AN現代針灸治療

ANとは「にただあつし(似田敦)」のイニシャルです。現代医学的知見に基づいた私流の針灸治療の方法を解説しています。

業務用としての吸角の取扱い

2010-12-19 | 総論

1.吸角の素材には、ガラス製とプラスチック製がある。ガラス製は落とすと割れる恐れはあるものの滅菌ができるので、業務用としてはガラス製を選択するほかない。

2.陰圧にするには、吸引ポンプ(手動、電動とも)方式と、熱で暖める方式(いわゆる中国式吸角)がある。吸引ポンプ式は、陰圧の程度を調節しやすいメリットはあるが、吸引弁の故障やガラスの破損が起こりやすく、凹凸があって洗浄にも難があるので、中国式の方が適している。

3.中国式吸角で、陰圧の程度のコントロールは、数時間の訓練により習得できる。火を使うので、注意が必要になる(患者の下着に穴をあけることがある)。
当院では大(口径が5㎝)、中(4㎝)、小(3.5㎝)の3種類を用意している。吸角部位で最も多いのは背部膀胱經上であり、これには口径5㎝の吸角を使うことが多い。四肢や肩甲上部などでは中小の吸角を使うことになる。

4.中国式吸角を陰圧にするには、吸角内に火を差しこんで吸角内の酸素を減らした後、直ちに身体に密着させる。吸角内の空気が冷えるにつれて陰圧になり、皮膚が隆起が始まる。皮膚密着のタイミングは初心者にとって案外難しく、一拍間が空くので十分な陰圧にすることができないことが多い。師匠は、「カッチンパ」のタイミングで取り付けるといい具合になると教えてくれた。

5.陰圧にするための火力の道具は長い間、悩みの種だった。簡単なのはチャッカマンの類を使用することで、コスト的にはガスの再充填可能なタイプが適しするものの、冬場は火力が弱くなるので使いづらい。
そこで、以前は消毒綿(私は50%イソプロパノールを使用)を、アイストング(氷をつまむU字の道具。100円ショップで購入)で持って点火するのだが、十分な火力を得ることは難しく、燃焼時間も短い。70%イソプロパノールでは十分な火力と燃焼時間となるのだが手持ちがない。

6.困ったあげく目をつけたのがコーヒー豆専門店で売っている燃料用アルコール(エチルアルコール63%、メチルアルコール37%の混合液。600ml840円)であった。
消毒綿を軽く絞ってアイストングでつまみ、スプレー容器に入れた燃料用アルコールを2~3回レバーで押し、消毒綿に吸わせて点火する。
この火力持続時間は、1分間以上になり、吸角8個を連続して付けても余裕がある。