28.06.30 債 務 免 除 NO.1118
私がサラリーマンをしていた昭和30年代と言えば、豊かでなかったけれど「サラリーマンは
気楽な稼業」だったのかもしれません。
同僚に酒好きで飲み屋の借金が年収に達するくらい溜めていた人がいました。
なんとか解決しようと郷里の親に「半分でいい、あとの分は放棄するから遺産相続する財産
を先にください」と直談判におよびました。 「馬鹿もん!」「お前の顔なんか見たくもな
い!」「二度と我が家の敷居を跨ぐな!」・・・と怒鳴りつけられて、意気消沈して帰って来ま
した。 付き合っていた女性から結婚を求められてもいましたので「万事休す!」
そこで彼は数十軒あった飲み屋さんに、一軒一軒土下座するようにして「債務免除」を求め
ました。 「申し訳ない・・・借金を抱えたままでは結婚も出きない、残金の1割を現金でお
支払いしますが、あとの9割を免除してほしい」一から出直します。 結婚しても小遣いの
範囲内で必ず飲みに来ます・・・。と頼んだのでした。
全ての飲み屋さんの了解を得て、借金を整理して彼はめでたく結婚したのです。 その後、
彼の酒好きは変わりませんでしたが、ハメを外すこともなく職務に専念し役員待遇にまで昇
進しました。 世の中今ほど世知辛くもなくのどかな時代でしたが彼の人徳があったからこ
そ、債務免除は成功したのだろうと思います。