新・本と映像の森 341 柞刈湯葉『横浜駅SF』KADOKAWA、2016年
282ページ、定価本体1200円+
きわめつけにおもしろいSFと思う。
横浜駅が暴走して自動繁殖を開始、数百年後、本州はすべて横浜駅化した。北海道と九州は困難な防衛戦を続けている。
人類は脳に埋め込まれたSuikaカードで横浜駅で暮らせるエキナカの住民と、その外で細々と暮らす住民に分けられる。
主人公のひとりはエキソトの住民ヒロト。ヒロトはエキナカから来て死んだ男にたのまれて「42番出口」を探す旅に出る。エキナカで出会った男の子型のヒューマノイドロボットのネップシャマイと組んで旅を続ける。
もう1組の主人公は九州から出発する久保トシル。トシルも四国で会った女の子型のヒューマノイドロボットのハイクンテレケと東への旅を続ける。
☆
過去のSFへのオマージュ・尊敬に満ちている。早いはなしが目次はこうだ。
1 時計じかけのスイカ
2 構内2万営業キロ
3 アンドロイドは電化路線の夢を見るか
4 あるいは駅でいっぱいの海
5 増築主の掟
6 改札器官
人間とヒューマノイドロボットのペアによる探索という筋は、アイザック・アシモフさんの名作『鋼鉄都市』『はだかの太陽』のイライジャ・ベイリ/ダニエル・オリヴォーの人間/ヒューマノイドロボットのペアのコンセプトを借りていると思う。
細かいこともいっぱい書きたいが、めんどくさい。あとは読んでください。