acc-j茨城 山岳会日記

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後立山連峰・五竜岳

2022年05月25日 00時17分08秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2022/5/2~4 後立山連峰・五竜岳


「快挙」と言ってもいいのではないだろうか。
それは山頂のことでなく、困難なルートのことでもなく、日常での出来事。
このゴールデンな日々に3連休。
平日休を生業とする身としては、本心では社会をドロップアウトするくらいの覚悟だが、
そんな様子は一切見せずに「休みますが、何か?」と努めて冷静を装った結果だ。

案の定、幾許かのチクリと来る一言は頂戴したが、
かの”一休さん”のように「気にしない気にしない、一休み一休み(三連休三連休)」。
と唱えるのだった、が。。。


【登山あるある①】

山行計画時は強気でイケイケだったにもかかわらず、直前に少しだけいろんなことが不安になったりもする。

...「あるある」は続く


2022/5/2

五竜テレキャビン・とおみ駅の駐車場でisiさんと合流。
始発は8:15なので、のんびり準備。
今日は西遠見あたりまでの行程。
ゴンドラとリフトを乗り継いで、あっという間に標高は1640m。

滑走屋に交じって山屋は数名。
みなここで準備をして、やおら登り始める。

雲はあるものの、概ね晴れ。
昨日5cmくらいの積雪があったようだが、歩行に困難はないのでツボ足で。
最初の急登で体温は上昇しヤッケは脱ぐ。
時に夏道を歩く。

非常に距離の長いイメージのあった遠見尾根だが、淡々と脳内BGMをリフレインして進めば意外と距離は感じない。

【登山あるある②】

淡々と歩いていると、いずこからか脳内にBGMが降り注ぎリフレインする。
それは名曲よりもCMなどの覚えやすいメロディーラインであることが多く、まんまと企業戦略にハマっている自分を時に呪う。

(今日の脳内BGM:「釣り具のキャス〇ィング」のテーマ

...「あるある」は続く

西遠見に着くころ、次第に雪が舞う。
五竜や鹿島槍、唐松もガスに巻かれて、稜線は暴風の予感。
展望よりも「耐風」を考慮した場所にブロックを積み上げ、幕を張る。
あとは、水を作りながらの入山祝い。(祝杯)

さて、懸念は明日のルートだ。
計画ではGⅡとG0を2泊3日で予定していたが、直前にフェイスブックのACMLで少雪の情報。
GⅡのABCルンゼの雪は繋がっていないとのこと。
藪ルンゼ登攀が予想され、加えて今日の降雪。
すでに雪は本降りで10cmほど積もっているだろうか。

「藪のスカ雪登攀かぁ」
加えて取付きまでの雪崩も気になるところ。
いずれにしろ、明日朝(4時)の天気で判断することにした。

早めの飯を平らげたら、やることもないので昨夜の寝不足を解消するべく寝袋に潜る。
幸い、頭上を轟々と唸る強風にもテントを揺らされることはなかった。


2022/5/3

4時に起床。
雪はまだ降り続いている。

棒ラーメンの朝食をとりながら、天気予報を確認。
どうやら降雪は朝まで続き、強風は昼まで残るらしい。
今日のGⅡは諦め、一般道で五竜岳へ昼頃到着の予定とし、7時まで二度寝。

再度目覚めると、風は強いものの概ね青空が覗いている。
身支度を整え、歩き出す。
昨日から30㎝ほどの積雪があったようだが、すでにトレースがある。
よく見れば、白岳の上部に単独行者。

白岳の登りの前にアイゼンを装着。有難くトレースを追う。
またも、脳内BGMはあの曲だった。

白岳を踏んで、五竜山荘。
昨夜ここで幕営したパーティーが待機しており、軽くあいさつを交わす。

流石に稜線は風が強く、休憩も体温を下げるだけなのでそのままゆっくりと歩を進める。
夏道の鎖場あたりで単独行者に追いつく。
トレースの御礼とともに、先行を申し出る。

このあたりは、岩雪ミックスでちょっと悪い。
雪に埋もれた岩をまさぐりながら急場を登る。
雪が安定してきたところで、雪面に手を突き刺してホールドを得ていたら雪中に岩が隠れていて右手中指を痛打してしまった。
その後は悪場もなく雪稜を進む。

「あそこが山頂か?」と思っていた頂の向こうにさらなる高みが見えたりして、さながら「登山あるある」だ。


【登山あるある③】

目前に見える頂は、大抵「山頂の手前」。
それは山頂を踏むために試されているかのよう。まさに試練である。

...「あるある」は続く


山頂。
ほぼ予定通りの11:57。
いつしか風は弱まり、展望も開ける。
それにしても初めての頂というのは、やはりいいものだ。

往路を戻る途中、G0の確認。
やはり、藪パインは必至。
五竜山荘を風よけにして休憩。

モチベーションというのは何事においても事の成否を左右する。
山頂を後に、満足感を得てしまったのもあったのだと思う。
状態の良くないバリエーションに取り組む意欲がみるみる下がっていったのは、自分でもわかった。
それは音を立てて急降下していくかのようだった。

【登山あるある④】

「早く下山したい病」
下界には様々な欲望を満たす誘惑と仕事の不安を払拭できる安心感がある。
私はそれに屈したのだ、そう思う。

...「あるある」は続く

幕場に戻ったのは、14時半。
ここまでの道中で、G0を諦め登山日程の終了を決めていた。
ゴンドラの最終は16時半。急げばなんとかなるか・・・。

その様子を見かねてか、isiさんは「今日はここで一杯やれたら最高ですよね」と私を諫めた。
何故に事を急いていたのか、憑き物が落ちた思いだった。

西遠見の平坦地には本日入山のテントがいくつも張られていた。
皆、幕場の整地作業と宴の準備で大わらわ。
楽しげな会話がそこここから聞こえる。
昨夜の雪で湿っていた我がテントもすでに乾燥し快適な一夜を過ごせるだろう。

今「なぜ山に~」と問われたら、語る言葉が見つからない。


【登山あるある⑤】~今宵は”登山あるある”がいっぱい~

・山屋は「なぜ山に」と問われた時のことを考え準備している
 ⇒いつ誰に聞かれてもいいように。少しカッコイイ事言いたくなるよね。

・パートナーとの道具談議で物欲にスイッチが入る
 ⇒isiさんと道具談議。いつも物欲に駆られます。間違いなくアレはポチるわ。

・テント内で足が攣る
 ⇒疲労もあってか手狭なテント内で体育座りしてると、足攣りはよく起きます。
  「漢方68番」が特効薬。

・携帯の電池残量を気にしすぎて、山アプリ(GPSログ)のリスタートを入れ忘れる
 ⇒帰幕後に気づいたりして、徒労感に苛まれる。

・「昨夜は熟睡してましたね・・・」といわれて自覚がない
 ⇒昨夜は「うつらうつら」して、あんまり寝た気がしないな、と思っていたのですが。


...「あるある」はまだ続く

 

2022/5/4

好天。
昨日入山のパーティーはすでに五竜に向けて出立。
静かなテント村。
G0を取りやめた我々は下山するのみだ。

備忘録のため、取付きへの下降路確認にしばし出かける。
あれがABCルンゼ、あれがG0。
Bルンゼ取付きに1パーティ-。

それを眺めて二人、しばらく立ち尽くした。
トライしなかった理由はいくつかあった。
冷静なる判断と言えば聞こえはいいが、言葉にすれば安っぽさだけが残った。

沈黙で呼応するパートナー。
その気遣いが沁みる。

今、私にできるのはGⅡ取付の彼らにエールを送ることだけだった。

 


幕場を後に遠見尾根をゴンドラ・アルプス平駅へと向かう。
滑走屋でにぎわうゲレンデを歩く。
「鯉のぼり」を掲げて滑走する姿もある。
皆、心から楽しんでいた。


【登山あるある⑥】

帰りのザックは、なぜか少し重く感じる。
食料を消費した分、軽いはずなんだけどなぁ。
 ※個人的なその時の心持ちと思い込みです


「登山あるある」はあなたの傍にも。
それは「登山でよくあること」かもしれませんが、その場・その時の想いは唯一無二のものとなるでしょう。

 

追伸

【sakの”山行記あるある”】

1.山行への想いが強すぎて、前置きが長くなってしまう(笑)
2.未来志向の教訓や格言が大好きなので、「ポジティブ説教」が色濃い(汗)
3.執筆中は脳内BGMがここでもリフレインする


sak


↓五竜岳の様子を動画で

 

 

 

 

 



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