新・本と映像の森 317 日比野秀男『駿遠豆の木喰仏』第一法規、1980年
縦橫17センチ、191ページ、定価1900円。
たまには郷土書も扱っていこうということで、まずこの本から。
タイトルの「駿遠豆」は「駿河遠州伊豆」を縮めて言った言葉で静岡県のこと。「木喰」は「もくじき」と読みます。穀物を食べないで木の実や草を食べることを「木食戒」といい、その僧侶を普通名詞で「木食上人」というそうです。
ふつう木喰上人といわれるのは江戸時代の人で静岡県にもゆかりの深く、生涯で発見されているだけで数百体の仏像を彫った人です。
享保(きょうほう)三年(1718年)生まれ、文化七年(1810年)没。
浜松では北区引佐町や浜北区堀谷(ほりや)や中区に足跡を残し、たくさんの彫刻を残しました。
浜松では「閻魔大王坐像」や「葬頭河婆坐像」とか「自刻像」。荒削りの木彫りが素朴で、とてもいいですよね。
「仁義礼書軸」や「南無阿弥陀仏」「忍の書」などの書の掛け軸もいいですね。
信心深い和歌も味がある。
おもしろいのは、木喰さんは山地の地帯をずっと巡っていて、けっして海岸へは出てこないようだということです。
木喰さんは海はきらいで、山が好きだったのでしょうか。