SMAPの解散が決まった。我が家中もいろいろな風が吹き荒れ、不安と震えが止まらない。
そんな差し迫った昨夜、台風が間近に迫り、三十数年振りに近所の小河川があふれそうだという噂が広まった。家族は持ち物を一階から二階へ移し替えようと大騒ぎになった。雨なので窓を開けられず、エアコンがない家中は湿度が上がりっぱなし。はなも、何ごとかと階段を行ったり来たりして、相当減量したことは疑いない。
先週から断続的に降り続いた雨が、いつの間にやら、すぐそこまで泥水となって押し寄せてきていた。それなのに、私たちは休日に、のんびりと墓参りを兼ねて、とある森の奥の美術館で開催中の仏絵画展に出かけた。最終日の前日だったのに、大雨の影響か、館内はガラガラ。絵一枚一枚に貼り付けられたていねいな説明書きをゆっくり読めたのはよかった。最近、イヤホンタイプの説明グッズは不人気なようだ。それにしても読むのに忙しく、絵をちゃんと観たかどうか自信がない。
帰りがけ、美術館の遊歩道で、カモ親子の散歩の行列にすれ違った。子の安全確保のため、敷地内にある三つか四つの池を行ったり来たりしているのだろう。でも、子ガモは三羽しかいなかった。墓地もスカスカだった。
今朝起きると、雨は小降りになっていた。とりあえずテレビで雨雲レーダーを見ると、列島の北の端に、青や赤、黄の不気味な文様がはい回っていた。ヒトの文明が始まるのとほぼ同じころから暴れ回る、まさにかぎ爪を持った邪悪な龍のようだ。黒い雲を従えた龍は、次の獲物をねらって大陸の方へ飛び移ろうとしていた。(2016.8.23)