2008/5月下旬 谷川岳・中央カンテ
白眉
さしもの一の倉も平日の今日は写真家が数人。
天気も、雲が掛かっているものの、このくらいは好条件の域である。
そしてなんといってもこの条件下、クライマ-の姿がない。
まさか一ノ倉を貸切?
雪渓を快適に登って中央稜取り付き。
出合からテ-ルリッジまでずっと雪渓通しは快適だ。
中央カンテは一の倉、烏帽子沢奥壁1.2の人気ル-ト
下部は凹状と同じル-トを辿り、上部は変形チムニ-と合流する。
オリジナルとしては3.4ピッチの浅いカンテ~フェースだけだが、このオリジナルがル-トの白眉
楽しみな部分でもあるわけだ。
凹状
取付きは前夜の雨の影響か、飛沫が酷い。
岩陰に身を寄せながらなんとか回避。
この先、少々思いやられる。
1P・フォロ-
取り付きからバンド状を右へ。
行き当たりを左上。細かいフェ-スだが、ウォ-ミングアップには丁度イイ。
硬い体で少々ぎこちなく。
2P・リ-ド
数mフェ-スを登ると一気に視界が広がる。雄大なスラブ。
先には凹状ル-トが明瞭。
カンテはスラブを左上しカンテの基部でビレイ。
ここは凹状からの落石が多いらしい。迅速な行動が望まれる。
カンテ
3P・フォロ-
カンテを超えてフェ-ス。
幸い岩は乾いており、快適そのもの。
いい具合に体もほぐれて、ホ-ルドとフリクション便りに大胆なム-ブ。
あくまでここは痛快に。
4P・リ-ド
乾いたフェ-ス。
3Pと比べれば困難さはないが、その分、リラックスしながらのノンビリ登攀。
小チムニ-下でビレイ。
5Pからは変形チムニ-同様のル-トをトレ-ス。
核心
この頃から上部のガスが晴れ、この上ない青空に。
小チムニ-を大胆に越え、簡単なフェ-スを行きあたれば、核心。
最初の垂壁は奮戦むなしくA0。
最後に右へ一歩出すのに度胸がいる。
その上のコ-ナ-クラックは、予習通りのム-ブでフリ-突破。
アンダ-からレイバック気味に体を上げ、中間部で左カンテで耐え、右のガバをデッドで取れれば、後は豪快に。
いやあ、痛快ですなあ。
下部の垂壁は今後の宿題としておこう。
回収確認
凹角、スラブ、最後の小垂壁をいけば終了点。
ここからは空中懸垂。さかぼうが先行。
さかぼう下降後、回収確認するもなかなかロ-プが流れない。
よくある話だが、ロ-プの引っかかりやすい溝ができている。
下と上でああでもないこうでもないと様々な画策の末、パ-トナ-も降りてきた。
これら数々の画策の賜物で何とか重いザイルを引いて回収できた。
ここで回収できないとなると、登り返しは出来ないので、ホッと一安心。
シ-ズン初めで踏み跡もつたない笹原を南稜終了点まで。
なんだかんだで好条件の一の倉を貸切。
すかさず、パ-トナ-は「ここの貸切代金は、自分が払っておきましたので」とのたまう。
ひとしきり、軽口をたたきあい、笑いとともに緊張が解かれていく。
なんとも愉快な、痛快な一日はあっという間に過ぎてしまう。
このすばらしい今日という日は、この広い世界中にふたつとない。
喜びは笑いとともに。
sak