ことばと詩 40 内藤了『怨毒草紙 <よろず建物因縁帳>』<タイガ>、講談社、2020年より 20201009
内藤了さんの連作「よろず建物因縁帳」はボクの好きな作品群のひとつです。人物像もリアルで魅力的です。長野を舞台にしています。
とりわけ主人公の高沢春菜(はな)は、とてもいいです。
今日は脇役の加藤雷助和尚の珍しくまじめなことば。
「他人の不幸、恐怖、苦しみ、痛み、嫉妬に妄執・・・まだあるが、それらを無上の悦びとする歪んだ心が凝り固まって、発する瘴気が鬼になる。人に取り憑き、惑わせて、そのものを取り込みながら膨らんでゆく。」