ことばと詩 15 闇と光 ⑦ 闇がなければ星は光ることができぬ 20190725
平井和正さんの『幻魔大戦』の続編、『ハルマゲドンの少女 上』(徳間書店、1986年)の「第1部 ハルマゲドンの少女、パンドラ」の1シーン。
ギリシアの下町、急な大雨で逃げ込んだ家屋のなかで、女性主人公2人はんその家の老婆に遭遇する・・・。
老婆はなにか重要なことを主人公たちに語る。
「闇がなければ星は光ることができぬもの。輝かしい太陽の光が世界に満ち満ちている時、人は闇の恐怖を忘れよう。光のありがたみも忘れ果てる。暗夜の恐ろしさなど考えることもせぬ。苦悩と絶望の中にこそまことの真実があるものよ。されど、太陽の光が満ち溢れる真昼に、真実を求め、探す者がおろうか・・・」」
「それは、お前さまがこれから探し当てること‥じゃが、覚えておくとよい。新しい宇宙を生み育てるのはゼウスやアポロではないということをな。それは女であるお前さまのなすべき業じゃ。偉大なるものをいつも女なのじゃよ。
・・・・・・それはいつかわかる日がこようて。かまえて忘れなさるなよ、光を産むのも闇を産むのも女だということを‥ゼウスやアポロにもそれだけはなしえぬ。それは他ならぬお前さまの役目だということを‥‥」(p40)