日本と世界の古代史 農業の開始はハンコの開始か?
「日本と世界の古代史 1万1千年前のトルコの石柱遺跡が人類史を書き換える 2013年12月19日 22時12分22秒 | 日本と世界の古代史」で紹介した「世界不思議はっけん」で質問「農業の開始(トルコの地域では小麦の栽培)と共に始まった一人ひとりが持つ物は?」に対する答えは「ハンコ」でした。
しかし、中東に於いては「農業の開始がハンコの開始」だったのかもしれませんが、日本に於いては正しくないと思います。
日本の弥生時代、稲農耕の開始とともに、ハンコは始まっていません。日本でハンコが始まるのは統一国家=律令国家のできる7世紀末から8世紀です。
参考は田中琢・佐原真『考古学の散歩道』(岩波新書、1993年)の「Ⅰ 日本人とは?日本文化とは?、2 象牙とハンコ(執筆:田中琢)」です。
律令体制の崩壊とともにハンコ文化は衰退して、サイン文化に代わります。そして江戸時代からまたハンコ文化が復活して、現代に至ります。
なぜ?ということは同書では解明されていません。おもしろい問題ですが。
なお中東古代や日本古代のハンコは「粘土」に「封泥」するため、現在のハンコで字の外を掘るのと違って、逆に、「字」が掘られています。