ヘーゲル『哲学入門』中級 第一段 意識一般 第十八節[内なるものと外なるもの]
§18
Das Innere (※1)der Dinge ist das an ihnen, was einesteils von der Erscheinung frei ist, nämlich von ihrer Mannigfaltigkeit, die ein gegen sich selbst Äußerliches ausmacht; andererseits aber das, was durch seinen Begriff darauf bezogen ist. Es ist daher: 1) die einfache Kraft, welche in das Dasein, die Äußerung, übergeht.(※2)
第十八節[本質と現象、概念と定在]
物の内的なものは、それ自体において、一面では現象からは自由なものである。つまり、内的なもの自体に対して外的なものを構成する物の多様性からは自由なものである。しかし、他面において、内的なものは物の概念を通して外的なものと関連している。したがって、物の内的なものは、単純な力でもあり、それは、1) そこにある存在へと、外的なものへと移り行く。
※1
Das Innere 内的なもの
ここで内的なものとは、たんなる主観的なものではなく、人間の認識を通して客観的な事物の内部に見出すところの主観=客観なものである。ここでいう「Das Innere 内的なもの」とは、その意味で、より具体的には事物の「本質」や「概念」のことである。
※2
この内的なもの、すなわち本質や概念は、みずからを外部に現出させる(Äußerung)ものである。内なるものは外なるものへと、本質は現象し、概念は定在化する。その意味で、本質や概念は、また運動の源泉として単純な力でもある。本質や概念は、一つの力として、動的なものとしてダイナミックに捉えられなければならない。
この節において初めて、内なるものから外なるものへ、本質から現象へ、概念からその定在へと移行する「力 Kraft」が出てくる。
参考
§ 280b[概念から存在への移行] - 夕暮れのフクロウ https://is.gd/j9SLmx