>> <<引き続き、尾高からのノート。
— review (@myenzyklo) 2017年11月29日 - 19:44
シュミットの具体的秩序の理論は、法の内容から生活の潤いとか情操の深さとかというものを全て捨象してしまう規範論理主義や、赤裸々な力の抗争と力の勝利とを以って法を動かす最後のものとみる実力決定主義に対して、法のもつ淳風美俗的な要素を
力説している点に特色がある。こうした観点から眺めるならば、国家の法も特殊の共同体の特殊の秩序として理解せられ、特にその伝統的な道徳の面が強調されることになるであろう。論理を以って割り切ることのできない法の特殊性に対する牧歌的な賛美が、この理論の中に深く漂っているのである。
— review (@myenzyklo) 2017年11月29日 - 19:44
国内法の窮極にさような民族独自の生活の在り方というのものが存することは、決して否定できない。また、いかに合理主義・普遍主義の世の中になっても、法にそうした一面のあることは、決して否定さるべきではない。
— review (@myenzyklo) 2017年11月29日 - 19:44
(s.216)
政治の矩にかなわぬ政治が民族の運命を最も悲惨な破局に導くことは、ナチス・ドイツの没落が最も雄弁に物語っている。日本の運命もまた、不幸にしてこれに近いものであった。法の特殊性は重んじられるべきであるが、それ以上に法は普遍の理念に立脚せねばならぬ。普遍の理念に立脚しつつ、
— review (@myenzyklo) 2017年11月29日 - 20:58
これに民族生活の特性性を加味し、普遍と特殊、合理性と非合理性の調和を図って行くのが、国内法の正しい在り方である。それが、国内政治の矩であり、国内法の窮極にあるものである。それでは、国内法を貫く普遍の理念とはいかなるものであるか。それは、いかなる点で
— review (@myenzyklo) 2017年11月29日 - 20:58
民族生活の特殊性と調和することできるか。(s.217)
— review (@myenzyklo) 2017年11月29日 - 21:11
※
ここまで読んできた尾高朝雄の『法の窮極に在るもの』の読書感想文のようなものを、まだ読了はしてはいないにも関わらず中間報告のような形で、書こうと考えたのだが、今の所メモのような形で残しておくことができるくらいか。
1. 『法の窮極に在るもの』を問うことは『法の概念』を問うことである。尾高はヘーゲルの『法の哲学』を理解しなかったから、それに言及することもない。
— review (@myenzyklo) 2017年11月29日 - 21:13
2.
— review (@myenzyklo) 2017年11月29日 - 21:14
「法の概念」とは「自由」である。「自由」を求める人間の精神が、「法」を作り、「国家」を作るのである。その意味で、ヘーゲルの「法の哲学」は、「自由の精神」が、「国家」や「世界史」を形成してゆく論理を明らかにして、概念的に論証したものである。
3.
— review (@myenzyklo) 2017年11月29日 - 21:14
尾高はここで「政治の矩」と述べているが、ヘーゲル哲学の用語では「矩」とは「概念」のことである。「政治の矩」すなわち「政治の概念」とは「自由の精神」であるというべきか。少なくとも、これまでのところ、尾高はこの点に触れていない。
4.
— review (@myenzyklo) 2017年11月29日 - 21:15
マルクス主義の唯物史観や階級闘争史観についても、尾高は「法の窮極に在るもの」との関連で、批判的に論及している。優れた考察だと思う。同じ法学者でも、以前に読んだ、奥平康弘氏の『「萬世一系」の研究』とは違って、書評を書くだけの価値はあると思う。
「人間は、いかなる勤労の生活の中においても、仰いで青空を眺め得る余裕をもたなければならぬ。ここにいう青空とは、精神の蒼空であり、文化の教養である。各人にかれのものを与える正義は、経済上の財貨の公正な分配にかぎられてはならない。人々は、何らの生活の不安もなく、すべて喜びを以って
— review (@myenzyklo) 2017年11月29日 - 21:59
勤労に従事し、しかもその間に文化の蒼空を仰ぐ権利をもたなければならない。フィヒテはかような人間共同生活の正しいあり方は、国家においてのみ可能であるとなした。誠に、国家の法の目的は、かような正しい共同生活秩序の建設に求められなければならぬ。
— review (@myenzyklo) 2017年11月29日 - 21:59
それが、公共の福祉であり、国内法の普遍理念としての正義に外ならぬ」
— review (@myenzyklo) 2017年11月29日 - 22:00
(s.222)
※フィヒテはヘーゲルの先行者。