中国でのいろいろ

中国での生活、出来事をぼちぼち綴っていければと思っています。

四川省 都江堰(du jiang yan)

2021-02-11 00:02:11 | <四川省>

都江堰(日本語読みで”とこうえん”)は今から2000年以上前に造られた水利施設です。

ダムではない方法によって水運を妨げずに水量調整できることが特徴です。

 

 

岷江は最後に長江(揚子江)へ合流する全長700kmを越える大河です。

都江堰は、岷江が平野部へ流れ出る扇状地の扇頂部に建造されています。

昔はこの辺りから下流にかけて氾濫による水害が多発する場所でした。

 

 

今でも現役で治水や水運と農地の灌漑に活躍しています。

2008年の四川大地震でも被害は少しの損壊だけでした。

 

 

Wikipediaに分かりやすい都江堰の構造の説明と図がありましたので転載します。

 

 

中央の中州(4)が人工の堤防で、先端の「魚嘴」(2)で川を左右に分水する。

左(3)が岷江本流、右(5)が灌江であり、「飛沙堰」(6)で土砂を灌江から排出し、

「宝瓶口」(8)から灌江の水を右下の農業用水へと導く。

出展:Wikipedia

 

 

人工で造られた中州が金剛堤、ここへ渡る吊り橋が安瀾橋です。

安瀾橋が最初に架けられたのは宋代、現在の橋は清代に再建されたもの元に修復したものです。

 

 

魚嘴は岷江の流れを適切に本流と灌江に分ける役目を持っています。

位置は過去の洪水や地震で変動してきたそうです。

現在の位置は1936年の改修工事によるもので建設当初より下流にあります。

 

 

飛沙堰は灌江側から岷江の本流へ土砂や余分な水を戻す役目です。

増水しても灌江が氾濫しないように、灌江側の水流が岷江本流へ戻る設計になっています。

 

 

宝瓶口は灌漑や水運に使われる蒲陽河の入り口、導水路です。

飛沙堰と同じように水量を調節する機能も持っています。

宝瓶口の導水路によって元の山から切り離された右の部分は離堆と呼ばれます。

離堆には都江堰の建設を推進した蜀の郡守、李冰を祀る伏龍観があります。

 

 

断崖を切り抜いた狭い水路を流れ出る水の勢いは結構すごいです。

宝瓶口から少し下流にある南橋の下を流れる蒲陽河を見るとちょっと怖くなるぐらい。。

 

 

二王廟には都江堰の建設を推進、完成させた、李冰と息子の李二郎が祀られています。

四川大地震の際にお寺の多くの建物が倒壊しましたが現在は復元されています。

 

 

二王廟のある山に登ると都江堰の全体像を見ることができます。

天気が良ければ。。ですけどね。

 

 

都江堰は成都市から西北に50kmほど離れた場所にあります。

建設工事中には諸葛孔明も視察に訪れたといわれています。

2000年にユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されました。

 

 

また、都江堰のある都江堰市はもともと灌県という地名でしたが、

世界遺産登録に因んで改名されました。

 

 

都江堰の周囲には公園なども造られており一帯が観光景区になっています。

中国国内では有名な観光地で多くの人が訪れます。

また、景区の外にも食事の店や土産物屋などが並ぶ古い町並みの通りがあります。

 

 

事前にしっかり予習してから行けばよかったかなぁと反省しています。

魚嘴や飛沙堰の役割や都江堰の設計思想をもう少し理解してから見学すれば、

天気が悪くてももっと楽しめたと思います。

今回は旅が終わってから、撮った写真とネットの情報を見比べながら勉強しました。

 

 

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四川省 楽山市 楽山大仏

2021-02-04 00:02:04 | <四川省>

楽山大仏は世界最大の磨崖仏です。

高さ71m、肩幅は24mで、頭の高さだけでも14.7mあります。

 

 

大仏のある凌雲山は峨眉山から40kmほどの距離。

岷江、大渡河、青衣江の3つの大きな川が合流する場所にあります。

 

 

団体旅行だと峨眉山と楽山大仏は、ほぼ必ずセットになっていると思います。

大仏を間近で見るには、まず凌雲山を登ります。

 

 

山の上からは大仏様のお顔を間近に見ることができます。

目の前で見るととにかく大きい。。

 

 

大仏の足元へ降りる道は凌雲桟道だけになっています。

九曲桟道は上り方向の一方通行になっていました。

下りも上りも狭い階段や岩を掘ったトンネルを通るので混雑します。

 

 

凌雲山には、大仏以外にも凌雲寺などの仏教寺院がありますが、

みなさんの目的地は楽山大仏なので、大仏以外の場所はさほど混んでいません。

 

 

楽山はかつて有数の塩の産地でした。

塩を運ぶ船の安全やこの地に度々発生する川の氾濫を鎮めることを祈念して、

大仏が建立されたそうです。

 

 

確かに川幅は広いのに流れはかなり急で、落ちたら助かる気がしません。

大仏が造られたのは唐代、713年から建造が始まり90年の歳月をかけて完成しました。

 

 

楽山大仏は峨眉山と合わせて1996年に文化と自然の複合遺産として、

ユネスコの世界遺産に登録されています。

 

 

観光船に乗って川から大仏を見ることもできます。

大仏の前で10分ほど停船してくれるようです。

楽山大仏景区の北門から岷江沿いに500mぐらいの場所にも乗り場があります。

 

 

楽山は辛くない美味しいものもたくさんある街です。

中でも有名なのは、跷脚牛肉(qiao jiao niu rou)と甜皮鴨(tian pi ya)。

跷脚牛肉は塩味系あっさり味の牛ホルモンスープ料理です。

お好みで、唐辛子、山椒、ナッツ類などを混ぜたスパイスをつけていただきます。

 

 

甜皮鴨は字の如く少し甘くて北京ダックのように皮がパリパリの鴨料理。

他にも豆腐脳と呼ばれるおぼろ豆腐なども有名です。

どれも辛くないので辛いのが苦手な人も安心。

跷脚牛肉は”非物質文化遺産”なんていう称号がついているようです。

 

 

楽山まで来たら是非、辛くない料理も試してみるのもよいかと。

それと山や階段のきつい九曲桟道はちょっと。。と思うなら、

大仏の頭は目の前で見られませんが、凌雲山には登らず観光船のほうがお薦めかもしれません。

大仏の全体像が見られるのでいい写真も撮れると思います。

観光船なら山登り不要で楽山大仏景区に入るより値段も少し安いです。

 

 

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四川省 峨眉山 只有峨眉山

2021-01-28 00:01:28 | <四川省>

只有峨眉山は峨眉山の麓にある只有峨眉山戯劇幻城で公演される現代劇です。

観客は役者の目の前で観劇したり、劇の中に入り込みます。

 

 

劇場の敷地面積は78000平米、建築面積は30500平米あります。

雲の上、雲の中、雲の下の3つの劇場に分かれており、観客は劇場を移動しながら楽しみます。

 

 

劇はいくつかのテーマに分かれており、それぞれで舞台や劇場が変わります。

開演は1日1回、19:30~21:00です。

 

 

まず最初に見るのは雲の中劇場。

雲の中は屋外にあり、建物に入る前からもう公演が始まっています。

なので冒頭部分だけなら無料で見ることができます。

 

 

役者さんに導かれながら雲の上劇場へ。

座席指定があるのは雲の上劇場だけでした。

開演から30分もしないうちに移動して立ち見や自由席になりますし、

観客が少ない時期には値段の高い前の席を買う必要はありません。

 

 

ここで上演されるのは、”峨眉山の雲海と人々との対話”です。

卍型の舞台上を古代人や現代人が練り歩きます。

聞く劇ではなく、演出を視覚的に楽しむような感じです。

 

 

最後に観客も雲海に導かれて舞台の中へ移動します。

演目は、仕事や恋(結婚?)がうまくいかず自殺を考える女性が、

出会った老女ととも過去を振り返りながら立ち直っていく劇です。

舞台の目の前で立ち見します。見る位置も自分の自由です。

迫りなどの大型舞台装置が動く様も目の前で見ることができます。

 

 

ここから先は順に次に別の部屋へ移動しながら観劇します。

次は改革開放後、若い人達が村を捨てて都会へ出て行ってしまう、

日本と同様、過疎化の問題をテーマにした劇です。

 

 

最初は部屋の周りに置かれた椅子に座って劇を見ますが、

途中から観客も自由に好きな場所へ移動することができます。

もちろん役者さんの目の前に座っても立っても大丈夫です。

 

 

次の部屋では、何なのでしょうか、雲をイメージした踊りでしょうか。

こちらも役者さんのすぐそばで見ることができます。

 

 

どちらかと言えば女性が主役の踊りや劇が続きましたが今度は男性が主役です。

峨眉山の剛力さんを例えに誇りや伝統を若い世代に受け継いでいくような感じ?

内容は自信がありません。。

 

 

最後は雲の下劇場に移動します。

只有峨眉山戯劇幻城のある場所にはもともと川主鎮高河村という村がありました。

劇中にあったように実際に過疎化で廃村、移転になったのかもしれません。

舞台の小道具の中には実際に村で使われていた家財道具などもあるようです。

雲の下劇場には村の家や商店、食堂などが再現されており、

観客は村の中の好きな場所で劇を見ます、移動も自由です。

 

 

このようなスタイルの劇は日本でも中国でも初体験でした。

劇だけでなく舞台装置も目の前で見ることができるので、

中国語が分からなくてもそれなりに楽しめると思います。

私の中国語レベルでは内容は半分も理解できませんでしたが面白かったです。

 

 

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四川省 峨眉山 清音閣 万年寺など

2021-01-21 00:01:21 | <四川省>

中国四大仏教名山のひとつ、峨眉山には数多くの寺院や仏像があります。

清音閣や万年寺のある場所は森林や渓流も美しい場所です。

 

 

清音閣は、877年に建立されました。

釈迦、普賢菩薩、文殊菩薩などが祀られています。

 

 

ちょうど2本の渓流が交わる場所にあります。

周りには緑が多く川のせせらぎも聞こえます。

マイナスイオンがたっぷり。

 

 

この場所は峨眉十景の”双橋清音”です。

大昔から癒しの場所だったようで、ここで水音を聞くことが風流とされました。

 

 

緑に包まれた川沿いの道を歩くのは気持がいいです。

でも残念ながらこの日も雨模様。。

小雨が降る中でのお寺巡りと森林浴となりました。

 

 

歴史のあるお寺めぐりも良いのですが、

せっかく山に来たならこういう景色の場所も歩かないと。

 

 

万年寺は420年に建立された、峨眉山の中で最も大きな仏教寺院です。

建立当時は普賢寺と呼ばれており、明代に万年寺の名になりました。

 

 

宋代に造られた象に乗っている普賢菩薩が祀られています。

また、このお堂には梁が全く使われていません。

過去の大きな地震の際にも倒壊しておらず、中国建築史上の奇跡とも言われているようです。

 

 

お寺には、他にも弥勒殿、巍峨宝殿、大雄宝殿などがあります。

 

 

麓からロープウエイを使って万年寺の近くまで登ることができます。

山登りがきつければ往復利用、または片道ロープウエイで下りは徒歩という行き方もありです。

 

 

実は峨眉山、漢代までは仏教ではなく道教の盛んな山でした。

唐代に入り、時の皇帝の信仰などにより次第に仏教寺院が増えていきました。

金頂に普賢菩薩が現れたのを見て仏教信仰が広がったという言い伝えもあります。

 

 

最盛期の明、清代には150ほどの寺院や多くの仏像があったそうですが、

現在の寺院の数は26なので、すでに失われたものも数多いようです。

 

 

峨眉山の名産品に”竹葉青”という緑茶があります。

日本ではなじみが薄いかもしれませんが中国では有名なお茶です。

少し竹の葉に似ている茶葉の色と形状からこの名前が付けられました。

 

 

峨眉山の観光には身分証が必要です。

ロープウエイやバス等の利用時に中国人は身分証をタッチするだけでOKですが、

外国人(パスポート)の場合、紙のチケットを係員に提示します。

オンライン予約でも窓口でチケットの受け取りが必要なため、少々手間がかかります。

 

 

清音閣や万年寺のある場所は標高700mほどです。

金頂のような壮大な景色はありませんが、木々の緑と清流がたっぷり楽しめます。

 

 

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四川省 峨眉山 金頂(千仏頂)

2020-12-24 00:12:24 | <四川省>

四川省の峨眉山は中国四大仏教聖地のひとつです。

また数多くの野生動植物が生息する山としても知られています。

 

 

四大仏教聖地(四大仏教名山)とは山西省の五台山、安徽省の九華山、

浙江省の普陀山、四川省の峨眉山のことを指します。

1996年に峨眉山と楽山大仏は複合遺産としてユネスコの世界遺産に登録されました。

 

 

峨眉山の最も標高が高い峰は3099mの万仏頂、金頂は2番目に高い3079mです。

2つの峰の形が美しい眉のように見えることから峨眉山と呼ばれるようになったと言われています。

 

 

金頂に聳え立つのが四面十方普賢菩薩金像です。

高さは48m、重量660トンのブロンズ像に金メッキが施されており、

世界最大級の大きさだそうです。

 

 

現在、山頂に建つ、金殿、銀殿、銅殿と四面十方普賢菩薩金像は、

2003年から修復が始まり、2006年に落成式と開眼法要が行われました。

法要には日本からも僧侶が招かれたそうです。

 

 

4つの峰からなる峨眉山、金頂は山奥にあるので麓からバスで向かいます。

乗車時間は1時間半ほど、山道はきれいに舗装されています。

小型バスに乗った場合はブレーキ用冷却水補充(おそらく)のため途中で少し休憩が入ります。

日本では見ることのないこの光景、これって何しているのと聞いたら、

”冷却水の補充だよ、そんなこと知らないの”と返されました。

安心すべきなのか、不安になるべきなのか。。

 

 

バスを降りるともう標高は2500m弱。

ここから山頂へ向かうロープウエイ乗り場まで30分ほど登るだけで、

ほとんど山登りもせずに3000m越えの山頂へ到着です。

 

 

この辺りには野生のチベット猿が食べ物をねだりに出没します。

ただし、チベット猿の大きいものだと体重は70kg。

重さは人と変わりません、力も強く可愛い動物ではないです。

白い袋やカップを持っていると飛びつかれて奪われますのでご注意を。

 

 

もちろん、ロープウエイを利用せずに最後は自力で山頂まで登ることもできます。

ただし、ここからでもまだ標高差が500m以上ありますので、

それなりに体力は必要かと思います。

 

 

峨眉山には峨眉十景と呼ばれる景観があり、山頂からは壮大な雲海や、

仏光と呼ばれるブロッケン現象が見られるハズですが。。

 

 

この日の視界は数十mほど。。

目の前のお寺や仏像も霞んでいます。

 

 

2日後にガイドが山頂から送ってきた写真ではこんな感じ。

天気が良ければ本当に素晴らしい景色の場所なのです。

 

 

見渡す限りの雲海の上には、

峨眉山の最高峰、標高3099mの万仏頂に立つ万仏閣も見えています。

 

 

金色の四面十方普賢菩薩金像のお姿も神々しく。。

 

 

またの機会に自分の目でこんな美しい景色を楽しんでみたいと思います。

翌日は峨眉山中腹の寺社を巡ったり、自然景区の中を散策しました。

今回の四川省、本当に天候に恵まれず、どこに行っても雨や霧でした。

まだまだ四川の旅は続きます。

 

 

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