初冬の朝、まだ本格的な寒さがやってくる前の、手袋も帽子もいらない晴れた朝はだんぜん気分がいい。
昨日、マラマッドの本を初めて開いたら、ページのすぐ下に、昔読んだ懐かしい本のページの映像が一瞬透けて見えた。ほんとうにそんな気がした。その本とは何だったか、思い出そうとしたがダメだった。子どものころ、目の前の光景を見ながら、頭の奥のどこかに同じ絵があると感じたときの息苦しさにも少し似ていた。
ヨーロッパの町を描写した小説だろうか? アルセーヌ・ルパン? ドイル? リルケ? カフカ?
こんな気持ちになったのは、最近フランスで起きたテロの報道と何か関係があるのだろうか。ヨーロッパのイメージが崩れていくような切ない気持ちにとらわれていたから?
そんなわけで、マラマッドの本はまだ一行も読んでいない。(2015.11.20)