井上ひさしさんのこまつ座の舞台は、新宿紀伊國屋サザンシアターホールなどで、何度か見てきました。「太鼓叩いて笛吹いて」「木の上の軍隊」「組曲 虐殺」…。井上ひさしさんの、反権力、平和主義を、小難しいことではなくて、面白おかしい中で、学べる感じが好きなんですね。
山田洋二監督が「井上ひさしさんへのオマージュです」と言うからには、ぜひ見て見たい、と感じたのが、映画「母と暮らせば」ですね。以前BSで、宮沢りえさんと原田芳雄さん主演の「父と暮らせば」の映画も見ていますが、やはり映画館で見た方が、より臨場感がある感じです。
ネタ晴らしが趣旨ではないので、ストーリーは語りませんが、この映画には、山田監督の祈りを感じましたね。国会前に朝っぱらから散歩に出かけている人のなか・には、ルサンチマン、呪い(同じことですが、褒めてほしい、評価されたい…)を感じるのとは対照的に、この映画のなか からは、祈りを感じたわけですね。
プロローグにおける、インク瓶が溶ける、爆発音が轟くシーンと、ラストにおける、坂本龍一さんの「鎮魂歌」を長崎の人々が歌うハーモニーのコントラスト。山田監督が、あんな耳をつんざく様な音も、ハーモニーにしてしまうほどの信頼感に満ちていることを感じない訳にはいかない、という訳ですね。
私どもも、信頼感に満ちた本物でありたいものですね。