エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

現世考: 教室でうつむいている子どもの気持ち

2017-01-10 09:02:24 | 間奏曲

 

 

 

 
ジョアンとエリック 面白夫婦
   ≪言ってること≫と≪やってること≫の一致してることが、絶対条件  『人を大事にする術』も第二章~第四章すべてを翻訳しました。昨日で第三章が完訳だっ......
 

 日々サイコセラピーをしていますが、空き時間に授業を観察することが時々あります。クラスにしばらくいますとね、前を見ている子どもより、うつむいたり、横を見たりしている子どもの方が多い、という場合が結構あります。クラスの子ども全員が教員の方を見ているクラスは、今から5年前、20台の女性教員の小学3年のクラス以来、一度も体験していません。とても残念なことですね。

 たいていは、うつむいている子が多い。なぜだと思いますか?

 驚かれるかもしれませんが、教室にいても、そこが落ち着きと安心の場ではない子が増えているからです。発達トラウマ障害(DTD)の子どもが溢れている時代です。普通は安心できそうな場所でさえ、過剰にストレスを感じやすい子どもが増えているのです。日々のストレスのために、ストレスに過敏な脳に脳が変形してしまっているそうです。ストレスに反応する偏桃体が大きくなり、その行き過ぎを正す海馬や前頭前野が小さくなっているらしい。

 怖いですね。

 ストレスの元って、物理的なものよりも、人でしょ。ストレスに弱い子が人と心地よい関係を繋ぐためには、よほど慎重で寛容な態度が大人に求められます。しかし、教員はとにかく忙しいOECDで一番自信のない教員(しかも、一番長時間労働をしているの)は、わがニッポンの教員です。その手の教員たちは、どうしても、指示的で、不寛容な態度の人が多くなる訳ですね。すると、発達トラウマ障害(DTD)の子ども達と心地よい関係ができない教員が圧倒的多数派になりがちです。

 ストレスを感じやすい子どもが、心地よさを感じない大人と一緒にいることを想像してみてください

 教室でうつむいている子どもを見かけることがありましたら、ここで申し上げたことを思い出していただけたら幸いです。

 

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聖書の言葉: 二月中旬

2017-01-10 08:16:11 | 間奏曲

 

 

 
親しくて、対等な関係
   右手と左手の話 改訂版   奴隷、と言っても、リンカーンが解放した黒人奴隷でも、アメリカ当局が「人身売買」と断じている、日本政府がやっている「外国......
 

 1月初旬ですが、2月中旬。信頼とは、二月中旬の感じです。

 

 2月中旬   

                            内村鑑三

 

雪は降りつつある。 然し春は来りつつある。 寒さは強くある。 然し春は来りつつある。

 風はまだ寒くある。 土はまだ堅くある。 青きは未だ野を飾らない。

 清きは未だ空に響かない。 冬は未だ我等を去らない。

 彼の威力は今尚我等を圧する。

 然れど日はやや長くなった。 温かき風は時に来る。

 芹は泉のほとりに生えて、魚は時々巣を出て遊ぶ。

 冬の威力はすでに挫けた。

 春の到来は遠くない。

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アカゲザル研究

2017-01-10 07:44:07 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 

 
脱感作とマインドフルネスは真逆!
   人々の倫理的な力を呼び覚ます ガンディーの力  他者の誠実さに自らを委ね続ける態度。trustfulness。ピンとこない人が多かったみたいですね......
 

  発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子ども。ヴァン・デ・コーク教授の  The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.155から。

 

 

 

 

 

 

サルが、氏か育ちかに関する、古くからある問いにハッキリ応えてくれる

 

 子育てと環境が、どのように遺伝子の表現形に影響するのか、ということが、一番よく解る方法の1つは、国立衛生研究所、比較動物行動学研究部門のステファン・シュモーの論文です。95%の遺伝子が人と共通するアカゲザルが、世代を超えて性格を伝えるのかを、シュモーは、40年以上、研究してきました。アカゲザル以上に人間と共通する遺伝子を持つのは、チンパンジーとボノボしかいません。人間と同様、アカゲザルも、複雑な結びつきと上下関係を持ちながら、大規模な社会集団の中で暮らしていますから、群れの要求に行動を合わせた個体だけが生き残り、子孫を残すことができるんです。

 

 

 

 

 

 エピジェネティックスの研究も、サル研究から発展したんですね。明日改めて翻訳しますけれども、アタッチメント、愛着とエピジェネティックスは大いに関係するらしい。

 親が寛容な場合、良い良心の場合は善い。でも、親が狭量で、忙しく、感性が鈍い場合、悪い良心の場合が問題です。その親にさえ、子どもは≪本当の自分≫を殺して、合わせなければならないからです。その場合、その子どもは、「親が怖い」、「親が憎い」と、言葉と態度で、かならず言いますから

 

 

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インターメッツォ: エリクソンの叡智 : 本物の人品の目印

2017-01-10 06:35:52 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 

 
ニッポンの母子家庭の貧困とニッポンの企業の社会的無責任 vs コモンウェルス 改訂版
   右手と左手の話 改訂版   奴隷、と言っても、リンカーンが解放した黒人奴隷でも、アメリカ当局が「人身売買」と断じている、日本政府がやっている「外国......
 

 今朝のエリクソンも、Insight and responsibility p.234。タイトルは、『本物の課題を見抜く眼と、本物の課題に応え続ける態度』という程の意味で、『…と責任』という感じじゃない。こころの力について。

 

 

 

 

 

 心の中のいろんな力のおかげで、私どもは(訳注:8つの)人品をピカピカ生かして生きられるのと同時に、私どもの弱みさえ、少しずつ(訳注:ユーモラスに)に生かして生けるようになる訳です。

 

 

 

 

 

 本物の人格的な力は、自分の持ち味を生かして、人品としてくれるだけではありません。自分の弱点、欠点、弱みを、恥ずかしがって隠しておくのではなく、許されて、少しずつ、ユーモラスに、楽しく陽気に、自由に、表現できるようにしてもくれるのです。本物の人格的力のメルクマール、本物の人品の目印、それは、自由に陽気で楽しく弱さを出せる、ということです。

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