雲は完璧な姿だと思う。。

いつの日か、愛する誰かが「アイツはこんな事考えて生きていたのか、、」と見つけてもらえたら。そんな思いで書き記してます。

クリック

2023-06-12 18:36:09 | 面白い...映画/音楽
バンド演奏をスタートさせる時や、
皆で何かを一斉にやろうとする時に
「カウント」をとるようなことがあると思うのですが。
そのカウントを電子制御にして電子音で鳴らすことを
「クリック」なんて言ったりします。
「同期信号」のこと。

「カッ、カッ、カッ......♪」

なんて感じで。
レコーディングなどでは当たり前のように使うのですが、
ライブなどの場合はお客さんや
外側に聴かせるような音でもないので、
イヤホンやヘッドホンで聴きながら
合わせたりするようなことにもなります。

このクリック。

合わせるものが異種モノである時などにはとても重宝します。
異種モノとは、
例えばライブステージの演出でバンド演奏と照明と
バックの大画面映像などを同時に合わせて出したい時とか。
そんな時には各メンバーやセクション間でのクリック
必須であったりもします。
そういう意味で、
クリックというのは各々の世界を繋げて、
広げていく時に必要、もしくは、
重宝するモノでもあるように思います。



最近公開されていた映画「TAR(ター)」。
トッド・フィールド(Todd Field)さんの監督、脚本、製作。
ケイト・ブランシェット(Cate Blanchett )さん主演。
クラッシック音楽における
超一流の女性オーケストラ指揮者「ター」の物語。
今年のアカデミー賞では6部門にノミネート!
されていた、その筋ではとても評価の高い作品。

僕さんがこの映画を観ようと思ったキカッケは
「藤原ヒロシ」さんが激オシしていたからなのですが、
僕さんの場合、
ヒロシさんと野村訓一(のむらくんいち)さんがお勧めするモノは
大抵チェックしてしまうというクセがありまして。
ええ。ええ。
この2人のことはネットでググってもらえればと思いますが、
とても珍しかったのは、
そんな藤原ヒロシさんがこの映画を紹介している時の様子で。
ヤケに話しにくそうだったり、
表現に困っているような感じがあって。
その辺がまた妙に僕さんの興味をソソり。
それで映画館に駆け込んでしまったというわけなのです。



この映画。

一言で言えば「伏線回収の鬼」



「鬼」という表現を使ったのは、
推理小説の如くアチコチに張られまくった伏線が、
ただ回収されていくというだけでなく、
その理解や捉え方や意味が、
見る人によって幾つもの形となるように作られていること。
すごい脚本。



それと、

人間社会の二面性。

人社会は表裏、昼夜、清濁などの二面性で動いている......

......的な。



劇中ではそんな二面性を表すシーンが沢山出てくるのですが、
ホンの一部だけ記せば、例えば、
講演に笑顔で満足そうに参加している人の手に握られている
スマホのライン上には、
その講演を友達とディスリまくっている言葉が並んでいたり。

主人公のターが借りているアパートの隣には
小太りの中年女性が住んでいて。
その隣人とは、ターはまともな会話をしたことがなく。
勿論、隣人の部屋の中など見たこともなく。
しかし、ある日、
ふとしたことでそんな隣人の部屋に入ることとなり。
入ってみると、
そこには糞尿にまみれた老病の母を、
同じく糞尿にまみれながら必死に介護している
隣人女性の姿があったりします。



たった一枚のドア。

そのドアを開けてみるまではわからなかった世界がそこにある。

想像もできなかった世界がすぐ隣にある。

しかし、

それは最初からずっとあった世界。



ターはそんな隣人の世界を知らないまま、
何年も何年もドア一枚隔てて暮らしてきていました。
隣の部屋は汚物にまみれた苦悩の世界.......いや、
果たして、
それは汚いモノなのか?
実は美しいものではないのか?と。
どういう捉え方が正しいのか?と。
そんな二重性や、
多様な意味の重なりと広がりとをぶつけてくる作品。
もし、そんな隣人を汚いと思ったり、
糞尿を汚物と思ったり、
考えたりするような言動をとるのであれば、
あなたの世界はそのように、
このように変容していくのですよ......的な。
そんな物語の広がりも待ち受けています。



人を苦しめているのは、
人間社会の持つそんな二重性や二面性なのではないか......と。
そんなことを表現している作品のようにも思えました。



そして、
そんな人社会において、
最も得難いことは「信頼」なのではないのか、と。



歴史と伝統の上に生まれる権威主義。
権威に乗り、使い、護ろうともする人々。
それらをウザイ!と思っている人々。
なんとも思っていない人々。



クラッシックに限らず、
音楽とは本来どういうものなのか。
音楽の価値とはなんなのか。



音楽において、
欧米とアジア、
その他の国々も含めて、
どこが上なのか?下なのか?
新しいのはどちらなのか?
古いのはどちらなのか?
未来はどちらにあるのか?
ゲーム音楽のスコアとクラッシックのスコアと、
どちらがレベルが高いのか?
そんな諸々は、もう、どうでも良いことなのか。



劇中では、
クラッシック界の巨星
「レナード・バーンスタイン(Leonard Bernstein)」さんの
こんな言葉が映し出されます。



「私たちは音楽を理解するのに、
シャープやフラット、
コードなどについて詳しく知る必要はありません。
音楽がもたらす感情には制限がないのです。
音楽は言葉で説明できない感情を伝えることができます



作品を見ているうちに、僕には、
主人公の「TAR(ター)」の名前が
「ART(アート)」にも見えてきました。
アートということの意味を背負わされた人。



もし、これから先、
この映画を観るような方がいたとしたら、
冒頭にある話が伏線であるということがわかるのではないかと。
それを自分なりの意味で回収することも出来るのではないかと。
幸も不幸も、上がるも下がるも、広がるも狭まるも、
全て、その人の解釈次第ではないのかと。
ええ。ええ。
こんなキツイい映画は、
決してオススメはしないっす♪( ̄▽ ̄)



映画を観た後になんとなく引っ張り出して聞いていたCD。
シャルル・ミュンシュ(Charles Munch)さんの指揮する
パリ管弦楽団「ブラームス交響曲第1番」
ヤベーっす。。(*´ω`*)


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (こもりく)
2023-06-14 01:17:13
amenouzmetさんへ

記事へのコメントではなくて申し訳ないですが
いただきましたメールへ
返信いたしましたが
届いているか、気になって

こちらの
送信メールに残ってなくて
変なことを
聴いてすみません!
返信する
こもりくさんへ。 (amenouzmet)
2023-06-14 13:16:24
あらら。
頂きモノのお礼メールをさせていただきました。
そちらからのメールは届いていないようなので、、
何かエラーがあるかもしれませんね。
とにかく、先ずはのお礼まで。
とても美味しかったですー(^。^)
返信する
Unknown (sayuri)
2023-06-14 21:33:53
こんばんは。

クラシック音楽が好きなので「TAR」を観たいと思っていますが、自分の器で受け止めれる映画なのか?度胸がなく。。足を運べていません。
が!“オススメはしないっす♪”と言われると、ミョーに気になってしまい、観るぞ!とさせられてしまいます(*´-`)

お話変わりますが、以前の記事で紹介してくださった「梅ごはん」。梅雨どきになり、久々に食べたくなり炊きました。やはり、美味すぎますー!以前も真似させてもらい、しばらくハマり食べまくりましたが、再びハマりそうです。素敵レシピを教えてくださり、本当にありがとうございました。

https://blog.goo.ne.jp/amenouzmet/e/8430f289cc66d5986fbc9f17124b50db/?cid=14244cc638927a13b4283096fe1cf7f3&st=0
返信する
sayuriさんへ。 (amenouzmet)
2023-06-14 23:11:09
梅ごはん!
うめー(*´ω`*)。。。っす。
映画は、、、最初の15分に耐えられるか!?
が鍵ではないかと。ええ。
返信する
Unknown (ゆり)
2023-06-28 23:17:20
Iさん
ブラームスは、音楽に携わる方が好きな作曲家という印象があります。聞いてみましたが……私にはまだ早いようです(汗)。シャルル・ミュンシュさんは知らなかったので、いろいろ聞いてみようと思います。
そしてパリ管弦楽団と言えば、久石譲さんが共演されていましたね。こちらは見事に感動しました。
返信する
ゆりさんへ。 (amenouzmet)
2023-06-29 10:39:16
ミンシュさんは、もう、それこそ異端!?です。
ええ。
エモいクラッシック。名盤も多いです(^^)
返信する

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