雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

本と映像の森(第3) 8 立花隆『解読「地獄の黙示録」』文春文庫、2004年

2020年11月20日 10時58分48秒 | 本と映像の森
本と映像の森(第3) 8 立花隆『解読「地獄の黙示録」』文春文庫、2004年


 文藝春秋社、189ページ、定価本体486円、原書2002年3月文藝春秋社。


 評論家立花隆さんが監督フランシス・コッポラさんの映画『地獄の黙示録』について書いた3つの評論を掲載しています。


 誰でも読むべきものと思ったので、ここに書くのですが、まだ内容は不確定です。なんせボクはこの映画それ自体を見ていないので。また見て何か考えに変化があれば書きます。


 映画はベトナム戦争でベトナムに介入したアメリカ軍のカーツ太佐がカンボジアで独立し砦を築いて立てこもる。政府の命令を受けたウィラード大尉たちが反乱を鎮圧しに行く。


 このはなしにコンラッドの小説「闇の奧」やエリオットの詩「荒地」をはじめ、フレイザーの「金枝篇」に出てくる王殺しや聖杯の伝説がからんで展開する(と思う)。


 ベトナム戦争の偽善や悪がまざまざと描写され、アメリカの精神や病気が描写されるのですが、もちろん解決されたりはしません。


 立花隆さんは言います。


 「しかし、戦争目的のための殺戮という、目的の公益性(もちろんアメリカ人にとっての)は、手段(無差別殺戮)を浄化しなかったのである。だから、カーツは自分がやっていることをすべて憎むようになり、誰かに殺されたいと願うようになったのである。」(p177)
 
 「戦争の本質は人を殺すことである。戦争で勝つために最も重要なことは、人を殺すことをためらわないことである。カーツ大佐の一見特異な性格は、この本質をつきつめて行動することからきている。
 映画を見終わってから、カーツはビンラディンにそっくりだなと思った。そのあとたまたま筑紫哲也さんに会ったのでその話をしたら、いやー、ぼくもそう思ったよと言っていた。
 カーツに似ているのは、ビンラディンだけではない。・・・・・・(以下略)」(p186)


 最終的に撮影したフィルムは約440時間。完成した作品は2時間33分。


 編集の最後まで最終シーンをどうするかは決まらなかった。戦争は終わっていなのだから映画が終わるはずもないのだと言えないこともない。


 だから監督フランシス・コッポラさんがラストシーンに苦労したのだと思う。



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