新・本と映像の森 181 萩尾望都『ポーの一族 3 小鳥の巣』小学館
以前に3つ、萩尾望都さんの「ポーの一族」について書いた。
「本と映像の森 214 萩尾望都さん、連作「ポーの一族」を読み返したい
2012年07月06日 06時38分08秒
「新・本と映像の森 148 萩尾望都『ポーの一族 1』フラワーコミックス、小学館
2018年06月22日 02時15分19秒 | 本と映像の森」
「新・本と映像の森 79(マンガ12・SF19) 萩尾望都『ポーの一族 春の夢』小学館、2017年 2017年08月07日 14時52分38秒」
でも、やはり「小鳥の巣」は傑作だと思う。萩尾望都さんの作品で1つだけあげよと言われればボクは「小鳥の巣」をあげる。
ある年(この作品では具体的な年は言われない)3月、ドイツのギムナジウムに2人の少年が転校してくる。この「小鳥の巣」は、その3月から学園の創立祭の5月までの物語である。
転校してきたのはエドガーとアラン。
迎える主な主人公はキリアン・ブルンスウィックと左足の悪いマチアスと委員長テオ。
出てこない影の主人公はエドガーの妹で死んだメアリーベルと学園で2年前に自殺した少年ロビン・カー。
あと登場人物はグロフ先生と同級生たち、上級生2人。
小道具はー
クツヒモ
グロフ先生の時計
エドガーの持っているバラのエッセンス
マチアスノの温室
図書室のうえの張り出し窓
湿地
舞台装置は学園祭の演劇。
そして悲劇の幕は切って落とされる。何が悲劇か?過去と現在の二重の意味で。
以前に「古代史考 マザーグースの葬送歌と『古事記』の葬送歌と萩尾望都さん『小鳥の巣』」を書いた。
それを再録する。
「古代史考 マザーグースの葬送歌と『古事記』の葬送歌と萩尾望都さん『小鳥の巣』
2012年08月20日 06時34分21秒 | 古代史を考える
少し、自由に、日本の古代史について、書いていきます。
イギリスの童謡「マザーグース(直訳すると「母さんガチョウ」)の中に「誰がクックロビンを殺したか」という有名な歌があります。
「クックロビン」は「雄の駒鳥」のことです。
以下、訳して見ました。
誰が 殺した クックロビン、それは私、とスズメが言った、私の弓と矢で、私が殺した クックロビン
誰が 死ぬのを 見た?、それは私、とハエが言った、私の目で、私が見た、彼が死ぬのを
誰が 受けた 彼の血を?、それは私とサカナが言った、私の小さな皿で、私は受けた、彼の血を
誰が つくるの 白い死に装束?、それは私、とカブトムシが言った、私の鍼と糸で、私は作る、死に装束
まず、この歌をテーマに使った推理小説が、ヴァン・ダインさんが1929年に発表した『僧正殺人事件』です。そして、日本では、漫画家の萩尾望都さんが『小鳥の巣』のなかで使ったので、ボクは初めて、マザーグースの「誰が殺したクックロビン」を知りました。
ドイツのギムナジウムで、14才の少年たちが織りな思春期の切ない物語です。「小鳥の巣」は、連作「パンパネラ」一族のシリーズなのですが、吸血鬼として永遠の生を生きる、主人公のエドガーやアランと、つかのまの青春を生きる少年達との対比が印象的です。
「小鳥の巣」は、ロビン・カーが飛び降りてしまったあと、遅れて、学園にやってきたエドガー・アランと、在校生のキリアン、マチアス、テオとの興隆と確執が悲劇に終わります。なにが悲劇か、作品を読んでください。
「日本古代史考」なのに、何が関係アルの?
実は、『古事記』に、似たような物語があるのです。
高天原の神々が、ニニギさんを派遣する前に、実は何人も派遣して失敗していました。その一人が「天の若日子」さんでした。ところが派遣された天の若日子さんは、大國主の娘の下照る姫さんと結婚してしまい、住み着いてしまいました。
若日子さんが、高天原から「どうなってんの」と派遣された女性を射殺した矢が天井に届いて、それを最高責任者の高木神が投げ返したら、若日子の心臓を貫いて死んでしまいました。
そこで「若日子が死んだ場所に、もがり屋を建てて、鴈を食べ物を備える役に、サギをほうきで掃き清める役に、カワセミを料理を作る人に、スズメを碓をつく女に、雉を泣く女の役に定めて・・・
ユーラシア大陸の東の端と・・・西の端と・・・何か関係あるんでしょうね。
ところで、アランは途中で、不慮の事故で消滅しちゃったけど、エドガーは物語の中では・・・2012年の今も。生きているはずです。いまも、10代の若い姿のままで……。
初めて「ポーの一族」シリーズを読んだ時は、たぶん20代でしょうか。今は、ぼくも、もうじき60才です。」
「小鳥の巣」の魅力は主人公のモノローグに沿って書かれた萩尾望都さんの詩です。全文を紹介したいくらいだが、みなさんは自分で読んで欲しい。マンガだとふつう「見る」ものだが。
「小鳥の巣」は詩集を読む気で読んで欲しい。
ストーリーをほとんど書かなかったけど、ま、いいか。