<筑波山の風景・10>
巨石帯
筑波を登していると山頂に近づくにつれ、筑波を形成する岩が次第に大きくなってくる
ことに気づく。
ひっそりと積み重なるこの巨石たちを見て思ったものだ。
そこで筑波山の成立ちを調べてみると、時は約7500万年前に遡る。
山頂を含めて筑波山の大部分は硬い「斑れい岩」。
斑れい岩を放射状に取り囲んで分付しているのが「花崗岩」。
これは、斑れい岩よりも新しく約6000万年前ごろに地下深部に貫入してきたらしい。
花崗岩は斑れい岩に比べると、もろく浸食されやすいため、斑れい岩が山頂部を、
周囲の花崗岩はそれより低い山体を形成しており、筑波山の中腹では古い岩盤から剥がれ落ちた岩が積み重なってできた堆積物が登山道のいたるところで見かけられる。
つまり、筑波山は7500万年前に固まった硬い斑れい岩が、その下に入り込んできた
もろい花崗岩とともに隆起、花崗岩は侵食、剥離する一方、硬い斑れい岩は侵食されずに
山頂付近に巨石として残ったのだろう。
このごろごろ巨石たちはそんな歴史をたどって今ここにある。
時間の流れ、スケ-ル、そもそも人間の歴史と比べるもなくそれはそこにあった。
中腹から山頂に至る、奇岩はさることながら、山中にひっそりと積み重なる巨石たちの苔むす姿に何をや想わん。
sak