大事な目的
宇沢弘文先生に耳を澄ませば 宇沢弘文さん、雑誌『世界』に載る論文を時々読むくらいでした。しかし、この秋になくなって、様々な特集番組を見たり、お書......
発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子ども。ヴァン・デ・コーク教授の The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.152、最期のパラグラフから。
何度も自殺しようとした後、マリアは私どもの居住型の治療施設にはいることになりました。はじめマリアは、一言もしゃべらず、しり込みしていましたし、人が近づけば、暴力的でした。他の方法では上手くいかなかった後、乗馬療法をすることになりました。乗馬療法では、マリアは毎日自分の馬を世話して、簡単な馬の乗り方を学びました。2年後に私がマリアに高校を卒業する際に話をしました。マリアは4年制大学に行っても良いと言っていました。私がマリアに「何が一番の助けになったんですか?」と訊ねたところ、マリアは「私が世話をした馬です」と応えたんです。マリアが私に話してくれたのは、マリアが初めて安心したのは、自分の馬といる時だった、ということでした。その雄馬は、毎日近くにいましたし、マリアが来るのをジッと待ってくれていましたし、マリアが歩み寄るのは嬉しそうでした。マリアは初めて、他の生き物と心からの絆を感じ始めて、マリアはその馬に、友達みたいに、話し始めたんです。マリアは乗馬療法をしている他の子どもたちとも話しをするようになり、次第にカウンセラーとも話しをするようになりました。
乗馬療法と一応訳しましたが、馬に乗るのが主ではありません。馬と温もりのあるやり取り関係になるのが主たる目的です。実際、マリアとその馬は、そういう関係になり、マリアは人との関係も改善したと言いますもんね。
日本では、馬と関われる人は極めて少数派ですね。友人で、乗馬療法を施設のプログラムに取り入れている人もいますけれどもね。
実際に多いのは、発達トラウマ障害(DTD)の子どもが、ネコやイヌと飼う例ですね。これなら割合よくあるパターンですね。発達トラウマ障害(DTD)の子ども等も、自分にセラピーが必要なことを、無意識裡に知っているからでしょう。
でも、単に飼うだけでは、どうにもならない感じがありますね。やはり、ヴァン・デ・コーク教授みたいに、発達トラウマ障害(DTD)の子どもが、ネコやイヌを飼うのを、見守る、その枠組み、守りが必要不可欠だと、私は考えますね。