acc-j茨城 山岳会日記

acc-j茨城
山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

西上州 ぶどう岳~船坂山

2013年10月28日 19時48分10秒 | 山行速報(薮・岩)
西上州 ぶどう岳~船坂山(10月27日)
今年も西上州の時期がやってきた。私にとってもハイグレードハイクは年中行事の1つで、秋の楽しみの一つである。メンバーは、O女史、Y、G、ガストンの4名。
ぶどう峠には、アンテナを立ててアマチュア無線をやっている人がいた。まずは、ぶどう岳をピストンする。道は背丈を越すササヤブの中で、昨日の雨か夜露かわからないが、濡れているので雨具を着用する。ぶどう岳は「武道岳」と書くのだろうか?指道標にそう書かれてあった。


ぶどう岳は「武道岳」と書くのかな?なぜだろうか?

ぶどう峠に戻り船坂山を目指す。1654m峰で小休止。左に直角に折れて、やがて第1岩稜に着く。巻道はあるようだがリッジ上を進むと、ストンと切れ落ちて懸垂下降が必要になる。しかし良い支点を得られないため、少し戻り灌木を支点に懸垂した。少し岩っぽい所を進んだ1つ目のコルで昼食とする。この少し先が第2岩稜だった。稜線が複雑で第1岩稜より長く、稜線通しに進もうとするも懸垂支点が得られない。行っては戻りを繰り返し、結局第2岩稜はロープを使うことなく全部巻いてしまった。ちと残念であった。


船坂山でのG君、Y君、子育てで忙しいO女史

船坂山で休んだのち、細々と続いている踏跡を林道に降りる。林道に出た所は送電線鉄塔があり、この林道はこの鉄塔を建てるため作られたようだ。県道に出るとデポしておいたバイクがない。ちと慌てたが、よく見ると今朝のデポの場所とは違う。結局バイクをデポした地点は3キロくらい下で、みなさんを30分位歩かせてしまった。申し訳ない。でも儲けものもした。私は初めてであるが、梨の原種なのだろうか、天然の梨の木があったのである。実を見ると一目で梨とわかる。大きさはピンポン玉くらい。無数と言っていいほど鈴生りである。食べてみると甘くはないが確かに梨であった。


梨の原種かな?実が鈴生りになっていた

バイクで車回収をして、本日もう1本登る予定だった品塩山登山口を確認する。しかし、登山口に架かる丸木橋が流されて無くなっていた。川はこのところの雨でかなり増水していて、とても徒渉などできる状態ではなかった。

ぶどう峠(8:40)-ぶどう岳(9:15~9:20)-ぶどう峠(9:40)-昼食(12:05~12:25)-船坂山(13:10~13:30)-林道(13:55~14:00)-県道(14:15)-バイクデポ地点(14:45)
                                ガストンガニマタ

西上州の薮・岩山の旅

2013年10月02日 00時19分39秒 | 山行速報(薮・岩)
日曜日、天気もよっかたので、Yさんと西上州の薮、岩山へ行って参りました。
合計3本登れましたので、充実した山行と成りました。

1本目
九十九谷右岸尾根~左岸尾根
以前、九十九谷左岸尾根に来た時に気になっていた尾根があり、登ってみた。
右岸尾根へは九十九谷登山口より直ぐに赤テープの目印がある所から、強引に尾根に上がります。


笹薮が暫く続きます。


笹薮が終わると第1岩峰になります。


ロープの必要性は感じないが、所々急な所もあり、万が一落ちればただではすまないので、慎重に登ります。
左岸尾根の岩壁が良く見える。


暫く進むと第2岩峰になります。ここもロープは出さずフリーで登ります。
岩は多少脆いが快適に登ります。



第2岩峰が終ると登山道へ出ました。登山道を少し進むと見晴台に着きます。確かに眺めは良い場所です。
ここは中間尾根の終了点。


見晴台より、左岸尾根を降ります。途中には展望岩稜があり、眺めは素晴らしい場所ですが、片側は断崖絶壁となっております。


展望岩稜より、中間尾根が見えます。中間尾根も機会があれば登ってみたい。


九十九谷周回は正味2時間半でした。薮漕ぎが好きな方はお勧めです。

2本目
立岩直登コース往復
立岩も以前、毛無岩や大屋山に来た時にカッコ良く見えたので登ってみました。
別名上州のドロミテと言われている様なので楽しみです。
登山口より暫くは樹林帯の急斜面を登って行きます。
道はザレたルンゼ内に入り込みます。


ルンゼ内より右へ鎖がある急な岩場を登ります。


登り出た所は立岩のコルで、西立岩へ向う。予想外に稜線は穏やかで少し拍子抜けしてしまう。岩稜上を登って行くと西立岩の頂上だ。余り眺めは良くない頂上だ。


頂上から荒船山方面へ向う道を降りてもよっかたが、団体で登っている方々いる様なので、直登コースをそのまま降りた。30分程度で登山口に着きました。
時間も未だ1時前でしたので、本日3本目の山行に行くことにした。当初、立岩近くの碧岩西稜を登る案もあったが、Yさんが昔登った記憶があるという事なので、少し離れているが、高岩に行くことにした。

3本目
高岩雄岳往復
高岩についても高速道路より良く見える岩峰であり、以前より気にはなっていた岩山だ。
碓氷軽井沢インターチェンジ近くに高岩登山口がある。駐車スペース2台。登山口より暫くは樹林帯の急登を登る。正面の高岩を見上げながら、ルンゼ状の荒れた斜面を登って行きます。


高岩のコルに出てから、右へ岩沿いに進むと鎖がある急なチムニーが現れる。このチムニーでは事故が多発している様なので、慎重に登ります。ロープもあった方が安全に登れます。



チムニーを抜け岩稜を登ると雄岳頂上に着きます。頂上は岩稜南端にあるので、周りはスッパリ切れ落ちていますが、眺めは素晴らしい眺めです。



暫く眺めを楽しんだ後、高岩登山口へ無事下山しました。

天気が良く西上州の山々を十分に楽しめた山行でした。

By G

妙義・筆頭岩 金鶏山

2012年12月27日 00時37分40秒 | 山行速報(薮・岩)
妙義山近くの筆頭岩、金鶏山へ行ってきた。メンバーはY氏とG。
当初の計画では筆頭岩から金鶏山へ縦走する予定であったが、朝早いのか駐車場がまだ開いてなく、やもなく金鶏山登山口近くの見晴らし駐車場へ車を止め金鶏山より筆頭岩へ縦走することにした。
金鶏山登山口より入山する。踏み跡はあるが、荒れている。
しばらく進むと岩場に突き当たる。巻道もあるようだが、直登することにした。

傾斜が急になり、ロープを出す。


3級程度の岩場、薮を4ピッチ進み頂上直下に出る。


ロープをたたみ少し歩くと金鶏山頂上。


頂上で小休止後、筆頭岩方面へ縦走していくが、地形が複雑であり道に迷う。
Y氏と相談し、金鶏山岩場の巻道を経由して車まで戻ることにした。
まだ時間もあるので、筆頭岩近くの駐車場まで車で移動。
当初車を止める予定であった駐車場も今ぐらいの時間なら開いている。

駐車場から僅かで、筆頭岩取付き。


筆頭岩下部はやさしいのでフリーで登る。傾斜が急になってきた所で、ロープを出す。

岩も硬く快適な登攀。


4ピッチで筆頭岩頂上。


頂上からしばし周りの景色を眺める。


頂上より、懸垂2ピッチで登山道に出、
登山道を歩くこと僅かで駐車場。
天気も良かったので、気持ち良く晩秋の妙義を楽しめた山行であった。

byG



裏妙義・御殿東壁

2012年12月22日 22時32分51秒 | 山行速報(薮・岩)
いずれまた。
その機会は早々に訪れた。

「その先」は威風堂々鎮座していた。



裏妙義・御殿東壁


籠沢コ-スから見た風穴稜と御殿東壁


2012/12/19

妙義にあって、目を引く岩峰は数あれど、ズシリとくる重量感を持つ岩峰の一つが御殿であろう。
それはまさに威風堂々といった形容がふさわしい。

御殿へと続く風穴稜はやがて御殿東壁を目前に切れ落ちる。
あの日見た御殿に「その先」を予感した。
そして今回、またギャップに立つ。
メンバ-はガストンさん、sak。


ギャップの向こうに岩塔


9:45登攀開始。

1P(Ⅲ)、ガストンさん
ギャップからアバタ状岩壁を一段上がる。
妙義特有の岩質。おかげでスタンスは多いが、「脆さ」というリスクもついてくる。
薮を進んで岩壁を左上後、薮を右上。
50m。ル-トが屈曲するのでロ-プが重い。


ギャップから岩壁を一段上がる


中間部の岩壁

2P(Ⅳ-)、sak
岩と薮の凹角。上部に栂の木が見える。
下部は凹角。比較的岩は落ち着いており、登りやすい。
ガストンさん考案のアバタ岩用スリングが大活躍。


凹角を見上げる

草付帯に入り、灌木を利用できる所はいいが、それが貧弱となる中間部はシビれる。
草付対策のアイスバイルもスカスカの乾いた土、イワヒバに手応えがない。
だましだまし地道な土壁登攀。時に巨大イワヒバをも使って行くが、とにかく乾いた土埃が口やら目やらに入り、大いに難儀させられる。
また、時に露出しているこの付近の岩は脆く、予期なしに剥がれる。


下部凹角

上部クラックは、岩も安定し快適な登攀。
ここにクラック。持ってきたカムはちょっと小さかったのでアバタ岩に支点を取る。
キャメ#2くらいがちょうどいいと思う。
そこを抜ければ栂の大木。その脇でビレイ。40m。
グレ-ドを越えて心理的にタフなピッチ。


ビレイ点でフォロ-を迎える

3P(Ⅲ)、ガストンさん
突き当り壁の基部を左にトラバ-ス。
正面のフェイスにはイワヒバがびっしり。
トラバ-スの足元は切れ落ちて高度感が最高。
回り込んだところを直上。ルンゼ状手前まで。40m


トラバ-ス中


トラバ-スの足元

4P(Ⅲ+)、sak
ルンゼ状右壁。乗越は2~3mだが、抜け口がスカスカの草付。
逡巡しているうちに岩が剥がれ落とされる。
ガストンさんに岩があたる。幸い重篤な事態とはならず、登攀を続ける。
少し右目にル-ト変更し突破、薮をひたすら直上。
栂の木のあるテラスまで。35m。


ルンゼ状右壁

5P(Ⅲ+)、ガストンさん
正面の二段フェイス。
下部は左目、上部は中央を直上。
やはりアバタ状岩壁だが、比較的安定していてロケ-ションも開放的となり快適。
登りきると樹林帯に入る。25m。


二段フェイス


御殿頂上にて

そこからは徒歩。
10分弱で御殿の最高点。
13:10、御殿東壁にトレ-スを刻んだ。


ギャップで一休み

下降は同ル-トを懸垂下降。
屈曲したところは最短ル-トを直下降。薮とアバタ岩でロ-プ回収に懸念があったので、スリングとビナを残置。
下降4ピッチでギャップに降り立つ。


国民宿舎から見える御殿

痕跡なき登山、登攀は楽しい。
研究と考察、仮説と実践。出来も不出来も自分次第。
時に苦しい登攀も、しばらくすると懐かしく郷愁に帰する。
きっとそんな時が来る。

まして今日、この日の出来事を語り合える人がいる。
それがスバラシイではないか。
それがウレシイではないか。

sak

裏妙義・丁須の頭~御殿

2012年12月21日 00時26分23秒 | 山行速報(薮・岩)
裏妙義・丁須の頭~御殿


木戸ルンゼ

林立する木戸の岩塔を仰ぎつつ、広葉樹の落葉を踏めば、「かさり」と乾いた音色。
この乾ききった音色こそ、秋の盛りを過ぎた山の象徴ともいうべきか。

裏妙義もやがては凍の季節。
なんとか今年の内にできることは済ませておかねば。

すっかり冬の様相を増した裏妙義。
メンバ-はガストンさん、ebiさん、最近入会のtunoさん。そしてsak。
tunoさんは当会期待の若手。何と20歳(大学二年生)
sakにもそんな頃があったなあ、とため息。


国民宿舎から見た御殿

老若織り交ぜた面々で国民宿舎から丁須の頭、御殿を目指す。


直下のコル


尾根に向かってトラバ-ス

国民宿舎からの道は落葉を踏みつつ、大岩を越え、岩のルンゼを登れば丁須の頭直下。
想定時間を大幅に短縮できたのは幸先がいい。

御殿へは鎖場を少し戻ってからトラバ-スして稜に乗る。
踏み跡を軽いヤブコギで行けばギャップ。
薮を頼りに左斜面を急下降し、コルからは左にトラバ-ス、そして適当に稜へと這い上がる。


ギャップへと藪を下降


トラバ-スして岩尾根に上がる

あとは特に印象はないが薮尾根を登ったり降りたりを繰り返すと御殿。
山頂は狭く、ピ-クらしきは2つ。
特に山頂を示すものは無いので、とりあえず双方とも踏んでおく。
表妙義や妙義湖方面の眺めがいい。遠く筑波山を望む。


山頂


山頂からの眺め

往路を忠実に戻って1時間弱。
丁須の頭直下をぐるりと回り込む。
鎖場が出てきたと思えば山頂はすぐそこ。
まるで作ったかのような「丁」の字の山頂はやはり踏んでおかねばなるまい。

鎖は垂れているものの、ロ-プを出す。
ここは転落死亡事故がとても多いらしい。
確かに鎖をゴボウで行くには3つの試練が待っている。

①下部はカブっているのでほぼ鎖に全体重を乗せるので、手元が滑ると止まらない
②頭頂部では自分が体重をかけていることで鎖が岩につくので、握れない。
③下降は鎖にぶら下がることになるので手元が滑ると止まらない

ということで、フリ-でトライするにはリスクが大きい。
みなさまご注意ください。
ということで、我々はロ-プを出す。


リ-ドするtunoくん

まずは、tunoくんがリ-ド、セカンドebiくん、サ-ドsak。
中間支点は鎖のワッカに取れる。
ガストンさんはというと、すでに何度も頭頂部に立っているので撮影班に。


万歳三唱

リクエストにこたえて、丁須の頭で万歳三唱。
って、実は結構怖いんだよね。

下りは懸垂下降。
10ミリロ-プの懸垂下降は安心感絶大。鎖でクライムダウンは御免です。


籠沢コ-スから御殿と風穴稜(風穴)

おそいランチをとりながら小休止。
一目散に国民宿舎へと下る。
冬の日和にほのぼのとした薮山。じつに実り多き山であった。


sak

裏妙義・御岳東稜

2012年12月12日 16時56分14秒 | 山行速報(薮・岩)
12月9日、裏妙義御岳東稜に行ってきた。メンバーは、Y、G、ガストンの3名。私は登ったことがなかったけど、それ以上にこのルートを登りたい目的は他にあったのだが、それは機会があったら書かせていただこう。
いつもの如く登りだすが、初めから急斜面で体が慣れるまで少々キツイ感じがする。石碑がたくさんあり、いにしえの信仰の道であることが分かる。名前も御岳(おんたけ)なので想像はつく。重い石碑をどのようにして担ぎ上げたか知りたいものだ。
話は違うけど、私は妙義山には10代の頃から登っている。その頃(きゅうろくさん)と呼ぶ山があった。それは標高が963mだったことからそう呼んだ。その山がこの御岳ではなかったかと思うが、記憶が曖昧である。

御嶽山大神とある。あの木曽の御嶽山と関係あるのかな?

御殿の東面を望む

ロープをたたむY氏とG氏
御岳頂上でのY氏とG氏

ロープは3か所使った。キレットは高さ2m位なのだが、飛び降りるのも怖いので懸垂した。バリェーションルートとしては易し目だが、今までとは違った角度の展望が楽しめた。御岳から丁須の頭に着く。ロープを使って3人でテッペンに登る。風が強いので怖くて立てなかった。もっとも臆病な私は、ここに登ったのは3回目だが、まだ立ったことは一度もない。

丁須の頭が近くなってきた

丁須の頭でのY氏とG氏(風が強くて立てない)

丁須の頭から降りる

我々のすぐ後にロープを持った3人組が来たので、テッペンに長居はせず、すぐに懸垂で下りたが、彼らは登ることを諦めたようだった。その後、彼らの鎖場の下りる格好を見て「彼らは長生きしたければ登らなくて正解」と私は正直感じた。
国民宿舎裏妙義経由で車に戻った。

下山途中から観た風穴尾根の風穴

下山途中から観た御殿風穴稜の風穴

そうそう、このルートを一番登りたかった理由であるが、目的は5%位しか果たせなかった。でも楽しい仲間と楽しい山行ができたので満足であった。

東稜取付点の車(7:25)-屏風岩付近(9:45)-御岳(11:45)-丁須の頭(13:00)-国民宿舎(15:05)-車(15:45)

                                              ガストンガニマタ

裏妙義・御殿風穴稜

2012年12月03日 16時24分43秒 | 山行速報(薮・岩)

私が登山--とりわけバリエ-ション--に至り思うことは「冒険」の一言。


【冒険】
(ぼうけん)
日常とかけ離れた状況の中で、なんらかの目的のために危険に満ちた体験の中に身を置くこと。


・・・何らかの目的?
それはおそらくこういうことではないだろうか・・・。


以前眺めたあの尾根


裏妙義・御殿風穴稜

1年前のあの日。
「あっ、あそこに風穴が・・・。」
裏妙義・木戸壁右カンテ登攀に行ったときの事だ。

遠く望んだ尾根にポッカリと風穴が空いていた。
ガストンさんとしばし佇みあの尾根を遠く望んだ。

妙義山中には、こんな風穴がいくつか存在する。
星穴岳のそれは特に知る所が多い。
しかし、この尾根--先人の記録では御殿尾根や風穴稜といわれている--の風穴は見える角度が狭いためかその存在と共に「知る人ぞ知る」ものとなっているようだ。
風穴はもとより、そこに惹かれた。

だからだろう。
ガストンさんから「あそこの風穴が気になるんだよね」と聞いたとき、深く同意した。


泥ルンゼ上から

妙義湖畔の路肩スペ-スに駐車。
釜ノ沢右岸の林道跡を行く。
すぐに林道の看板。しばらくで二股。
右股に入りすぐ右岸の泥ルンゼを上がる。

稜線上はヤブもほどほどで歩きやすい。
時に出てくる岩場も巻いたり正面を行ったり。特にロ-プを使うような場面はない。

緩やかな尾根に出ると、ミズナラの大木が現れる。
とても印象的な巨木だ。


ミズナラの大木

ここで一休み。


もう少しで風穴が

その先、勾配は急になり時に細いリッジや薮岩のリッジ側壁を行く。
ロ-プこそ出さないが、鋭角に切れた尾根で、滑落すれば致命的な高さ。
時に脆い妙義特有のアバタ面の岩に肝を冷やす場面も。
こういう時、ガストンさんのル-トファインディングの選択スピ-ドは早い。
迷いがないのだろうか。さすがとしか言いようがない。


風穴

正面に岩峰を見上げたところを右にトラバ-ス。一投足で、件の風穴。
なかなか、立派なものだ。


リッジを行く

風穴を潜ってUタ-ン。尾根の反対側を登って行けばさらにリッジは鋭さを増しながら高度を上げる。
リッジ上はとても展望がよく、また高度感は抜群。
尾根の先にはどっしりと御殿が重座する。


ギャップのコル

ここからロ-プを出して、薮とリッジを行く。
途中ミニミニ風穴などを見物しながら岩峰を詰める。
そこから大きなギャップ目がけて下るが、ここは懸垂下降を要する。

ギャップから籠沢へと下るが、ガレと落ち葉でズルズルと足場は良くない。
とはいえ、懸垂下降することなく、籠沢に出合う。
登山道を経由して国民宿舎へはホンのわずか。


国民宿舎



-その先に何が出てくるのかわからない-

「好奇心」とは、珍しいことや未知のことなどを面白いと思う気持ち

「そこにそれ(山)があるから」というのはあまりにも有名な台詞だ。
山を語るほど大層な者でもないが、「(山は)オモシロいから」というのが私の率直な目的。

かつて知ることのなかった場所や眺め。そして、その先。
「その先」はいろんなところにある。
いずれまた、その先を探しに行く。そんな予感を改めて思い知る。


sak

西上州、物語山・メンベ岩

2012年11月11日 21時03分30秒 | 山行速報(薮・岩)
西上州、物語山・メンベ岩


サンスポ-ツランドから見る物語山とメンベ岩

西上州に物語山という、何とも趣のある名の山がある。
いかにも何がしかの伝説が伝わっていそうだ。

物語山ものがたり
くわしくはこちら



ということで、今回は冷静に事の次第を確認してみよう

◆物語山の名の由来
 ・メンベ岩に伝わる戦国の悲劇を今に伝えることから「物語山」
 ・琵琶楽の語り部、琵琶法師がこの山で行をしたから「物語山」

◆物語山の伝説 
 ・メンベ岩には今でも武将の遺体、鎧、冑と刀は風雨に晒されてそのままこの岩上に残されている
 ・戦国時代、メンベ岩の頂に財宝を埋めた
 ・戦国の埋蔵伝説を聞きつけて、財宝目当てにメンベ岩を登る者は 必ず墜死の憂き目に遭う

つまり・・・。

物語山に伝説あり。伝説はメンベ岩にあり。
伝説を伝えるメンベ岩を抱く、最高峰の山が物語山。

という事なのであろう。
それでは、メンベ岩登らずして物語山を語ってはなるまい。

はたまた、かの伝説は・・・?
やはり興味はそこにあろう。


そこで・・・・。


★メンベ岩に登ってみた★


第一次メンベ岩学術登攀隊メンバ-はガストンさん、matくん、sakの3名。
「伝説検証」という学術的に興味深い、山行価値を理解されている知性派メンバ-だ。
決して「篤志家」とか、「酔狂な」とかそういうんじゃないですからね。

下仁田サンスポ-ツランドから登山道をしばらく歩く。
メンベ岩を仰ぎ見てから、少し進み沢の右岸側の支沢に入る。
しばらく進むと涸れた小滝。
この手前、右岸側のズルズル急斜面を尾根目指して行く。
当然、道はないので要注意。


右岸の支沢

尾根に小岩壁が見える。その上を目指して登る。
尾根に出たらそれを忠実に詰めていく。
ピ-クを一つ越えるとメンベ岩の基部が見えてくる。
基部を右に回り込む。

南面のクラックル-トを仰ぎ見る。
下部には支点や古ぼけたロ-プも見える。
登られてはいるようだ。


クラックル-トを行く

残置のRCCボルト、リングボルトそして古いロ-プを辿っていく。
下部のクラックには灌木もある。
思いのほか立っており、Ⅳ級クライミング。
諸々の不安も手伝って、早々にA0を決める。
 【諸々の不安①=「財宝目当てにメンベ岩を登る者は 必ず墜死の憂き目に遭う」という伝説。】
 【諸々の不安②=見えない上部への不安。】
 【諸々の不安③=岩の脆さに対する警戒。】
クラックには、キャメロット(#0~#2)が有効。残置とキャメで支点を取りながら行く。


上部を望む

クラックを終えると、フェイス。幾分傾斜もゆるむころ小バンド。
バンドを数m右にトラバ-スして浅い凹角を直上。
上に行くにしたがってハ-ケンも多く、ル-トを見出すには十分な間隔で打たれている。
しかし、先出のロ-プが通されており、クイックドロ-をセットできない。
前進用の3mmスリングが活躍する。

また、ロ-プが腐っている。テスティングすると、容易く切れた。
充分な注意が必要だ。

終了点は灌木で取れる。
1ピッチ、40m。


セカンドmatくん

セカンドmatくん、ガストンさんはフリ-で。

メンベ岩の上は物語山西峰から見たときに感じたほど広くない。
細い薮のリッジといった様相。
一番高さがありそうな西の突端はいくらか平らになっており、眺めは抜群だ。


メンベ岩から物語山西峰


影メンベ

懸垂下降で取付きに戻るが、枯れ木が多いので支点選択に要注意。
懸垂支点にスリングとビナを残置。


懸垂で下降

ピッチ数はないものの、クライミングとしては楽しめた。
西上州にしてはグズグズの脆さを感じさせない一本だ。

物語山(西峰)へはそこから急な尾根をしばらく上がり、山頂直下で右にトラバ-スすると、西峰の展望台。
メンベ岩が一望できる。


メンベ岩


物語山

西峰、本峰を経由して登山道を下山する。



◆物語山の伝説

・メンベ岩には今でも武将の遺体、鎧、冑と刀は風雨に晒されてそのままこの岩上に残されている
 →確認できず。
・戦国時代、メンベ岩に財宝を頂に埋めた
 →確認できず。
・戦国の埋蔵伝説を聞きつけて、財宝を目当てにメンベ岩を登る者は 必ず墜死の憂き目に遭う
 →安全なクライミングに留意すれば、大丈夫。


メンベ岩

結論
・鎧兜や財宝は確認できず。
・すでに持ち去られた可能性も否定できない。
・メンベ岩は財宝目当てでなければ、登れる。

物語山ものがたり。
戦国ロマンとメンベ岩の言伝え。
物語山とは良く言ったものだ。


sak

西上州 大ナゲシ北稜

2012年11月05日 20時31分34秒 | 山行速報(薮・岩)
西上州 大ナゲシ北稜
大ナゲシには、北稜と言っても良い尾根が2本ある。
① 大ナゲシ西北西の肩から北に向かい、1356峰~1073峰を通り胡桃平に続く尾根。
② 大ナゲシから北北東に向かう、赤岩沢本流と悪谷との中間尾根。
① を登り②を下降する計画でいたが、Yが昨夜から熱を出し、車で待っていることになった。早く帰るため短時間で戻ってこられるよう、②を登り登山道経由で降りることに急きょ変更した。
11月4日。メンバーはGとガストンの2名。駐車スペースから少し登山道を歩き、適当な所から取り付く。少し登ると目印があった。かすかな踏み跡も確認できる。あれ!以前登っている人がいるのかな?と半信半疑でそれを辿ってみることにした。やたらと目印が多い。そのうち悪谷を横断し、だいぶ登ってから、これは林業用の物かも知れないと感じてきた。でも、今登っている尾根は悪谷の左岸尾根で、1330mで①のルートに合流する支稜のはずなので、このまま登ることにする。これらの目印は支稜に出たところで完全に消えた。やはり林業用の物だったようだ。この1330mピークには古い祠があった。


1330mピークにあった古い祠(昔の人は、ここまで材木を背負って上げたんだろうと思うと、凄いの一言だ)


1330mからの懸垂

この先は垂直の壁になって切れ落ちており懸垂するほかない。25m一杯で降り立つ。懸垂場所を間違えると25m2ピッチする必要が出てこよう。昨日の大屋山北稜のようなナイフエッジはないが、とにかく急な藪岩稜で、ルートファインディングに気を使う。大ナゲシ手前のピークでは頂上岩壁が良く見え、どこにルートを取ったら良いか相棒と話し合う。岩登りをする気は充分で、クライミングシューズもザックに入っている。


大ナゲシ頂上岩壁が観えてきた

やがて大ナゲシの肩に着いた。さてどこにルートを取ろうかと話していたら、ピンクテープが目に入った。あれ!ルートがあるみたい、とガッカリした間もなく、なんとすでにそこは、ハイキングルートに合流していたことが分かった。まっいっか!と大笑いした。頂上には3人の登山者がいた。


頂上でのG氏


綺麗な三角錐のピークが観えた

帰りの登山道では、スーパー袋一杯の本シメジをゲットした。

車(6:15)-尾根取り付き(6:25)-支稜上(7:25)-1330m(8:20)-1356m(9:20)-頂上手前のピーク(10:10)-頂上(10:50~11:20)-赤岩峠(11:50)-車(13:15)

ガストンガニマタ

西上州 大屋山北西稜~北稜下降

2012年11月05日 20時12分06秒 | 山行速報(薮・岩)
西上州 大屋山北西稜~北稜下降
11月3日、大屋山北西稜に行く。メンバーはY、G、ガストンの3名。
ネットで探しても敗退記録はあるが、登った記録は見つからなかった。地図上から判断するには、頂上直下は悪いかも知れないが、他は悪いようには思えない。登ってみることにした。
勝手知ったる道場の駐車スペースに車を停める。毛無岩に行く道と分かれ、東に向かう沢を行く。「山と高原地図」には、こちらからも毛無岩に行く道が記載されているが判然としない。適当な所から北西稜に取り付く。


この先付近から尾根に取付く


尾根に出ると歩きやすくなる

砕石の急斜面は足元が崩れ歩きにくいが、樹林帯のため日が射さず藪がないので助かる。尾根に出ると歩きやすくなる。地形図では確認できないが、頂上手前に小ピークがある。20m位下降し、登り返すと頂上岩壁に付き当たる。壁の弱点は正面の凹角で、これは登れる。


頂上岩壁が見えてきた。登るなら正面の凹角だろう


岩壁直下まで来ると、登攀意欲の湧かない凹角だった

しかし残念ながら登攀意欲が湧くルートではなく、左から藪の急斜面を登る。ポンと飛び出た所は頂上の一角の北西の端で、景色が非常に良い場所であった。道場集落が真下に見える。頂上標識まで行き小休止。


頂上の北西端から観た道場集落


頂上でのY氏とG氏

その
その昔に登った碧岩北西壁が正面に観えた

北稜を下降する。北稜は、地形図には道が記載されているが、今は全く確認できない。それに、地形図で見るよりはるかに痩せており、一番細いナイフエッジは藪が無く幅50センチである。風が強いと、とても怖くて歩けないだろう。最初のナイフエッジは5m懸垂したが、灌木があるのでクライムダウンできるだろう。次の怖いナイフエッジ先は、しっかりした支点が得られず少し戻り東側の灌木帯を巻く。その先も緊張したクライムダウンがあるが、灌木があるので懸垂しないで済んだ。


北稜でのクライムダウン

北稜のコルからは、西側の沢を降りる。問題となるところは無く、今朝通った場所に合流した。


道場集落手前の、この木橋は、去年までは渡れたが、今年は怖くて渡れなかった

車(7:40)-北西尾根取り付き(8:10)-頂上手前小ピーク(8:55)-頂上岩壁直下(9:05~9:15)-頂上(9:40~10:00)-北稜コル(10:40)-車(11:30)

                                                ガストンガニマタ