来年の東京五輪・パラリンピックの期間中はどこか無人島に行って暮らしたい気分である。この国ではまだ大きな反対運動は起きていないが、準備の足取りは決して順調と言えるものではない。国民の大多数が望んでいたのならこんなことにはならなかった。「アンダーコントロール」や「お・も・て・な・し」の文句が私の記憶からなかなか消えてくれなくて困っている。
ラグビーW杯が日本各地で始まっている。五輪やサッカーとラグビーの違いはラグビーは国籍主義でないことだろう。その国に3年以上継続して住むなどしていれば代表になれるという。試合後に健闘をたたえあうノーサイド精神は、選手だけでなく観客にも根付いている。ラグビーの観客席はサッカーのようにチーム別に分かれていない。ファンは交ざり合って座り、よいプレーにはたとえ相手チームであったとしても拍手が起こる。(29日の散歩にて)
旭日旗騒動というのがある。東京五輪の組織委は、旭日旗の持ち込みを容認する方針だが、韓国側は「侵略戦争の象徴」と反発している。ところが今回のラグビーW杯では旭日旗は話題に上がっていない。韓国が出場していないということだけでなく、その背景にはラグビーの代表選出の国籍不問、観客席の敵味方一体などのスポーツ文化が関わっていそうだ。W杯をきっかけにラグビーの多様性が日本社会をより成熟させてくれることだろう。
日本を率いるジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC、49歳)はエディー・ジョーンズ前HCの後任として2016年秋に就任した。29日の新聞の一面トップの見出しは「日本アイルランド破る」「世界2位に19-12」だった。その大一番を前にジョセフHCが、選手を鼓舞した言葉がなんとも素敵だった。「誰も勝つとは思っていない。誰も接戦になるとは思っていない。誰も僕らがどれだけぎせいにしてきたか分からない。信じているのは僕たちだけ」