2018/9/22(土) 天気:曇り|雨
メンバー:szt(CL),sak(SL),koz
装備:8.0mm × 30m ロープ・2本,カムC0.4(使用分のみ)
21日 22:00つくば→(一般道移動)→1:30 ベースプラザ駐車場(泊)
22日 4:40白毛門登山口P→6:20湯檜曽本谷入渓点→7:36十字峡→12:37全大滝終了→14:26大倉沢へのトラバース開始→16:20登山道→17:57笠ヶ岳→21:10基点P
抱返り沢に行くことができたので報告を.
22日,23日の2日間で沢登りをする予定だったが,9月中の天気が全く安定しない日が続き正直23日の日曜日に笹穴沢が1本登れれば上出来くらいに思っていた.ところが,21日の夜につくばを出発後,車中での天気予報と道中の道の乾き具合から,話はあれよあれよという間に22日に抱返り沢アタックの方向へ転じてゆく.ベースプラザの駐車場にテントを張って2:00就寝の3:30起床.雨は降っておらず白毛門の駐車場へ移動し,4:40に日帰り装備で抱返り沢を詰めるべくひとまず出発する.
朝早く出発したとはいえ1日で稜線の登山道に抜けたいので,魚留ノ滝とそこから先のゴルジュは今回武能沢の先にある巻き道でカット.湯檜曽川本谷に入渓したところで沢装備をする.前日の雨の影響から,湯檜曽川の水量は8月末の白樺沢遡行時に比べれば多いものの,沢登りが厳しいレベルではない.強いて言えば去年8月末の湯檜曽本谷を沢登りした時のレベルといったところか.
本谷を遡っていくと有名なウナギ淵は淵の出口で倒木があり去年以上に埋まっている印象.7月上旬にここに来たkozさんの話ではこんなものはなかったということなので,いくつか来た台風で流されてきたものなのだろう.ウナギ淵も当然左岸のバンドを歩く.ただ,この左岸バンドのトラバース中に私は足を滑らせ川床に滑落!幸いケガはなく,これは先行きをどのように暗示しているのか..今日はコンディションもよくないのだし,もうちょっと慎重に足を選ぼうと心の中で反省.その後は順調に進み十字峡に到着する.去年ここに来た時には,抱返り沢が登れるなんてこれっぽっちも思っていなかったけど,なんだかんだで翌年にトライすることになろうとは..なんだか不思議な感じがするのです,ハイ.
十字峡手前から見た抱返り沢(抱返り滝)
十字峡から見る抱返り滝は前日の雨の影響でさすがに水量が多そう.それでも前々週の奥多摩唐松谷に比べれば何とかなりそうなレベル.ということであまりためらうことなくアタックとなった.
取り付き1段目の滝は被っている.水量が多く壁も濡れており,できるだけ早く登山道まで抜けたいことも重なって1段目は左岸の草付きとのコンタクトラインを巻く.
1段目の滝は左岸巻き.
2段目はよく覚えていないが,緩い滝で特に問題なかったと思う.3段目の滝は出だしがちょっと厳しかった.初めに自分が右壁に取り付くが壁はヌメヌメ.スタンスをたわしでゴシゴシこすりちょっとはグリップがアップするが手を出すホールドがもーヌメヌメ.出だしのウナギ淵で滑落?したこともあり,ここはあんまり粘らず一旦降りる.するとsakさんが右壁をトライ.私は待っていても寒いし初っ端から時間かけてもと思い右岸の灌木に掴まり小さく巻く.その間にsakさんが右壁を突破!さすがである.沢ヤの本領発揮といったところか.
3段目の大滝の下部.ヌメっておりました.
3段目大滝は下部を越せばあとは水をかぶって進みます.
3段目が終了したところから.ググっと高度が上がっちゃいます.
3段目の滝が終了し振り返ってみればあっという間に高度が上がっている.気分爽快だ.さてお次の4段目の滝の下部はパッと見た感じ壁を抜けるのに時間がかかりそう.この沢は大滝が続くという事前情報からあんまり下部で時間をかけたくない.ということで右岸の草付きから巻くことにしたが,ここの草付きがちょっと嫌らしかった.ここ最近難しめの草付きを処理してなかったもんだから「あれ~まずい,ぬけられないかな~?」なんて思っていたが,あれこれ手を探るうちにかかるホールドを発見し滝の落ち口に抜ける.草付きで勝負はできないよね~.(後で記録を確認すると,草付きでなく左壁と左側壁を伝っているみたい.この日は岩が濡れていたこともあって確かめもしなかった.確かめればもうちょっと楽できたかも?)
4段目大滝下部.
草を掴みつつ滑らない岩をフットホールドにして突破.ちょっと怖かったっす~
4段目大滝上部.
4段目の大滝を越えるとちょっと一息.そこそこの滝があった気がするが,ここら辺もそれほど厳しい印象はなかったと思う.
4段目大滝のあとはそんなに難しくなかったと思います.
小滝を越えると,ドーンと開けた傾斜の緩い大滝が見えてくる.途中少し傾斜が出てきたところで今日のコンディションも考慮しロープを出す.
ドーンと出現する滝.
念のためロープを出す.でもここら辺のヌメリはそれほどでもなし.
上から見るとこんな感じです.
開放的な滝をリードでしばらく進むが,次第に体と頭がフラフラしてよろけそうになる.どうやらシャリバテのようだ.いままでのフリークライミングにうつつを抜かしすぎていたことを反省.情けないな~.そういえばなんか雨が強くなってきている.体も少し冷えるし,それも影響しているのかな?リードを交代してもらっている間に栄養補給で回復し気を取り直してフォローする.
連続する長~い大滝が終了し10m程の滝が出現.ここは右壁から突破を試みる.ただここの突破は下の草付き突破と同じくらい嫌らしかった.何しろ壁がヌメヌメ.右壁に取り付くものの触るものみんな滑る気がして気持ちが悪いので,さらに右にある効くかわからないような灌木に念のためスリングをかける.それからホールドを探し,水流沿いのヌメった壁に左足をそっと置き右壁の下部を何とかクリア.落ち口に向けては右の灌木帯を巻き気味に回り込む.
10m程の滝.右壁を登る.
多分嫌らしい下部をクリアした後.落ち口付近は巻き気味に灌木帯を抜けました.
10m滝を抜け,2人目が3人目をビレイしている間にちょっと上を偵察.するとすぐそこに笑っちゃうくらい大きな滝がまた出現.事前にネットから拾った情報と照合してこれが最後の大滝であることを確認する.そこでやっぱり水量が多いことも確認.なので,できるだけ水線通しは避けて安全そうなところを進みましょうということに..
最後の50m大滝.下部は草付きのリッジ状を登る.
できるだけ楽できそうなところを登るわたくし.沢慣れしていればロープは無くて良さそう.
最後の大滝から途中で後ろに振り返れば,湯檜曽川がはるか下に流れている.対岸には清水峠への登山道も見えるじゃないか.去年あそこからこの滝を眺めて,この沢のことをいろいろ調べたんだよな~とちょっとだけ感慨に耽る.調べてみたら案外行けそうじゃね?なんて思ったけど今年のうちに来てしまうとは,,いやはや..
はるか下には湯檜曽川か?よく登ってきたよな~
最後の大滝は,雨+多い水量+会初山行の者がいる=ロープを使うとなったが,沢慣れしているパーティならロープを出す必要はないような印象.これは大滝全体を通した印象ともいえるかな.それぞれの大滝にワンポイントで嫌なところが出る感じなので,50mロープより30mくらいのロープのほうが手際がよさそうです.
最後の大滝の落ち口は右岸の藪のコンタクトラインを進む.ここだけ安定したところまでロープの長さが足りず,足元もやや滑るため灌木で支点をとって後続をビレイし全大滝が無事終了する.ここで12:30頃.ロープ出したしこのコンディションならこんなものかな~というのが正直な感想.
50m大滝の落ち口へ.少しヌメりが強かったかな?慣れてる人ならロープはいらなそう
大滝を過ぎると源頭の様相となるが,ここからの岩がとても滑る.当日はラバーの沢靴を履いていたがほんとツルツルだった.途中一か所登れない滝を左岸から巻いたりナメが出たりするが,厳しい滝登りは皆無.ところがここで再び私はシャリバテでふらふらに.体力が落ちていることをしみじみと実感.もっと山歩かないとな~とここでさらに反省する.
大滝の後に出てくるナメ.
ナメを過ぎ右から尾根が近づいてきたところで,こちらはシャリバテしていることもあり大倉沢にトラバースするため尾根に向かっていきたい気持ちがむくむくと生じる.しかし,sakさんの見立て通りずっと進むと沢が草原状の景色となるところで,大倉沢と隔てられた尾根がぐっと近づく.さすがsakさん冷静かつ事前情報のチェックが素晴らしい.それに引き換え自分のいい加減さったら..ここでも反省を重ねる.
草原状の二俣.ここら辺の枯れた右の支沢を詰めました.
草原状の眺めのポイントに出てすぐ右から枯れた支沢が入ってくる.これを詰めあがると草原がいい具合に色づいている.これで晴れていたらどんなに素敵な景色なのだろうという感じだ.この景色は全く予想していなかった.この沢はアプローチと下山が長いから,陽の長い7,8月のアタックがベストなどと思っていたが,天気が良ければ今の時期が一番良いのかも?足が速くなければここらへんで1泊の計画もありだろう.長~い大滝を片付けて素敵な眺めのここで1泊するのも楽しそうだ.もちろん,足をそろえて1日で抜けたっていいけれど.
思ってもみなかった草紅葉.晴れていればどんなに素晴らしい景色なのでしょう.
枯れた支沢をちょっと登り,大倉沢を隔てている尾根の薄いところを一漕ぎすれば大倉沢側も草原状となっている.あいにくこの日はガスっていて視界が悪く遠目のルーファイが効かないが,GPSで位置を確認しつつシャクナゲやハイマツの薄そうなところをトラバースを交えて朝日岳方面へ向けて詰めてゆく.
尾根を越えて大倉沢側の草原.ガスってても癒されました.
登山道直前の登りで10分程シャクナゲやハイマツの藪漕ぎでウンザリした以外は,笹や草原をつなぎ暗くなる前の16:20に登山道に出ることができた.
詰めの道中に会初山行のkozさんと話して分かったのだが,何でも初めての沢登りで7月上旬に一人で湯檜曽本谷へ行き,雪渓を避けるため最後の詰めでシャクナゲ&ハイマツの藪漕ぎをたっぷり(1時間くらい?)やったとか.開いた口が塞がらない程のスーパー体力の持ち主だ.こちとら今日の遡行で散々シャリバテを起こし登山道の下山ではアキレス腱を痛めるという始末なのに..体力がオチテイル,,鍛えねば.
個人的にはそんな反省の多い山行だったが,良きパートナーに恵まれ今年クリアできると思っていなかった沢を詰められて,充実した1日を過せたことに感謝,感謝なのであった.
szt