夕暮れのフクロウ

―――すべての理論は灰色で、生命は緑なす樹。ヘーゲル概念論の研究のために―――(赤尾秀一の研究ブログ)

ふたたび「自由と民主政治の概念」について

2024年06月03日 | 政治・経済

 

ふたたび「自由と民主政治の概念」について

 

私のブログ「作雨作晴」の今日の「このブログの人気記事?」の中に、「自由と民主政治の概念」という昔に書いた論考が上がっていた。あらためて見ると、2006年1月30日に書いた論考である。改めてその内容を確認しておきたいと思った。

その記事の論考で主張したことは、まず

1、日本国民のすべてが、日本国の国家理念として「自由にして民主的な独立した立憲君主国家としての日本」を自覚し、追求すべきこと、

2、「自由党」と「民主党」の二つの基本的な政党が、それぞれが国民政党として、「自由にして民主的な独立した立憲君主国家」としての日本国の実現を目指していくべきこと、

この二点である。

当時の政治的な状況は、与党においては、自民党が小泉純一郎氏を党首として、首相の地位にあって、「郵政の民営化」を実行しようとし、その一方では、小沢一郎氏や鳩山由紀夫氏たちが結党した民主党にあって、前原誠司氏や岡田克也氏らがこの野党の政党幹部として、与党の政策に対決していた。

先に掲げた日本国の国家理念からも、日本の政党政治を健全なものとしていくためには、独立した立憲君主国家を追求する国民政党が日本の政治を担ってゆく必要があり、そのためには、まず民主党の内部から社会主義者や共産主義者たちの「全体主義」を清算して、当時の民主党を国民政党として生まれ変わらせる必要があることを訴えたものである。

民主党は、その党内に横路孝弘氏や赤松広隆氏など旧社会党出身者たちを多く抱えており、その一方では西村慎吾氏と松原仁氏らも同じ党内に所属していた。

この論考をブログに上げてから、すでに20年近くの歳月が過ぎようとしている。かって社会主義者や共産主義者の隠れ蓑となっていた「民主党」はすでになく、今はその系譜が「立憲民主党」という名前で生きながらえている。

私がこの論考で主張したことは、かっての民主党の国会議員の誰一人の耳にも届かなかったようだ。多少は期待した前原誠司氏などは、今は国民民主党も追い出されて政界をさすらっている。

その一方で、安倍晋三元首相が暗殺されていなくなった自民党はすっかりリベラル化して、保守党としての性格を失ってしまった。

日本国の国家理念が「自由にして民主的な独立した立憲君主国家」にしかありえないことは、今ももちろん変わりがない。そして、日本国の政党政治が、いずれもが国民政党である「保守自由党」と「民主国民党」によって担われるべきであるという主張にも変わりがない。この二つの政党によって、「自由にして民主的な独立した立憲君主国家としての日本」を追求していくのである。

 

 

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二度あることは三度ある

2017年06月28日 | 政治・経済

 

稲田大臣の「自衛隊発言」に野党の批判強まる 4日後に都議選を控え、自民党内でも深刻視 | 日テレNEWS24 - 東洋経済オンライン http://toyokeizai.net/articles/-/178323 @Toyokeizaiさんから

 

最近になって失望することになった女性の政治家が二人いる。現在東京都知事として都議選を戦っている小池百合子さんと、一昨日にその都知事選に応援演説をかって出た現在の防衛大臣、稲田朋美氏である。もちろん、言うまでもなくその資質と能力を厳密に判定することなくして、女性だからという理由だけで評価を左右することはない。かって、イスラエルにはゴルダ・メイアという優れた女性首相がいたし、イギリスには「イギリス病」を克服するのに大きな貢献したサッチャー首相がいた。現在のイギリスのメイ首相の能力については未知数であり判断するだけの根拠をもっていない。

お隣の韓国で朴槿恵氏が大統領に選ばれた時に、韓国民はきっと後悔する時が来るだろうと書いたが、結果としてその通りになった。そのように判断したのは、就任したばかりの朴槿恵大統領の反日政策とそこに現れた彼女の所信などから、彼女の「政治哲学」に大きな問題を感じたからである。

稲田朋美防衛相が東京都議選の応援演説で行った発言が問題になっているのは、「自衛隊という実力組織を政治利用する」とも受け取られかねない発言を行って、政権批判を手ぐすねを引いて待っている野党に、そのための格好の悪材料を与えたからである。

この問題の背景にあるのは深刻な政治家の資質の問題である。ここで言う政治家の資質とは、何も稲田朋美という女性政治家のみではない。それ以上に彼女を任命した安部晋三首相の政治家としての資質に問題がある。というのも、こうした問題は初めてではなく、既視感を覚える事柄だからである。安倍晋三氏はまた同じ問題を繰り返している。


それはほぼ十年ほど前の第一次安倍晋三内閣のときに現在は東京都知事に就任している小池百合子氏を、現在の稲田氏のように防衛大臣に任命したときに、防衛省の事務次官人事をめぐって党内外に波紋と混乱が生まれた。このときに見て感じたことを記事にした記憶があるからだ。それから十年、野党の体たらくに乗じて復活したかのように尊大になった現在の安倍晋三氏には、この時の人事の失敗のことなどもうお忘れかもしれない。

そのときにも防衛相の人事について次のように書いた。

「少なくとも一国の国防の軍事指導者は並みの人物で務まるポストではない。高度の見識、経験、能力を必要とする。国民から尊敬され憧憬される軍隊を持たない国家に品位と安定はない。その人事を誤れば、潜在敵国からは侮られ、同盟国からは不信を買い、部下の軍人武官からは軽侮を買って、その文民統治の原則にもひびを入れかねない。」

十年前に比べて、北朝鮮や中国、ロシアなどを巡る国際情勢は、とりわけ北朝鮮がこの十年の間に核開発やミサイル技術を向上させることによって、日本国民への脅威は著しく増大している。「二度あることは三度ある」という我が国のことわざを軽く見てはいけない。東京都民の頭上にどこかの国の核爆弾が炸裂しないという保証はどこにもない。それは当時の広島市民や長崎市民にも夢にも想像しなかったことである。

なお一層深刻化しつつある国際軍事情勢で、一国の国防をめぐる判断は寸分の過ちも許されないはずである。一国の滅亡は、外部からではなく内部から崩壊してゆく場合が多い。政治家も大学教授たちもそして国民一般も我が国のその現状をどのように見るか。

 ※ 十年ほど前、第一次安倍晋三内閣の登場時に書いた記事。

日本国の洗濯と人を見る眼

三流国家としての日本の現状

 

 

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安倍晋三氏の積み残した政治課題

2013年07月20日 | 政治・経済

 

安倍晋三氏の積み残した政治課題

第一次の安倍内閣は2007年7月29日の参議院総選挙において、公明党の議席を合わせても過半数 に達しないという敗北を喫しました。その結果、衆議院と参議院で与野党のいわゆる「ねじれ現象」を生じ、参議院では輿石東参院議員会長と小沢一郎民主党代 表、鳩山由紀夫幹事長らの民主党のラインが参議院運営の主導権を握ってゆく端緒となりました。

その後に自民党は安倍晋三氏が体調不良を理由に政権を投げ出し、継いで福田康夫、麻生太郎内閣と続きましたが、2009年8月の衆議院総選挙において自民党は敗れて、民主党による政権交代が戦後はじめて実現しました。

民 主党政権はその後は鳩山由起夫、菅直人、野田佳彦首相と続きましたが、いずれも市民運動家レベルの政治青年たちで、かつ、民主党政権の本質は「社会主義政 権」であって、東欧のかっての共産主義政権のように、経済の停滞と外国勢力の代弁者となりさがりました。国民もさすがにこの政権を見放して、昨年末 2012年12月の衆議院総選挙で自民党の安倍晋三氏が政権復帰を果たしました。

確かに「お友だち内閣」とも揶揄された当時の第一次安倍内閣に比較すれば、野党に下野していた「臥薪嘗胆」の4年間に、安倍晋三氏も政治家として大きく成長したようにも見えます。

安倍首相が参議院選挙に歴史的な敗北を喫したのは2007年7月、ちょうど6年前のことです。その頃の国内の政治的状況を私なりに記録しておいたことがあります。

昨 2012年末に第二次安倍内閣が成立したときにも、この内閣の特質を「キメラ内閣」と評したように、今日においても自民党は旧来の既得権益擁護の利権政党 という一面と、その一方で、規制撤廃を実行して小泉内閣以来の国民政党へと脱皮しようとする両面の性格を併せ持っています。

 このまま曖昧で中途半端なキメラ内閣のまま留まるのか、それとも族議員たちに脚を引っ張られるか、あるいは自民党が国民政党に脱皮するために強力な指導力を発揮しうるか、それによって第二次安倍内閣の歴史的な命運は定まると思います。

 第一次安倍内閣では安倍氏は中国共産党に遠慮して靖国神社にも参拝せず、また族議員たちの跋扈する既得権益政党から脱皮して自民党を国民政党へと改 革して国民の幅広い支持を獲得しようという問題意識もなく、「お友だち内閣」に特有の、二世三世議員たちの世襲議員政党の性格から抜け出すこともできず、 とうとう第一次安倍内閣は国民からも見放されてその後自民党は政権を失いました。

敗戦後70年、戦中と戦後GHQ占領体制を引き継いだままの状況からの脱却、安倍首相のいわゆる「戦後レジームからの脱却」を実現してゆくことなくしては、根本的矛盾も解決されないようにも見えます。

明 後日に行なわれる参議院選挙では、自民党が過半数を獲得していわゆる「ねじれ現象」を解消できるかが焦点になっています。しかし、日本国の政治的課題は、 六年前の第一次安倍内閣の時からほとんどが積み残されたままです。民主党政権時代にも改善されず、むしろ経済状況も含めてさらに劣化したままです。

積 み残され野ざらしになったままになっている日本の少なくない政治課題をあらためて確認するためにも、六年前に第一次安倍内閣が参議院総選挙に敗北した頃 の、いくつかの現実評論を再録しました。今後の日本の政治的課題を考える上で、もし興味のもてるような論考があればのぞいてみてください。


「最近の政治問題2題雑感」

2007年01月31日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070131

「マスコミの堕落と退廃」
2007年06月07日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070607

「政治家と国民の茶番劇」
2007年06月13日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070613

「歴史のIF」
2007年06月14日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070614

「北朝鮮とアメリカの猿芝居」

2007年06月28日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070628

 「七月に入る」
2007年07月01日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070701

 「日本国の洗濯と人を見る眼」
2007年07月03日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070703

「政治と金」
2007年07月10日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070710

「安倍晋三氏の「美しい国」」
2007年07月12日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070712

「国民住宅(フォルクスハウス)――日本の科学と公共の意思」
2007年07月19日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070719

「蝉の声」

2007年07月24日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070724

「夕暮れの光明寺」
2007年07月27日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070727

「参議院選挙の投票基準」
2007年07月31日 |
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070731

「法律家と精神分析家の貧しい哲学―――光市母子殺害事件」
2007年08月04日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070804

『私は貝になりたい』
2007年08月26日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070826

「民主主義の概念(2)  兵役の義務」
2007年08月30日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070830

「自由民主党―――この根腐れた政党」
2007年09月03日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070903

「瀬島龍三氏の死、古い人、新しい人」
2007年09月05日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070905

「韓流ブーム」
2007年09月07日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070907

「理想の恋愛、理想の結婚」
2007年09月11日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070911

「悲しき教育現場」
2007年09月25日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070925

 

 

 

 

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橋下 徹氏発言の余波

2013年05月23日 | 政治・経済
 
橋下 徹氏発言の余波


藤井 聡氏の「FACEBOOK」に、「そりゃ怒るわなぁ。。。」と題するメルマガ記事が載っていました。

【藤井 聡氏】そりゃ怒るわなぁ… | 三橋貴明の「新」日本経済新聞  http://p.tl/Ynw6

藤 井 聡氏が独特の語り口で、「決して裕福とは言えない風貌のドライバーさんが、ニヤニヤしながら、後部座席の筆者に、ある「風俗店」のカードを見せながら、そ の店を勧めて参りました。」と、、そこに述べられている「決して品のある人物とは言えぬドライバー」のような発言は、橋下徹氏をはじめとする公職にある政 治家には間違っても許されないと思います。その後、在日アメリカ軍司令官に「風俗業の活用」を提案したことに対して、橋下氏は「不適切」だった、と認めた ようです。

【橋下 徹氏】「国際感覚なかった」…風俗業発言、撤回はせず (毎日新聞) - Yahoo!ニュース http://p.tl/39HD

まして、橋下氏は、以前にスキャンダルで週刊誌に話題にされたこともあります。こうした発言(失言)を繰り返すとすれば、公人としての、政治家としての資質、能力が疑われ問われなければならないと思います。

【女性問題に悩む橋下 徹大阪市長に「コスプレ不倫」スキャンダルの危機管理を徹底指南!】補訂版 - Everyone says I love you ! http://p.tl/nYiN

た だ何事もそうですが、そうした橋下 徹氏の政治家としての発言に「不適切な」内容があるとしても、だからといって七〇年も昔の出来事で、しかも「20万人の女性を強制連行して性的奴隷にし た」といったたぐいの「一部の論者の主張する確証もされてない一方的な「歴史認識」によるキャンペーン」を、中国や韓国が政治的に外交的に利用していると すれば、橋下 徹氏の主張するように日本政府も外交当局もそれに対しもっと強力に反論し、是正を求めてゆくべきでしょう。

中国、朝鮮そして我が国の、いずれの国においてもそうですが、往々にして輪郭の不明ないわゆる「歴史認識の問題」を、政治家たちや外交当局が「政治的に利用」することは、許されることではないと思います。国際外交や民族間に不必要な混乱や対立を招くだけです。

自 国の政治家たちが、いわゆる「歴史認識問題」について干渉し、利用することについては批判しなければならないと思います。ただ言うまでもなくその際に大切 なことは、それぞれの国内に「言論の自由」が完全に保障されているかどうかです。そうでなければ、「歴史認識問題」についての真実が、特定の政治家たちの 軽率な発言や干渉によって、あるいは意図的な何らかの政治的目的のために、一方的に隠蔽され歪められてしまうことになるからです。
 
橋下 徹氏の沖縄での在日米軍司令官に対する「風俗の活用」発言、それにはじまる西村眞吾氏、石原慎太郎氏などへの余波、その経過を見ていて、あらためて下記の藤井 聡氏の一応の深刻な「結論」は心に残りました。

<<引用はじめ。

「い ずれにしても。。。。外国の方とつきあうには、「こうした屈辱感を先方に喚起させることがあり得るのだ」という事を十二分に理解しておくことが不可欠なの です。そうでなければ、良好な外交的関係を取り結ぶことなど、絶対に不可能なのです(例えば、私にそんな強烈な屈辱感と超絶な憤りを味合わせた、そんなニ ヤニヤしたドライバーと社交関係を取り結ぶなぞということは、私には不可能でしょう)。

逆に言うなら、それができぬ人間(例えば、先のニヤニヤしたドライバーの様なメンタリティを持った日本人)は、如何なるレベルの外交においても、関与してはならないのです。

そしてもしもそんな人物が関与することを許容している国があるとするなら。。。。。その国は、諸外国から「野蛮国」の誹りを受けたとしても、それを否定する資格など、その国の国民は全く持ち合わせてはいないと言わざるを得ないのです。」

>>引用終わり。

もう少し踏み込んで言えば、現在の橋下徹氏に、外交や歴史認識に関わる問題に、公的立場において発言し行動する資格と能力があるか、が問われるべきだと思います。
そのために必要な「歴史認識や外交の能力」は現在の橋下氏にはない、というのが私の意見です。
 
 

アメリカの州議会は、日本のみを取り上げて、第二次世界大戦当時、日本は性奴隷を利用していた、集団レイプをしてい た、20万人が売春宿で働かされていた・・・・証拠に基づかない虚偽の事実をどんどん決議している。なぜ、日本の政治家や政府、メディアは徹底抗議しな い?情けない。

shuzo atiさんがリツイート | 672 RT

世界のメディアは自国が侮辱されたときには徹底して抗議する。ところが朝日新聞はあろうことか、わざわざ日本国を貶め るようなことを世界でやる。性奴隷と慰安婦は、世界からすると全く別概念。ところが、朝日のワシントン記者は、米政府報道官にわざわざ日本が「性奴隷」と 使っていたと質問する。

shuzo atiさんがリツイート | 871 RT
 
 
 
 
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鳩山元首相と民主党の「世界市民主義」

2012年11月09日 | 政治・経済

 

人間が、その思考力によって、その抽象化する能力によって、個別的なフランス人や日本人、ドイツ人、アメリカ人などの個別的な人間を越えて、人間一般として捉えるようになったことの意義と限界をヘーゲルは『法の哲学』のなかの一節に述べている。

>><<

「万 人同一な一般人として「私」が把握されるのは、教養に、すなわち個人を一 般性の形式によって意識する立場としての思考に属することである。人間がこのように一般人とみなされるのは、彼が人間であるからであって、彼がユダヤ教 徒、旧教徒、新教徒、ドイツ人、イタリア人等であるからではない。

―― この一般人という意識、これが思想の段階なのであるが、これの重要性についてはどれほど言葉を尽くしても過言では ない。――ただこの意識に欠陥があるとすれば、それが世界市民主義となって、具体的国家生活に対立するように固定される場合のみである。」『法の哲 学§209』

>><<

こ のヘーゲルのいわゆる「世界市民主義」が具体的国家生活としての日本の国益を阻害するものとして現れた具体的な事例として、鳩山由起夫や菅直人、岡田克也 氏ら、民主党の外交政策に見ることができる。戦後民主主義の現行憲法の許に教育された民主党の政治家たちの「世界市民主義」 が日本の国益を損ねている現状を確認できるのではないだろうか。

とくに鳩山由紀夫氏の「世界市民主義」は、氏独自の「友愛」と して現れ、それはさらに無分別な「東アジア共同体」構想 として現象して、日米安保同盟にヒビを入れて、日本の国益を大きく損なうことになった。中国の尖閣諸島侵犯に対する菅直人氏の屈従的姿勢の背後にも、この 「世界市民主義」がある。

この人間の思考による自己把握、抽象的把握の結果として生じる「世界市民主義」に関連する観念として、「人権」の問題がある。それについては「世界市民主義」と同じく、さまざまな問題点を含んでいると思われるけれども、また別の機会に考察してみたい。

 

 

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橋下 徹氏の「日本維新の会」について

2012年09月22日 | 政治・経済

橋下 徹氏の「日本維新の会」について

素人集団で、まだ海の物とも山の物ともつかない人たちの「政治団体」、「日本維新の会」である。現在のトップ、橋下 徹氏が、さらに一回りもふた回りも脱 皮して、大きく成長することなくして、この政治運動は中途で挫折する可能性は大きい。が、それにもかかわらず、橋下氏の「日本維新の会」に政治改革の夢を 託さなければならないというのは、それだけ日本国民の既成政党やその利権政治に対する絶望が深い、ということなのだろう。

それであっても、既成政党が、企業・団体の献金を受け取らないと言って口先だけでは唱えながら、国民を欺くばかりで、実行する力もない自民党や民主党に比べれば、日本維新の会が、企業、団体からの献金禁止を規約に定めたことの意義は大きい。

民主党の政権交代についても、この政党が自民党よりも統治能力、政権担当能力が高いからと信じて国民は政権交代を選んだのでは決してない。お粗末な二世政治家の集団に堕した自民党への懲罰のために、国民はやむを得ずこの選択をしたのである。

しかし、いずれにしても国民の教育が改革され、真に能力の高い政治家が雨後の竹の子のように輩出してくるのでなければ、真に政治改革は実現されない。能力、能力、能力、能力がすべてである。

橋下徹氏の政治改革への意欲は買うし、その綱領にかいま見る理想は尊重するけれども、その実現のための具体的な現実的行程との摺り合わせがあまりにも不十 分なままの出航である。このままではいずれにしても、官僚たちの復権とアンシャンレジュームの三度の復活になり終わる可能性が高い。

そうならないためには、この新しい政治集団「日本維新の会」に卓越したエリートたちをどれだけ結集できるかに掛かっており、そこにはそれこそ、国家国民の 資質、力量が問われている。だがその現状を見る限り、悲観的にならざるをえない。この集団もまたもや選挙利権の談合集団になり終わる可能性は高い。

そうならないためには、指導者、トップである橋下 徹氏の理念と手腕にすべて掛かっているわけだが、戦後民主主義教育の申し子である橋下 徹氏にそれを期 待するのは、当てはずれではないか、という思いも強い。そうでないことが心からの願いではあるけれども。さもなければ、日本の復活はさらに遠のく。

>><<
企業・団体献金受け取らず=日本維新、規約に明記―橋下氏(時事通信) - goo ニュース

企業・団体献金受け取らず=日本維新、規約に明記―橋下氏

時事通信2012年9月19日(水)21:40

 大阪市の橋下徹市長は19日、近く結成する国政新党「日本維新の会」について、「個人献金型の政党を目指す」と述べ、企業・団体献金の受け取り禁止を党の規約で明記する方針を明らかにした。市役所内で記者団の質問に答えた。

 橋下氏は、政党への献金を個人に限ることについて「こうするだけで政治は劇的に変わる」と指摘。その上で、「絶対に自民党や民主党ではできないことだ。 新しい政治のスタイルを目指していく」と強調し、既存政党との違いをアピールした。ただ、政治資金パーティー券の企業・団体への販売は容認するという。

 これに関連し、橋下氏は「個人献金だけでは(党運営に必要な)お金が集まらないから、そこは特定の団体から色の付いたお金をもらうのではなく、政党交付金という形で(国が)政党を支援する。この仕組みは絶対に必要だ」と語った。

 日本維新の綱領となる基本政策集「維新八策」では、政党への企業・団体献金の禁止を掲げている。 

 

 

 

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メドベージェフ首相の国後島訪問と日本国の独立

2012年07月04日 | 政治・経済

 

メドベージェフ首相の国後島訪問と日本国の独立


ロシアのメドベージェフ首相が日本の北方領土である国後島を訪問したそうだ。日本の国際競争力の低下、経済の低迷によって国際的な地位がさらに低下して行く一方で、小沢一郎氏が民主党を離党して、野田首相があわてふためいている。こうした国内事情を見透かしたように、ロシアの実効支配を見せつけるかのようなメドベージェフの示威的な訪問だった。

自民党政権時代末期に軽量級のリリーフ首相が年毎に交替したあと、民主党政治家たちによる「子供たちの政治ごっこ」はなお継続している。こうした日本の現在の状況を見れば、諸外国からこれほどの侮りの扱いと軽視を受けたとしても、身から出た錆として文句も言えないのではないか。「一国の政治はその国民の民度の現れに過ぎない」というのは、言い古された西洋の諺である。

ロシアは首相や政権幹部たちの相次ぐ訪問によって、北方領土を日本に返還する意志のないことを明確にした。もういい加減にロシアに対して「北方領土返還という幻想」を日本も捨て去ったらどうだろうか。ロシアには日本に領土を返還するつもりはさらさら無いのだから。

それとも「もう一度日露戦争をやるつもりか」とロシアに領土返還を迫れるかどうか。さもなければ北方領土は戻ってこないと思った方がよい。北方領土返還は幻想に終わる。「本気になって北方領土を取り戻す気も能力ももはや日本人にはない」とロシア人は見透かしているからである。それとも第二次日露戦争をやり抜く覚悟が現代の日本人にあるか。

太平洋戦争の敗北で腰を抜かされた敗戦後の日本が、今なお国家の体を為していないことは言うまでもない。北朝鮮に拉致された同胞をですら半世紀近くも放置したままで、ミサイルを撃ち込んでも拉致された国民を取り返そうという気概すらも見せないような国家と国民を他国が尊敬するはずもない。メドベージェフらが見下げたとしてもやむを得ないのではないか。

とは言うものの、第二次世界大戦であれだけの国家総力戦を戦って敗北した極東の小国が、辿らざるを得なかった戦後の運命にはやむを得ない面もある。国家の面目と栄光を回復するには、一世紀や二世紀は要するのかもしれない。それも民族の資質次第である。

戦後のGHQ政策と共産主義によって、国家への信頼を完全に喪失した世代が去り行き、舞台からいなくなるまでは真の国体は戻ってはこない。その国家回復の象徴とは、アメリカ駐留軍の国内からの完全撤退である。日本の国内からアメリカ兵士が一名たりともいなくなるまで、それまでは日本の敗戦後は終わらない。

北方領土の回復も現状では絶望的であり、それ以上に困難なことは日本の真の独立である。日本国の独立と北方領土の回復がいずれも幻想に終わらないことを祈りたいものである。これら幻想を現実にする障害になっているのはもちろん日本国憲法とアメリカとである。アメリカ合衆国の一州としての日本の属国化はアメリカの国策だった。

それでも一縷の望みがあるとすれば、それはアメリカの国家財政の破綻である。経済の破綻によって「世界の警察官」としての役割をアメリカが放棄せざるを得なくなるとき、極東や欧州からアメリカ合衆国が駐留軍を縮小し撤退せざるを得なくなるとき、その時こそが日本が真に独立を回復する時である。

中国の共産党政府が崩壊して中国大陸が民主化され、旧ソ連が崩壊したときのようにチベット、ウィグルなどが独立したとき、そしてアメリカが財政破綻して、アメリカ国民が国外に軍隊を駐留させる意欲と気概を失うとき、かってのモンロー主義のようにアメリカが北米大陸に回帰せざるを得なくなるとき、そのときこそが日本国の独立回復の好機である。日本国の真の独立のための条件を、こうした国際情勢の変化に見据えて、静かに長き忍耐をもってその準備を万端に整えるべきである。そのときまでは、メドベージェフに交渉のテーブルにつかせることはできない。

 

メドベージェフ首相、国後島へ到着 「ロシアの領土にとって重要な一部」http://sankei.jp.msn.com/world/news/120703/erp12070316260006-n1.htm

 

 

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5月7日(月)のTW:#中国の軍事力、#平松茂雄

2012年05月08日 | 政治・経済

16:56 from Saezuri
平松茂雄氏 [中国の軍事力]>> <<youtube.com/watch?v=r6Nvjz…

by soratine on Twitter

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5月6日(日)のTW:#阿久根市、#阿久根市議会、#竹原信一

2012年05月07日 | 政治・経済

17:03 from web
元阿久根市長・竹原信一氏が緊急インタビューで語っていることは、本当なのか、ただ阿久根市のことだけのことか、日本全国の地方自治体とは異なって阿久根市のことだけのことなのか。>> 阿久根市長・竹原信一氏緊急インタビュー <<youtube.com/watch?v=rEyDt_…

18:19 from Tweet Button
元阿久根市長・竹原信一氏が緊急インタビューで語っていることは、本当なのか、ただ阿久根市のことだけのことか、日本全国の地方自治体の現実は。物ごとは何事も両面から見る。>> 前阿久根市長の竹原信一氏記者会見 << #BLOGOS blogos.com/article/3127/

19:16 from Tweet Button
「憲法について議論すべし」と主張するのはいいとしても、田原総一朗氏ほどの著名なジャーナリストが、ご自身の憲法観を具体的に明らかにされていないのはどうしてか。>> <<田原総一朗氏「憲法議論、大いにすべし!」 #BLOGOS blogos.com/article/38162/

19:46 from web
日本国は「法治国家」である。したがって、まず現行の法律がきちんと守られなければならない。>>武田邦彦「ダブルスタンダードと「独自基準」」 <<takedanet.com/2012/05/post_5…

19:50 from web
法律が現実に対応できないものであるならば、法定の手続きを経て変更される必要がある。政治家も官僚も国民にその過程を公開、周知させる責任があるが現民主党政権にはその責任を果たす能力がない。>>武田邦彦「ダブルスタンダードと「独自基準」」<takedanet.com/2012/05/post_5…

20:17 from web
問題解決の核心は、「国民」の信頼できる政府、官僚組織、教育を確立すること。現状の日本は、社会主義ソビエト東欧の末期症状と同じ。中国共産党政府、北朝鮮の崩壊と日本国の崩壊のどちらが早いか。>>武田邦彦「日本の発展を妨げているもの」 <<takedanet.com/2012/05/1_1fb6…

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4月25日(水)のTW:#原子力潜水艦、#アメリカ軍、#日高義樹、#小川和久、#軍事

2012年04月26日 | 政治・経済

22:29 from web
軍事評論家、小川和久氏のツイッターにフォローしたのに関連して、日高義樹のレポートをYOUTUBEで見ている。少し古い2007年のレポートだけれども、アメリカ軍事力とその世界戦略の一端を知る参考にはなる。>><「アメリカ軍最新式原子力潜水艦」youtube.com/watch?v=W3evQL…

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民主党の「民主主義的」性格―仙谷由人官房長官の体質資料集

2010年11月15日 | 政治・経済

 

 

民主党の「民主主義的」性格―仙谷由人官房長官の体質資料集


かっての歴史の教訓として、労働者の解放を目指したはずの「社会主義国家」が、その理想を実現できずに、むしろ、抑圧的な独裁国家に変質してやがて崩壊していったという事実がある。

昨年に民主党が自民党に代わって政権交代を果たしてから、鳩山前首相から菅直人現首相にバトンタッチが行われ、すでに一年以上が経過した。その間に現在の民主党がどのような政党であるかが時間の経過とともに、その本質が現象し、その隠されていた姿が国民の前に明らかになってきている。

とりわけこの民主党の体質は、現在の政権の中枢を担っている仙谷由人官房長官に集中的に典型的に現象しているように思われる。仙谷由人氏の研究は、民主党の本質を知る上で有益で、参考にもなると思われるので、ここ数ヶ月という短い期間にも明らかになった氏のこれまでの言行をここに記録しておきたいと思う。

事実上の指導者である小沢一郎氏が主張しているように、「政治主導、国民主導の政治を確立する」というのは民主党が目指してきたところである。官僚の天下り問題や官財癒着の弊害を是正するために、国民もそれらの主張を肯定してきた。だからこそ民主党へ政権交代も実現した。

しかし、昨年に民主党が政権交代を果たしてから明らかになりつつあるその実際の結果を見ても、「政治主導」「国民主導」というもののその実態は、幹事長室に予算の割り振る権限を集中するところの小沢一郎氏流の「利権誘導政治」に他ならないことも明らかになってきた。

現実や歴史の示すところは、「実際的な判断」といえるものである。単なる理論や言葉ではなく、事物の実際の真実の姿というものは、歴史や現実の時間的な展開の中で明らかになってゆくものである。だから、すべて物事の本質を知るためには、その事物の具体的な現実的な歴史的な展開を観察してゆく必要がある。民主党をその掲げるスローガンやマニフェストなどの言葉からではなく、その真実の姿を知るためには、政権の座に着いてからの次第に明確になってきたこの一年の実際の姿を見てゆく必要があるだろう。

仙谷由人氏は、「若かりし頃、社会主義を夢見た」と明かし、「社会主義社会には個人の完全な自由がもたらされ、その能力は全面的に開花し、正義が完全に貫徹しているというア・プリオリな思い」を信じた氏の理想も、だが、その「個人の完全な自由」を信奉したはずの実際の姿がどのようなものであるかは、検証に値するだろう。

このことは単に個人についていえるばかりでなく、政党である民主党においても同じである。民主党やその政治的指導者たちが、どのような思想と能力の持ち主であるかは、実際に政権を担当させて国家の経営を行わせることによって、その真実の姿が、その本質が明らかになってくる。

鳩山前首相から菅直人現首相に政権がバトンタッチされてからすでに、三ヶ月余が経過している。その中で政権の中枢にあって、民主党政治の本質的な体質をもっとも具体的体現していると思われるのが、仙谷由人官房長官である。

官房長官としての日々の会見や国会答弁の中から浮かび上がるのは、かっての多くの社会主義者たちに見られたような、事大主義的で抑圧的、権力主義者的な体質である。それは言論封殺と情報隠蔽の傾向として現れているように思われる。

そのもっとも象徴的な出来事は、菅直人氏が首相になって一ト月にもならない十月の十五日にあった。参院予算委員会に経済産業省の古賀重明さんが政府参考人として出席し、公務員の「天下り根絶」を掲げる民主党の改革姿勢が不十分だと、公務員制度改革を担当していた時の状況を証言した。が、そのとき古賀氏の発言に対して仙谷由人官房長官は次のように述べた。

「古賀さんの上司としてですね、ひとこと私から話をさせて頂きます。」
「私は小野議員のですね、・・・ 今回の、・・・ 古賀さんをこういう所に現時点での彼の職務、彼の行っている行政と関係のないこういう-場に呼び出す、こういうやり方ははなはだ彼の将来を傷つけると思います。・・・ 優秀な人であるだけに大変残念に思います。」

ここで仙谷由人氏は、国会で自己の真実と思うところを率直に表明する部下に対して、耳を傾けるだけの度量もなく、明らかに人事権を振りかざして部下の不利益な取り扱いを示唆することによって恫喝し、自由な言論を権力的に抑圧しようとしている姿が、仙谷由人氏の体質として図らずも出ている。

昨年の十二月まで国家公務員制度改革推進本部事務局に出向していた「改革派官僚」と称された古賀氏は、政府の公務員改革への取り組みなどを批判したために、現在は経産省大臣官房付に回されているらしい。

要するに、自分たちは絶対的な正義で、したがって他者に対する批判は大いに行うし、それは許されるが、絶対的に信奉する自分たちの「正義」に対する批判はいかなるものであれ許されないということらしい。この仙谷由人氏も、多くの「共産主義者」や「社会主義者」たち「理想主義者」らの持つ体質を共有しているように思われる。

この日本国がこれからも自由な言論の行われる国であり、かっての社会主義諸国のように、情報統制と密告社会にならないためにも、こうした事大主義的で抑圧的な、権力主義者的な言論封殺と情報隠蔽の傾向と体質には批判と自己批判をくり返してゆく必要がある。

 




「国会審議の撮影規制」を検討すべきだとの考えを示した。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101113k0000m010021000c.html



「仙谷氏、秘密保全法制を検討、 委員会を早急に設置」

http://www.47news.jp/CN/201011/CN2010110801000074.html



「自衛隊施設での民間人による政権批判の封じ込め」

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101117/plc1011170031000-n1.htm



「属国化は今に始まったことではない」

http://www.nikkei.com/news/category/article/g=

96958A9C93819481E3EAE2E3958DE3EAE3E2E0E

2E3E28297EAE2E2E2



自衛隊は「暴力装置」

http://www.youtube.com/watch?v=y07Wzdgt_X0&NR=1



仙谷由人官房長官「古賀さんの上司としてですね、ひとこと私から話をさせて頂きます。」

http://www.youtube.com/watch?v=6HaGCZ6Cd5o&feature=player_embedded#!


これらの仙石氏の発言はいずれも「言論の自由」の範囲内で、謝罪する必要はないと思いますが、その評価は別にしても、ここに仙谷由人氏の「人間性」「自衛隊観」「戦前史観」などが明確に出ていることは確かだと思います。

 

 

 

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民主党の改革能力

2010年09月14日 | 政治・経済

 

【民主党代表選】菅首相が小沢氏に圧勝 721対491


 民主党の改革能力


民主党党首選が終わった。結果は菅直人氏が小沢一郎氏を破って党首選を制した。常識的な国民の意思が実現されたというべきだろう。

菅直人氏が首相に選任されてまだ半年にもならないし、小沢一郎氏については、たった三ヶ月ほど前に、鳩山由紀夫氏と「政治とカネ」の問題と「普天間基地の移転問題」での迷走ぶりの責任を取って、抱き合わせで幹事長を辞職したばかりであり、まだほとぼりも十分に冷めない間に首相の座への復権はいくら何でも許されないという、国民世論の常識的な判断が、今回の民主党党首選においても働いたと言うべきだろう。

そして、小沢一郎氏の主張する「政治主導」なるものが、小沢一郎氏の幹事長室にすべての税金の割り振る権限を集中するという、故田中角栄氏伝来の極限の利益誘導政治に他ならないことも明らかになってきた。また、昨年末の小沢一郎氏の一族郎党の子分を引き連れての、中国・韓国に対する媚態、朝貢、謁見外交の本質的な姿が明らかになり始めたばかりである。多数の掌握という多数決原理の民主主義から、天皇の意向も自由にしようという、独裁者の片鱗を、その間に垣間見ることもできた。

現在の民主党の指導者幹部たちが、どれほどの思想的、哲学的能力の持ち主であるかを、野党時代の民主党を追跡したおりに考察したこともあるが、やはり、結果はこの一年における民主党の行政能力に見るとおりになっている。民主党の節度のないバラマキ財政は、国家の財政破綻の危機を早めるだけである。それも、国民が国家財政の真実を早く知るきっかけになってかえって良いのかもしれない。

鳴り物入りで始めた「国家戦略局」にしても、能力ある人材を得なければ、それも絵に描いた餅に終わる。能力、能力、能力それがすべてである。能力がなければ、夢も実行できない。

たった八ヶ月ほどばかりだけ首相の座にあった鳩山氏の在任期間も含めて、民主党が政権交代を果たしてから、ほほ一年を経過して明らかになってきたことは、やはり、現在の民主党がどれほどに政権担当能力を欠いた政権であるか、と言うことであっただろう。早く現在の自民党と民主党をそれぞれ解体し政界再編を果たして、新自由党と新民主党による品格ある政党政治の実現を期待したい。それも、人材を得てこそ実行可能である。

 

 

 

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ソフトバンク孫正義氏にみるグローバリズム

2008年11月07日 | 政治・経済

 

上戸彩1298万円ケータイ「父」に見せます(日刊スポーツ)

ソフトバンク、お披露目

ソフトバンク孫正義氏にみるグローバリズム

ソフトバンク社はパソコンやインターネットの普及にともなって発展してきた会社である。この会社を率いてきたのは孫正義氏である。かって電信電話事業が旧国鉄と同じように電電公社という特殊法人による独占的な企業体だったころから電気通信事業に新規参入し、さまざまな規制の壁と闘いながら、インターネット事業の開拓において先駆的な役割を担ってきた。

ソフトバンク社の経営者として孫正義氏が登場してきた時代の背景は、小泉元首相が郵政民営化を掲げて登場してきたときと重なっている。それはアメリカの金融資本が、日本の証券市場において利益を獲得するために、日本の商業慣行や閉鎖的とされた金融システムに国際標準規格を持ち出して、強く国際化グローバル化を迫り要求してきた時代と軌を一にする。

大蔵省の護送船団方式にあぐらをかいて遅れをとっていた日本の金融システムや旧郵政省の傘下にあって巨大化した郵便局銀行、簡易保険と旧電電公社に代表される通信事業などは、官僚行政によって保証された独占事業のゆえに、国内的にも消費者や国民の要求に応えられないようになっていた。

すでに巨大銀行と化した郵便局に預けられた国民の膨大な預貯金は、財政投融資資金として、また国会の規制の届かないもう一つの国家予算として特別会計に組み入れられ官僚の裁量のままだった。また、とくに自民党の経世会族議員らに仲介されて不況下の公共事業対策として、赤字国債の購入などに当てられ、その資金は地方の土木建築業者らに垂れ流しされた。そのために放漫赤字財政を招き、それが幾世代に渡ってつけ回しすることになるほどに背負いきれない赤字財政になっていた。

そうした中で小渕恵三元総理大臣が「世界の借金王」とうそぶきながら過労で病死したこともそれほど昔のことではない。政治家や官僚たちは、国民全体の奉仕者であるべきという日本国憲法の規定に反して、むしろその「利権集団化」が進行し、天下りや口利きなどによる搾取と寄生化が一段と深刻になった。

バブル経済の崩壊後に、「失われた十年」として何ら効果的な政策を打ち出せなかった旧来の自民党政治家に代わって、「自民党をぶっ壊す」と言いながら登場した小泉元首相は、自由競争と市場原理の信奉者である竹中平蔵慶応大教授を特命大臣に任命し、金融機関に国税を投入してようやく不良債権問題に決着のめどをつけたのである。アメリカ・グローバリズムの申し子竹中平蔵氏は、アメリカ留学中に学んだ経済学理論によってその使命を果たし、崩壊の危機にあった金融機関を公的資金の導入によって不十分ながらも立て直した。

その竹中平蔵氏が「小泉郵政民営化総選挙」の折りに、Tシャツに「改革」と白く染め抜いた、かっての ライブドアの社長、ホリエモンこと堀江貴文氏を応援して歩いたことはまだ記憶に残されているだろう。堀江貴文氏は 自民党の公認を得て、岡山県の亀井静香候補の地元から刺客候補として立候補していた。その堀江氏は落選はしたが、氏が若き経営者として絶頂期にあったとき、一月の家賃が二百万数十万円もする六本木ヒルズの高級マンションに住まい、「金で買えないものは何もない」などと週刊誌に語ったことも記憶にあるはずである。この堀江貴文氏などは、伝統的な日本の文化、価値観から外れたアメリカグローバリズムの悪しき申し子であったことは明らかである。竹中平蔵氏などにも、国税の賦課を免れるために、住民票を国外に移したとかいう噂もある。

確かに、アメリカから吹いてきたグローバリズムの風は、預貯金者のサービスに背を向けたままで閉塞していた日本の金融業界や、インターネットなどの電気通信事業に風穴を明け、たとえ外圧的にではあれ、事業の効率化と消費者へのサービス向上に寄与したことは明らかである。

一方それにともなって、国民の間に経済格差が広がり、階級格差ともいえる貧富の差が、また、ワーキングプアーと呼ばれるような、労働行政の欠陥の犠牲者も増えている。本来は、小泉元首相の実行した「規制緩和」――しかし、中途半端な――のあとに、安倍元首相などが十分なセーフティーネットを構築すべきはずだったのに、それにも失敗している。

いずれにせよアメリカ発のグローバリズムは、その住宅投資銀行やリーマンブラザースなどの経営破綻によって引き起こされた金融危機で明らかになったように、アメリカの金銭崇拝文化と分かちがたく結びついている。破産した投資銀行の社長が従業員の犠牲の上に、何百億ドルの報酬を手に入れることなど、とうてい日本の企業文化とは相容れないものである。先の堀江貴文氏などは、愚かにもこのアメリカグローバリズムの波に乗って、率先してアメリカの金銭崇拝文化の信者になった一人にちがいない。

グローバリズムの到来は避けることはできない。問題はそれに付随するアメリカニズム、その利己的な金銭崇拝文化から、伝統的な価値観、生き方としての文化など、どのようにして日本の文化防衛を果たして行くかである。

携帯電話市場で快進撃を続けているらしいソフトバンク社の孫正義氏が、コマーシャルに登場する女優のお二人に、一台一千万円もする携帯端末をプレゼントしたそうである。しかし、孫正義氏にも頭を冷やして考えてほしい。子供の学校給食費さえ払えない家庭が増大しているなかで、ダイヤを散りばめた携帯電話端末がどういう意味を持つか。日本の文化にそうしたマモニズムを、金銭崇拝を助長するような行為は、日本の先進的な経営者として倫理的にも正しいのだろうか。孫正義氏にそれを問うことははたして無意味か。

また、そもそも戦後生まれの女優のお二人にも、対価のないプレゼントを拒むだけの気位を彼女たちに期待するのも無理な話か。

ただ、心ある日本人に訊ねてみたいことは、プレスリーの崇拝者、小泉元首相によって持ち込まれたアメリカグローバリズムから日本の伝統的な価値観、文化をどのように防衛してゆくか、という問題である。

 

 

 

 

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北東アジアの夢―――六カ国協議の遠い行方

2007年02月23日 | 政治・経済
 
 
北東アジアの夢―――六カ国協議の遠い行方
 
北東アジアには、中国、南北朝鮮、ロシア、それにわが日本という民族と国家が存在する。これは、ユーラシア大陸の東に何億年、何千年という歳月をかけて形成されてきた地理と自然と、その上に育まれてきた民族の歴史に由来する。その近隣関係の因縁はどうしようもない宿命のようなものである。
 
たった六十年前には、これらの諸国にアメリカが加わって、第二次世界大戦の一角として太平洋戦争が戦われたばかりである。政治思想家ホッブスが、国家をレヴィアタンとかビヒモスとかの怪獣に喩えて呼んだように、これらの六カ国は、あたかも唸り声を上げてお互いを威嚇しあうレヴィアタンやビヒモスのように、みずからの生存と威光を相手に承認させるために、虚々実々の駆け引きを展開している。国家や民族の関係というのは、動物の世界と同じで、残念ながら個人の人間関係のようにモラルの面でほとんど進展はしていないのである。
 
今その北東アジアで朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮の国家体制はもっとも危機的な状況にある。そもそも歴史の大きな流れの骨格からいえば、それは、いわゆる東側の社会主義国家群の崩壊の最終過程として捉えることができる。ソ連や東ドイツその他の東欧の共産主義国家は、1991年のソ連邦崩壊にともなって軒並みに崩壊して行ったのであり、旧社会主義国で今日もなお残存しているのは現在は中国、北朝鮮、キューバくらいだろう。
 
これらの国は、社会主義経済のままでは国家体制の存続は危ういので、資本主義的な原理を取り入れざるをえなかった。社会主義の計画経済が破綻を招いたために、いわゆる市場主義原理を導入せざるをえなかった。しかし、その経済政策の転換に失敗して、旧社会主義諸国の中で最後の断末魔のうめきと足掻きのなかにあるのが北朝鮮である。そうした歴史的な眺望の中に現在の国際関係の姿を捉える必要があると思う。
 
中華人民共和国、中国は鄧小平の改革開放路線によって、政治的には共産党による一党独裁体制を堅持しながら、市場の自由化を促進せざるを得なかった。現在のところそれにかなり成功して、中国は政治的にはかろうじて社会主義体制の存続を維持している。そして、経済的により「成功している」中国が、より「危機に瀕している」兄弟国家、北朝鮮の崩壊を支えている。これが現在の北東アジアの国際情勢の客観的な構図である。そうして、北朝鮮の崩壊は直ちに中国の国家的な危機に直結する。しかし、中国の危機も北朝鮮の危機も本質的には同根である。私たちの立場からすれば、中国も、北朝鮮もその国家的な政治的な本質が社会主義にあることは同じである。
 
そして、今度の六カ国協議の合意で、北朝鮮が取引に使った核保有政策の根本的な目的が、みずから体制維持にあることはいうまでもない。核兵器と言う武器を手に、体制維持のための経済援助を取引しようというのである。
こうした状況にあるとき、日本のなすべき事は何か。まず、経済的な、軍事的な侵略を招かないためには、国内の軍事的、経済的な安全保障の確立を第一の絶対的な課題にしてゆかなければならない。
その方策はどのようなものであるべきか。
 
残念ながら日本は太平洋戦争の敗北の結果として、精神的にも、また、実際上の軍事上の能力においても、すっかり、骨抜きにされた国家、国民に成り下がっている。だから、太平洋戦争前のように最小限の自力ですら国家の防衛を果たすことはできない。日露戦争時にもまだ発展途上の貧弱な国家に過ぎなかった大日本帝国が対ロシアとの脅威に対抗するためには、英国と同盟を結ばざるをえなかったように、日本は国家防衛のために、その足りないところは、アメリカとの安全保障条約によって補い、強固にしてゆくしかない。さらには、オーストラリア、ニュージーランド、インドなどのいわゆる自由民主主義国と友好関係を深めて、協力、連携を強めてゆくことだろう。
 
六カ国協議の問題のより深い本質は中国問題であり、日本問題である。共産主義国家体制の中国と、自由民主主義国家体制の日本との間に存在する矛盾が問題の本質である。だから、当面の北朝鮮問題の、六カ国協議の最終的な問題の解決は、中国の民主化に待つしかない。それは長く困難に満ちた道程であるにしても、その最終目的は見据えておく必要があるだろう。
中国も北朝鮮ももちろん、自分たちこそが本当に自由で民主的な国家だと思っている。だから、問題はいずれが本当に自由で民主的かということである。それぞれの国家体制の概念が問われている。そして、真実にその概念にふさわしい国家こそが、真理として存続できる。そうでない国家は歴史の中で崩壊してゆくしかない。
そして、立憲君主国家日本の自由と民主主義の体制が、少なくとも私たちにとって絶対的であるかぎり、私たちは北朝鮮や中国に、お互いの立場の承認を求めざるをえない。
 
今回の六カ国協議の合意でアメリカは、明らかに北朝鮮に譲歩するという政策転換をはからなければならなかったのはなぜか。アメリカの立場からすれば、明らかに、北朝鮮問題よりもイラク問題が優先されることはいうまでもない。
極東の小国日本のようにひたすら中国の台頭や北朝鮮の核武装にかまけているだけにはゆかない。アメリカは冷戦に勝ち残った唯一の世界の大国として、世界の秩序の維持にそれなりの責任をになっている。アメリカの立場から緊急を要するのは、イラク問題であり、さらには、イランの核問題である。そして、イラクですでに手負いのライオンになったアメリカは、イラク・イランと北朝鮮の両方に対して同じ比重でかかわることができない。おそらく、イランとの戦争の危機さえ覚悟し始めたアメリカにとって、北朝鮮問題は中国の仲介による当面の安定を期するしかなかったのであろう。それによって北朝鮮の金正日体制の崩壊の危機は先延ばしにせざるをえないのである。
 
今のアメリカにとって切実なのは、イラク・イラン問題である。そして、そうである以上、アメリカは北朝鮮問題に本格的な力を振り向けることはできない。そして、アメリカの本格的な関与なくしては北朝鮮問題の根本的な解決は期待できない。何らかの体制的な危機は起こりうるかもかもしれないが、中国もアメリカも北朝鮮の体制崩壊を望まない以上は、国民を苦しめながらも、基本的にはまだ現在の金正日体制が存続してゆくだろう。
 
本当の危機は十数年後に、もちろん、それがいつになるか正確にはわかるはずもないが、中国の共産主義独裁体制が揺らぎ始めるときだろう。北朝鮮の崩壊があるとすれば、それは中国とともにその命運が尽きるときである。すでに、中国は1989年の天安門事件で体制的な危機に面していた。もし、あの時に反体制側の戦略が効を奏するだけのものであったなら、中国もすでにロシアや東欧と同じように民主化が実現されていたはずである。
 
しかし、人民解放軍の戦車の前に、中国の反体制勢力は鶏のように眠り込まされてしまった。しかし、それは今も眠り込まされているだけであって、死んでしまったわけではない。問題の真実の解決は、北朝鮮と中国の国民が自らの手で、民主化を実現するしかない。金正日の北朝鮮と共産中国がどのようにして平和裏に、生命の損失を最小限に抑えながら、その歴史的な体制変革を図るか、それが鍵になる。そこに至る過程が比較的に穏やかな道を辿るのか、あるいは、嵐に満ちたものになるか、それは分からない。
 
日本が自らの自由と民主主義を絶対的なものとするかぎり、経済と文化と軍事において自由と独立を確保しながら、その一方で、アメリカやその他の自由主義諸国と協力連携しながら、北朝鮮と中国の平和的な体制変革をあらゆる手段で期するしかない。
 
そして、やがて金正日の北朝鮮と共産主義中国の独裁国家体制が遠い過去の話しとなり、日本やアメリカのように自由で民主的な国家体制が、中国大陸と朝鮮半島に実現するときこそ、北東アジアに安定した平和が訪れるときなのだろう。
その時こそ、ユーラシア大陸を挟んで、西のヨーロッパ連合(EU)に対して、アジア連合(ASIAN UNION)が建設に着手されるときなのだろう。そうして中国人はより中国人になり、朝鮮人はより朝鮮人に、日本人もさらに日本人らしくなって、それぞれ民族としての特質を深めながら友好がはかられる。おそらく今世紀中には実現されるだろうが、もちろん、私たちはそのときまでは生きてはいない。
 
 
 
 
 
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