夕暮れのフクロウ

―――すべての理論は灰色で、生命は緑なす樹。ヘーゲル概念論の研究のために―――(赤尾秀一の研究ブログ)

ヘーゲル『哲学入門』第二章 義務と道徳 第三十三節 [心情について]

2021年10月30日 | ヘーゲル『哲学入門』

 

§33

Das Recht lässt überhaupt die Gesinnung(※1) frei. Die Moralität da­gegen betrifft wesentlich die Gesinnung und fordert, dass die Handlung aus  Achtung  vor der Pflicht geschehe. So ist auch das rechtliche Verhalten moralisch, insofern es die Achtung vor dem Rechte zum Beweggrunde hat.

 

第三十三節[心情について]

一般的に法律は心情については自由に任せる。それに対して道徳は本質的に心情に関わるものであり、義務に対する 敬意 から、その行為のなされることが求められる。同じように法的な行動もまた、それが法に対する敬意を動機とするかぎりにおいては、道徳的である。


※1
die Gesinnung
(個人のもつ根本的な)物の考え方、心的態度、心根、心情、志操
主義、などと訳されている。(小学館独和大辞典)

人間の成人の心情は言語と結びついており、精神の自己内分裂を根底にもっている点において、動物や幼児のそれとは根本的に異なって、心情は直ちに行為には直結しない。
人間の心情は反省を媒介とするゆえに、偽ることもできる。

道徳的な行為は心情にもとづいていることが求められるが、法律的な行為は必ずしも心情と一致していることは求められない。

ただ義務という心情を動機としているかぎりにおいては、法律的な行為も道徳的である。

 

 

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