一昨日、JR留萌本線の留萌・増毛間のディーゼル列車に初めて乗ってみた。二両連結の紛れもない列車の中はほぼ満席。大方が観光客で、みんなキラキラした視線をあちこち泳がせている。向かいの若者二人は例外的に眠っているが、三十分程度で終着駅増毛に着く列車ドライブなので、熟睡することはないだろう。
列車は、夏の淡い色の海と、列車を覆いつくそうとする茫々の草むらとの境い目をぬって、いたる所でレールを軋ませながら走った。この乗り物がなかったなら、とてもこんな深く濃い自然の中に入ってはいけない。
この区間は、今年の冬を迎える直前の十二月、廃止されることが決まっている。ヒトやネコの許から、またひとつ自然が切り離される。(2016.8.14)