ことばと詩 64 恩田陸『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎、2016年)より 20210709
恩田陸さんの傑作音楽小説『蜜蜂と遠雷』は音楽ドラマであると同時に、関係者たちの対話ドラマでもあると思う。でも映画は、その両面をうまく表現しているだろうか。
そのなかの、作曲家菱沼と旧知の審査員との会話。
「だがねえ、結局、我々はみんな媒介者に過ぎんええんじゃないかって年々思うようになったね」
「媒介者?」
「作曲家も、演奏家も、みんなさ。元々音楽はそこらじゅうにあって、それをどこかで聴きとって譜面にしてる。更には、それを演奏する。創りだしたんじゃなく、伝えてるだけさ」
「預言者ですね」
( p226、「音の絵」より )
恩田陸さんの傑作音楽小説『蜜蜂と遠雷』は音楽ドラマであると同時に、関係者たちの対話ドラマでもあると思う。でも映画は、その両面をうまく表現しているだろうか。
そのなかの、作曲家菱沼と旧知の審査員との会話。
「だがねえ、結局、我々はみんな媒介者に過ぎんええんじゃないかって年々思うようになったね」
「媒介者?」
「作曲家も、演奏家も、みんなさ。元々音楽はそこらじゅうにあって、それをどこかで聴きとって譜面にしてる。更には、それを演奏する。創りだしたんじゃなく、伝えてるだけさ」
「預言者ですね」
( p226、「音の絵」より )