に,設問自体で書くべきことを明確に指定してきているものの,それが多すぎて事務処理に手間取る,という傾向も復活したと言えます。

これまでの流れからすると,「不合理な」ハードさ(例えば第4回憲法は実質2問だった,商法が実務寄り過ぎた,第1回行政法が張り切りすぎた,など)は改善されますが,試験自体の難化傾向には歯止めがかかっていない状況です。易しくなるだろう,という見込みは「甘い」と言わざるを得ないのが現状です。受験生も情報戦の重要性には気がついてきており,受験指導校を利用するのが当たり前になりつつあります。受験生側も徐々に適応しつつあるので,戦いの激しさは増すと見た方が良さそうです。

確かに今年の問題であれば「開き」が相当出そうですし,また「開きが出るような」採点が可能と思われます。

全般的に見て,去年の民訴あたりから,基礎的な法的知識・理解力を前提とした,現場での事案処理型の問題に移行してきているような気がします。今となっては信じられませんが,第2回終了後の頃は,そのうち「ただの論文式試験」になるんじゃないかとか,事前に法的知識を詰め込む必要なくなるんじゃないか,なんて冗談半分に言われていました。そういう意味で激変してきています。明らかに要求水準が上がって来ています。

言わば「第2期新司法試験」における学習の方向性としては,基礎マスター・プロブレムメソッド論文マスターで,前提となる法理論・知識を身に付け,ケースメソッド論文マスターで「問題文の読み方」,判例分析等の方法を学ぶ,の連携プレーが王道だと確信しています。予備試験組みも参戦してくるのでこの傾向は変わらないと見ています。
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今年の試験を一言で言うと・・・。

2010-05-17 14:28:29 | 司法試験関連
「忍耐」

最後まで諦めず耐え切った者だけに勝者となる資格がある,正にそんな試験ですね。

「以上」まで8科目「揃えた」人は,チャンスあります。
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