玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*短期間の体験入学

2013年05月27日 | 捨て猫の独り言

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 満ちる初夏にはウツギやスイカズラやネズミモチの白い花が咲く。ウツギは香りがないがスイカズラは甘い香りがする。「卯の花の匂う垣根に時鳥(ほととぎす)早も来鳴きて忍音(初音)もらす夏は来ぬ」を口ずさむ。ウツギの白い花が溢れるように咲き誇っているさまを「匂う」と表現したのだろう。「気がつくと垣根には卯の花が美しく咲いているではないか。ああ今年も心待ちにしていた時鳥の初音が遠く響いてくる夏が来た」というのが私のお気に入りの解釈である。ところでホトトギスには時鳥、子規、不如帰、杜鵑など、なぜにこんなにも多くの漢字が当てられているのだろうか。

 小平市の26日の道路計画見直しの是非を問う住民投票は注目を集めた。マスコミの中でもこの問題に眞正面から取り組んでいたのが東京新聞である。市民感覚に寄り添った報道を貫いた姿勢を私は評価したい。小平市西部の道路建設予定地は我家のすぐ近くだ。投票を呼びかける若者の姿を多く見かけた。ボランティアが運転する街宣車や、旗を掲げたねり歩きなどの手づくりの運動を目撃してこみ上げるものがあった。結果は投票率35%で成立要件の50%に達しなかった。「見直しは必要ない」と考えた人は棄権したであろう。今回投票した人は51、010人だった。小林市長は結果の出た夜に今回の住民投票は市民の総意ではないと強調した。4月7日の市長選挙における小林市長の得票は33、106票だった。

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 小平市では海外から一時帰国した児童の短期間の体験入学を認めている。海外で生活している児童が学校の夏休みを利用して日本の公立小学校へ入学することができる。目的は日本語能力の強化である。海外と日本の学校の夏休みのずれがこのことを可能にしている。アトランタに住んでいる孫娘は7歳になった。早速その制度を利用することになり、孫娘が先々日の土曜日にその母親(娘)と2人で一時帰国した。家族が4人になった。娘は一週間もすれば先に帰国して家族は3人になる。孫娘は2ヶ月以上の日本の夏を過ごした後に祖母(妻)の付き添いでアトランタに帰る。そしてその後私は単身生活となる。

 孫娘とは3年ぶりの再会である。3年前にも2ヶ月ほど我家で生活したので、近所には遊んでくれる顔見知りの子供たちがいる。そのせいだろうか、まもなすると周りには英語を十分に理解できる人間がいなくなることを理解しているはずだがそれほど苦にしている様子はない。そのけなげさに感心する。1週間が経過して先に帰る母親と別れるときはどんな態度を見せるのか興味深い。昨日の日曜日は上履きやスクール水着やリュックサックを購入してきた。今日は市役所で我家への転入の手続きをすませた後で、母親の母校でもある小学校に立ち寄って手続きをすませた。明日からの登校ということになった。孫娘の風呂上がりや着替えのときの様子が3年前とは全く異なっていることに私は気付かされた。(写真はつくば市の国土地理院にて)

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*6冠達成

2013年05月19日 | 捨て猫の独り言

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 この時期に玉川上水を歩くと多数の白い花を下向きにつけたエゴノキが目に飛び込んでくる。突然咲き始める白い花によってその存在に気付きエゴノキの数の多さに驚くことになる。そして落花が始まるとそこだけ雪が降ったかのように白一色となる。和名は果実の味がえぐいことに由来する。ゾウムシが果実に穴をあけて産卵しその幼虫は川釣りの釣り餌になるそうだ。ヤマガラの好物でヤマガラはエゴの実を一旦地中に埋めてから再び掘り出して食べるという。

 囲碁の井山祐太九段は昨年も獲得賞金ランキング1位である。そして昨年は生まれが同年同月同日の将棋の女流棋士とその誕生日に結婚式を挙げた。この3月中旬に囲碁界では大きなできごとがあった。挑戦者の井山九段が棋聖戦(賞金4200万)の第6局で張栩棋聖を4勝2敗で破り史上初の6冠を達成したのである。報道陣がなだれ込んで対局場は熱気に包まれた。囲碁の七大タイトルのうち現在は名人のタイトルを手放しているだけである。ところが4月下旬に同じ関西総本部の結城聡九段に2勝3敗で十段のタイトルを奪われて5冠に後退した。その直前に結城九段にはNHK杯選手権(賞金500万)の決勝戦でも敗れた。

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 5月13日には「井山6冠達成祝賀パーティー」が大阪のホテルで開かれた。「海賊とよばれた男」で2013年の本屋大賞の百田尚樹氏が特別ゲストとしてトークショーに登場し、井山との軽妙なトークに会場は大いに盛り上がったという。休む間もなく5月16日から本因坊戦が始まった。さすがの天才棋士も疲れがたまりタイトルを手放していく事態になることもあり得る。とくに結城九段に敗れた最近の2局の印象がまだ記憶に新しい。さて今度の本因坊戦の挑戦者は一回り年長の高尾伸治九段である。リーグ戦を7戦全勝で挑戦者となり最近の調子はよい。

 私は09年から始まったという高尾九段のブログのファンである。ブログ「たかお日記」には自分の対局のポイント解説があり興味深い。囲碁界屈指の競馬好きとして知られ、競走馬の一口馬主でもある。亡き師匠の藤沢秀行の生き方とかさなるところが多い。04年に慶応大学囲碁女子部主将を務めたアマ女流と結婚している。困ったことに私はこの二人の対局者のどちらの勝利を願っているのか自分でもわからない。島根県太田市で行われた第一局は井山本因坊の4目半勝ちという結果だった。高尾九段はブログに「七番勝負を打つのはこれが最後と思って必死に打つ」と書いていた。第二局は5月28日に福岡県北九州で行われる。(写真は駒場公園の旧前田侯爵邸にて)

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*雨の土曜日

2013年05月13日 | 捨て猫の独り言

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 蕗の薹の天ぷらのつぎはフキの葉の佃煮である。庭のフキは毎年のように我家の食卓をにぎわす。またツワブキは一年を通してみどりの葉を繁らせている。フキの葉の緑で覆われ、その葉が風で揺れている様はいいものだ。まるでどこか山道に迷い込んだような気にさせてくれる。冬を越した雲南百薬も元気な姿を見せて夏の豊かな収穫を予想させるかのように順調に伸び始めた。5月3日に畑にキュウリ3本、トマト3本、ミニトマト2本を、そして東側の窓の下には例年通りニガウリ4本の苗を植え付けた。また先日はめずらしい鉢植えをいただいた。葉が馬の顔の形に似ているウマノスズクサである。ジャコウアゲハの幼虫の食草である。いつの日かこの庭で蝶が産卵してくれるだろうか。

 11日の土曜日はルネ小平の2つの催しに参加した。あいにく朝からの雨で午後には本降りとなった。市民文化会館ルネ小平は西武線の小平駅前にある。3時からは大ホールで千住真理子のヴァイオリンリサイタルがあった。全11曲の演奏でバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」に始まり、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」が終わる。黒人霊歌「アメイジング・グレイス」やホルストの「ジュピター」やカザルスの「鳥の歌」マスネの「タイスの瞑想曲」など私にも馴染みのものが多かった。千住さんは小平市在住だった日本最高のヴァイオリニストの江藤俊哉(1927~2008)氏に指導を受けた。その指導を受けた場所がこのホールだという。トークの中に幻の名器ストラディヴァリウス「デュランティ」は出てこなかった。ただ楽器の演奏には湿度が大きく影響すると話した。

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 7時からは中ホールで「小平で住民投票・どんぐりと民主主義」のシンポジュウムが開かれる。リサイタルが5時に終わりつぎの7時までの時間をどう過ごすか。多摩湖自転車道は小平駅と隣りの花小金井駅の区間では線路と並走するように通っている。駅から近い自転車道に「あじさい公園」がある。雨が降り続いていたが夕食を軽めにすませて以前も訪れたことがある公園に出かけた。雨の夕暮れ時で人の気配はない。アジサイはまだつぼみのままである。公園を取り囲むように「小川用水」が勢いよく流れている。不思議なことに私はこの公園の用水の存在をこれまで気付いていなかった。大人が一跨ぎできるぐらいの狭い幅である。多摩川からひいた水だから災害時には沸かして飲めると言われている。我家のそばの「新堀用水」をはじめ市内には用水があちこちに存在している。貴重な資源だと思う。

 公園から会場に向かう途中のロータリーではシンポジュウム直前の国分氏が街宣車の横で演説を行っていた。初めての街頭演説だったという。「反映させる会」と「どんぐりの会」が主催する「いとうせいこう+中沢新一+国分功一郎」には報道陣の姿も多く見かけた。民主主義の国で都道計画に住民の声は届くのか、初めての住民投票が5月26日に行われる。まず投票では「住民参加で計画を見直す」か「見直しは必要ない」のどちらかを選択する。この小平シンポは3回目だが初参加の いとうせいこう氏 が司会役を買って出た。市民側のハードルは高く、政権側のハードルは低くという風潮がある。お上の決めたことには従うというメンタリティーでいいのか。市民が提案し行政との対話の習慣を作る努力が大切だ。イエスかノーかでなく解決することの大切さである。津田塾大学などの学生がこの運動にもっと参加してもいい。雨の中を市内から173名、市外から175名の参加者がありスタッフをふくめて中ホールは満席となった。(写真は津田塾大学の本館と中庭)

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*立夏

2013年05月07日 | 玉川上水の四季

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 中国生まれの二十四節気に日本の気候に合うように土用、八十八夜、入梅、半夏生、二百十日の雑節が取り入れられた。5月2日は八十八夜で5日の子供の日が二十四節気の立夏だった。オープンギャラリーの立夏の東側展示は夏に咲く花がテーマである。5月はガクウツギとノイバラ(立夏)、ウツギとスイカズラ(小満)、6月はムラサキシキブとアジサイ(芒種)、ネムノキとノウゼンカズラ(夏至)、7月はムクゲとリョウブ(小暑)、サルスベリとタマアジサイ(大暑)である。夏の6節気をそれぞれ代表する花12枚の写真が並んでいる。

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 立夏のミニ観察会に真新しいエナガの巣が2つ持ち込まれて人目をひいた。細い竹のまわりに巣ができて、竹が巣を突き抜けているように見える。竹や木枝と巣が一体になったものを鈴木さんが板の土台に固定した。巣は大人が両手を丸く合わせたぐらいの大きさで外側は防水のためたくみに苔で覆れている。出入り口は直径2センチぐらいだろうか。一つの巣に14羽の雛が生まれたということだが、にわかには信じがたい。立夏の前の穀雨はエナガの子育ての観察を予定していたが降雨のため中止になった。せめて使用済みの巣だけでも多くの人に見てもらおうと鈴木さんが用意したのだ。

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 立夏のミニ観察会はめずらしく新顔3人の参加があった。下流に向って歩き始めると、玉川上水の流れを覆うように白い花のマルバウツギの枝があちこちで垂れ下っている。またミズキの白い花穂が高いところで咲き誇っている。ミズキの白い花穂に気付く人は少ないようだ。。餌を運ぶシジュウカラが巣箱に入るのを発見するとしばらく立ち止まって出てくるのを待つ。人の作った巣箱を利用するのはシジュウカラだけだ。気をつけているとキンラン、ギンランも散見される。ウグイスカグラは花が終わり、今では熟した赤い実をつけている。わずかの数だがフタリシズカも咲いている。地味な白い花である。下流の貫井橋あたりにはもっと多くのフタリシズカが咲いているという。

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 鈴木さんがオープンギャラリーを始めて5年目である。私も初期の頃から参加させてもらっているがこの期間だけでも豊かな自然環境が身近で多く失われたことに気付く。「竹内家の大ケヤキ」で知られる一帯の畑地が土地区画整理事業で宅地に変わった。そのことでムクドリがネグラにしていた竹林、モズが子育てしていた地域と、そこにあった茶ノ木、ウツギなどが消滅した。最近では一橋大学の小平キャンパスの塀沿いにあったマテバシイを中心としたおびただしい数の大木が伐採された。おそらく見通しを良くしようという防犯上の目的だったのだろう。これで野鳥の貴重な食料である木の実が失われた。(上から順にエナガの巣、エノキの実、マルバウツギ、マユミの花)

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