安倍晋三氏の積み残した政治課題
第一次の安倍内閣は2007年7月29日の参議院総選挙において、公明党の議席を合わせても過半数 に達しないという敗北を喫しました。その結果、衆議院と参議院で与野党のいわゆる「ねじれ現象」を生じ、参議院では輿石東参院議員会長と小沢一郎民主党代 表、鳩山由紀夫幹事長らの民主党のラインが参議院運営の主導権を握ってゆく端緒となりました。
その後に自民党は安倍晋三氏が体調不良を理由に政権を投げ出し、継いで福田康夫、麻生太郎内閣と続きましたが、2009年8月の衆議院総選挙において自民党は敗れて、民主党による政権交代が戦後はじめて実現しました。
民 主党政権はその後は鳩山由起夫、菅直人、野田佳彦首相と続きましたが、いずれも市民運動家レベルの政治青年たちで、かつ、民主党政権の本質は「社会主義政 権」であって、東欧のかっての共産主義政権のように、経済の停滞と外国勢力の代弁者となりさがりました。国民もさすがにこの政権を見放して、昨年末 2012年12月の衆議院総選挙で自民党の安倍晋三氏が政権復帰を果たしました。
確かに「お友だち内閣」とも揶揄された当時の第一次安倍内閣に比較すれば、野党に下野していた「臥薪嘗胆」の4年間に、安倍晋三氏も政治家として大きく成長したようにも見えます。
安倍首相が参議院選挙に歴史的な敗北を喫したのは2007年7月、ちょうど6年前のことです。その頃の国内の政治的状況を私なりに記録しておいたことがあります。
昨 2012年末に第二次安倍内閣が成立したときにも、この内閣の特質を「キメラ内閣」と評したように、今日においても自民党は旧来の既得権益擁護の利権政党 という一面と、その一方で、規制撤廃を実行して小泉内閣以来の国民政党へと脱皮しようとする両面の性格を併せ持っています。
このまま曖昧で中途半端なキメラ内閣のまま留まるのか、それとも族議員たちに脚を引っ張られるか、あるいは自民党が国民政党に脱皮するために強力な指導力を発揮しうるか、それによって第二次安倍内閣の歴史的な命運は定まると思います。
第一次安倍内閣では安倍氏は中国共産党に遠慮して靖国神社にも参拝せず、また族議員たちの跋扈する既得権益政党から脱皮して自民党を国民政党へと改 革して国民の幅広い支持を獲得しようという問題意識もなく、「お友だち内閣」に特有の、二世三世議員たちの世襲議員政党の性格から抜け出すこともできず、 とうとう第一次安倍内閣は国民からも見放されてその後自民党は政権を失いました。
敗戦後70年、戦中と戦後GHQ占領体制を引き継いだままの状況からの脱却、安倍首相のいわゆる「戦後レジームからの脱却」を実現してゆくことなくしては、根本的矛盾も解決されないようにも見えます。
明 後日に行なわれる参議院選挙では、自民党が過半数を獲得していわゆる「ねじれ現象」を解消できるかが焦点になっています。しかし、日本国の政治的課題は、 六年前の第一次安倍内閣の時からほとんどが積み残されたままです。民主党政権時代にも改善されず、むしろ経済状況も含めてさらに劣化したままです。
積 み残され野ざらしになったままになっている日本の少なくない政治課題をあらためて確認するためにも、六年前に第一次安倍内閣が参議院総選挙に敗北した頃 の、いくつかの現実評論を再録しました。今後の日本の政治的課題を考える上で、もし興味のもてるような論考があればのぞいてみてください。
「最近の政治問題2題雑感」
2007年01月31日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070131
「マスコミの堕落と退廃」
2007年06月07日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070607
「政治家と国民の茶番劇」
2007年06月13日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070613
「歴史のIF」
2007年06月14日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070614
「北朝鮮とアメリカの猿芝居」
2007年06月28日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070628
「七月に入る」
2007年07月01日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070701
「日本国の洗濯と人を見る眼」
2007年07月03日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070703
「政治と金」
2007年07月10日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070710
「安倍晋三氏の「美しい国」」
2007年07月12日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070712
「国民住宅(フォルクスハウス)――日本の科学と公共の意思」
2007年07月19日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070719
「蝉の声」
2007年07月24日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070724
「夕暮れの光明寺」
2007年07月27日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070727
「参議院選挙の投票基準」
2007年07月31日 |
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070731
「法律家と精神分析家の貧しい哲学―――光市母子殺害事件」
2007年08月04日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070804
『私は貝になりたい』
2007年08月26日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070826
「民主主義の概念(2) 兵役の義務」
2007年08月30日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070830
「自由民主党―――この根腐れた政党」
2007年09月03日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070903
「瀬島龍三氏の死、古い人、新しい人」
2007年09月05日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070905
「韓流ブーム」
2007年09月07日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070907
「理想の恋愛、理想の結婚」
2007年09月11日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070911
「悲しき教育現場」
2007年09月25日
http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070925